令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(二)(10)面(おも)やめづらし

2011年07月19日 | 家待・越中編(二)歌心湧出
【掲載日:平成23年5月27日】

去年こぞの秋 相見しまにま 今日けふ見れば
                  おもやめづらし 都方人かたひと



じょう 久米広縄くめのひろつなが 帰ってきた
足掛け  八ヶ月に及ぶ 任務であった
朝集使ちょうしゅうしとしての任
国司 ・郡司ら 勤務状況の報告
大役 を終えての帰還に 
長官家持 自邸でのうたげに 慰労ねぎらいを表す

大君おほきみの まきのまにまに り持ちて つかふる国の としの内の 事かたね持ち 玉桙たまほこの 道に出で立ち 岩根踏み 山越え野行き 都辺みやこへに ゐし我が背を 
天皇おおきみの 任命受けて 政務い おつかえしてる こしこくの 一年間に した仕事 取りまとめして ここって いわみち踏んで 野山越え 都行かれた 広縄おまえ様》
あらたまの 年がへり 月かさね 見ぬ日さまねみ 恋ふるそら 安くしあらねば 
《年も変わって 月日ち 逢われん日ィが 続いてた 恋しさつのり 気ィ滅入めいり》
霍公鳥ほととぎす 鳴く五月さつきの 菖蒲草あやめぐさ よもぎかづらき 酒宴さかみづき 遊びぐれど 
《ほととぎす鳴く 五月には 菖蒲あやめよもぎ かずらにし 酒のうたげで 遊んだが》
射水川いみづかは 雪消ゆきげはふりて く水の いや増しにのみ 
射水いみずの川の 雪解けの あふれ流れる 水みたい 恋しさ余計よけい つのるだけ》
たづが鳴く 奈呉なご江のすげの ねもころに 思ひむすぼれ 嘆きつつ が待つ君が 
《鶴鳴く奈呉なご はえすが その心根は ふさがって 溜息ためいきついて 待つ広縄あんた
をはり 帰りまかりて 夏の野の さ百合ゆりの花の 花ゑみみに にふぶにみて 逢はしたる 
《任務を終えて 帰られて 夏の野に咲く 百合ゆりはなの にこやか笑顔 見られたな》
今日けふを始めて 鏡なす かくしつね見む 面変おもがはりせず
 よし今日からは その笑顔 ずっと見ましょう その笑顔》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一一六〕

去年こぞの秋 相見しまにま 今日けふ見れば おもやめづらし 都方人かたひと
《去年秋 別れたままで 今日見たら これは晴れやか みやこがおやで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一一七〕
かくしても 相見るものを すくなくも 年月としつきれば 恋ひしけれやも
《こないして また逢えるのに 逢えん日々 えろう恋して つらかったんや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一一八〕
                               五月二十七日】

ながの 帰還きかんびを 霍公鳥ほととぎすに託して

いにしへよ しのひにければ 霍公鳥ほととぎす 鳴く声聞きて こひしきものを
《昔から 人しのう ほととぎす 鳴く声聞くと 恋がれるで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一一九〕
                               五月二十七日】



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