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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

古今相聞往来(上)編(34)浦に波立ち

2013年03月19日 | 古今相聞往来編(上)
【掲載日:平成25年3月19日】

風吹かぬ 浦に波立ち なき名をも 我れはへるか 逢ふとはなしに


恋する 二人 隠れて忍ぶ
知られて仕舞たら 噂の餌食えじき
やっかみ噂  邪魔しの噂
 も葉もなしの からかい噂

紀伊の海の 名高なたかの浦に 寄する波 音高おとだかきかも 逢はぬ子ゆゑに
いもせん あのうわさ った 名高なたかうらの 波音なみおとみたい》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七三〇)
  
あさ東風ごちに 越す波の よそにも 逢はぬものゆゑ 滝もとどろに
よそながら たことすらも いのんに 滝ごうごうの えらい噂や》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七一七)
                         (井堤いで越す波=外にあふれる→外目よそめ

風吹かぬ 浦に波立ち なき名をも 我れはへるか 逢ふとはなしに
《風しに 立つ波みたい われに 噂されたで たことないに》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七二六)
  
我が背子せこに ただに逢はばこそ 名は立ため ことかよひに 何かそこゆゑ
めんこて うたうなら 仕様しょうないが 言伝ことづてだけで なんで噂や》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五二四)
  
いくばくも 降らぬあめゆゑ 我が背子せこが 御名みな幾許ここだく 滝もとどろに
《ちょっとしか うてないのに あんたの名 えらい広がり 降る滝水たきみたい》【比喩】
                          ―作者未詳―(巻十一・二八四〇)
  
人間ひとまり あしかきしに 我妹子わぎもこを 相見あひみしからに ことぞさだおほ
他人ひと見てん すきにちらっと 垣根し 見ただけやのに 五月蝿うるさいこちゃ》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五七六)
  
人言ひとごとの しげりて 逢ふともや なほが上に ことしげけむ
けて 噂されん うたのに それでも世間 五月蝿うるさいこっちゃ》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五六一)