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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

旅人編(16)鮎子さ走る

2009年10月26日 | 旅人編
【掲載日:平成21年11月27日】

春されば 吾家わぎへの里の 川門かはとには あゆばしる 君待ちがてに

【玉島川。玉島東方簗場やなば付近】


梅花うめはなうたげ
それは また 旅人たびとの 歌ごころを 揺り動かす
ころは  三月
鮎の季節が 近い
鮎と言えば  松浦川〔玉島川〕
数人の供を連れた  旅人
山迫る  川の瀬 
すこし上った 簗場やなばの吊り橋付近
そこは 緑の山間やままと清流の里 
桃源郷と 見紛みまがう場所だ

旅人は 思いをせる
眼前に 髣髴ほうふつと浮かぶ 幻影
筆を走らせる  旅人 
旅人たびびとの問いかけ歌】
あさりする 海人あまの児どもと 人はいへど 見るに知らえぬ 良人うまひとの子と
《魚釣る 漁師の子やと うけども 見たら分かるで 良家ええしの子やろ》

娘子おとめの応える歌】
玉島の この川上かはかみに 家はあれど 君をやさしみ あらはさずありき
《そうやねん うち川上に あるけども 恥ずかしよって うそついたんや》

旅人たびびとの娘子を誘う歌】
松浦川まつらがは 川の瀬光り あゆ釣ると 立たせるいもが すそれぬ
《鮎釣ろと 光る川瀬に 立ってはる あんたのすそ 濡れてるやんか》〔乾かしたろか〕
松浦なる 玉島川に 鮎釣ると 立たせる子らが 家路いへぢ知らずも
《玉島の 川の瀬立って 鮎釣りを してるあんたら うち何処どこやねん》
とほつ人 松浦の川に 若鮎わかゆ釣る いも手本たもとを われこそ巻かめ
《松浦の  川で若鮎 釣ってはる あんたと一緒に 泊まってみたい》

【娘子の誘いに応える歌】 
若鮎わかゆ釣る 松浦の川の 川波の なみにしはば われ恋ひめやも
《若鮎を  釣ってる川の 波みたい 浮いた気持ちと 違うでうちは》
春されば 吾家わぎへの里の 川門かはとには あゆばしる 君待ちがてに
《春来たら  うちの家ある 里の川 鮎飛び跳ねる あんたを待って》
松浦川 七瀬ななせの淀は よどむとも われはよどまず 君をし侍たむ
《川の瀬が  淀むようには 悩まんと あんた信じて うち待ってるで》
                         ―大伴旅人―〔巻五・八五三~八六〇〕 

〔これは  思いもかけず いい歌ができた〕
川瀬に 得意げな 歌人うたびと旅人が 立っている





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