【掲載日:平成25年3月8日】
かくばかり 恋ひつつあらずは 朝に日に 妹が踏むらむ 地にあらましを
焦がれ続けば 深刻募る
浦の海人なり 玉藻を刈ろか
土や磯・砂 成る方が増しや
いっそこの身が 果てても良えか
なかなかに 君に恋ひずは 比良の浦の 海人ならましを 玉藻刈りつつ
《なまじっか あんたに焦がれ するよりか 比良の海人なり 藻刈りしてるわ》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七四三)
なかなかに 君に恋ひずは 縄の浦の 海人にあらましを 玉藻刈る刈る
《なまじっか あんたに焦がれ してるより 縄浦海人に 成って藻ぉ刈ろ》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七四三 或る本)
かくばかり 恋ひつつあらずは 朝に日に 妹が踏むらむ 地にあらましを
《恋焦れ し続けてんと 朝晩に お前踏む土 成った方増しや》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六九三)
白波の 来寄する島の 荒磯にも あらましものを 恋ひつつあらずは
《この気持ち 焦がれ続けて 嘆くより ごつい荒磯 成った方増しや》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七三三)
潮満てば 水泡に浮かぶ 真砂にも 我はなりてしか 恋ひは死なずて
《恋しいて 死ぬ様な思い するよりは 水泡浮く砂に 成る方が良えで》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七三四)
住吉の 津守網引の 泛子の緒の 浮かれか行かむ 恋ひつつあらずは
《恋い焦がれ し続けせんと 浮子みたい 浮かれ流れて 死んで仕舞おか》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六四六)
我妹子に 恋つつあらずは 刈り薦の 思ひ乱れて 死ぬべきものを
《あの児恋い 焦がれ続けて 生きるより この胸潰れ 死んだ方増しや》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七六五)
剣大刀 諸刃の上に 行き触れて 死にかもしなむ 恋ひつつあらずは
《恋い焦がれ し続けてんで いっそこと 大刀に身投げて 死んで仕舞おか》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六三六)
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