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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

赤人編(6)藤江の浦に

2010年02月23日 | 赤人編
【掲載日:平成22年2月5日】

沖つ波 辺波へなみを安み いさりすと 藤江の浦に 船そさわける

神亀じんき三年〔726〕秋九月
印南野いなみの 浜辺の遊覧を旨とした 行幸みゆき
女官たちの 歓声こえが響いている
晴れ晴れとした空気に  赤人の気が 軽い

やすみしし わご大君おほきみの かむながら 高知らしめす 印南野いなみのの 大海おほみの原の 
荒拷あらたへの 藤井の浦に しび釣ると 海人船あまふね散動さわき 塩焼くと 人そさわにある
 
天皇おおきみが おおさめなさる 印南国いなみくに 大海原の 藤井浦
 まぐろ釣ろうと 船出てる 塩を焼こうと 人出てる》
浦をみ うべつりはす 浜をみ うべも塩焼く 
ありがよひ 見ますもしるし 清き白浜しらはま

《浦がえんで 釣りをする 浜がえんで 塩を焼く
 絶えず来なさる もっともや 見るに綺麗きれえな この白浜よ》
                         ―山部赤人―〔巻六・九三八〕 
沖つ波 辺波へなみを安み いさりすと 藤江の浦に 船そさわける
《沖と岸  波穏やかや 藤江浦 漁に出ている 船いっぱいや》
                         ―山部赤人―〔巻六・九三九〕 
印南野いなみのの 浅茅あさぢ押しなべ さの 長くあれば 家ししのはゆ
《印南野の 茅萱ちがやを敷いて ねむが 続いたよって 家恋しいわ》
                         ―山部赤人―〔巻六・九四〇〕 
明石潟あかしかた 潮干しほひの道を 明日あすよりは 下咲したゑましけむ 家近づけば
明日あしたから 干潟の道も 楽しいで お前待つ家 ちこなるよって》
                         ―山部赤人―〔巻六・九四一〕 
「これは これは 赤人殿が 家人いえひとのことをうたわれる 雨が降らなければ良いがのう」
幾人もの歌人うたひとが 寄ってきた
輪の中の赤人 思わずに 微笑ほほえ
「いや 皆様方の くつろぎが うたわせたのです」
「第一人者に 余裕が出たら かなわぬ かなわぬ」
「そうじゃ  そうじゃ ハハハハ ハ」
歓談の様子に  目を細める金村

その夜 波寄る浜辺 独りたたずむ 赤人
のぞかれはせぬかとの 伏せ心
 かせを解くことの 爽やかさよ
 己をさらすことで 他人ひとが寄ってくる〕
そこに  
おおやけとしての人付き合いに 
わたくしの出るを恐れていた赤人の 
一皮けた姿があった




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