【掲載日:平成25年2月1日】
人もなき 古りにし里に ある人を めぐくや君が 恋に死なする
焦がれ女は 必死の思い
恋死にするで 胸張り裂ける
痩せて影やで 焦がれは夏草や
果ては来るなと 裏腹心
大原の 古りにし里に 妹を置きて 我れ寝ねかねつ 夢に見えこそ
《大原の 田舎にあの児 独り置き わし寝付けへん 夢出て来てや》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五八七)
里中に 鳴くなる鶏の 呼び立てて いたくは泣かぬ 隠り妻はも
《あぁお前 内緒の妻は 大声で 泣きも出けんで 焦がれて居るか》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二八〇三)
人もなき 古りにし里に ある人を めぐくや君が 恋に死なする
《人居らん 田舎住まいの このうちを あんた酷いで 恋死にさすか》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五六〇)
言に言へば 耳にたやすし 少なくも 心のうちに 我が思はなくに
《口したら 何でも無うに 聞こえるが うちのこの胸 張り裂け相やで》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五八一)
夕月夜 暁闇の 朝影に 我が身はなりぬ 汝を思ひかねに
《朝出来る 影法師みたい 痩せて仕舞た あんた思うて 堪えられへんで》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六六四)
我が背子に 我が恋ふらくは 夏草の 刈り除くれども 生ひしくごとし
《あんたへの うちの焦がれは 夏草や 刈った後から 生えてきよるで》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七六九)
さす竹の 節隠りてあれ 我が背子が 我がりし来ずは 我れ恋めやも
《もうあんた 何処っか籠もって 来んといて あんた来る度 うち恋苦しんや》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七七三)
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