【掲載日:平成23年12月27日】
いざ児ども 狂業なせそ
天地の 堅めし国ぞ 大和島根は
変後の 民政安定のため
矢継ぎ早の 施策実施
・変一部始終 天下に公表
・改元 「天平宝字」に
・徭役 年間六〇日を半減
・東国防人 廃止
藤原仲麻呂権勢 最早 留めるものとてない
天平宝字元年(757)十一月一八日
内裏 帝主催の宴
新たに皇太子となった 大炊王・仲麻呂は詠う
天地を 照らす日月の 極み無く あるべきものを 何をか思はむ
《天と地を 照らし続ける 日や月に 限りは無いぞ 間違いなしに》
―大炊王―(巻二十・四四八六)
いざ児ども 狂業なせそ 天地の 堅めし国ぞ 大和島根は
《お前達 戯け行い 致すなよ 神々おわす(わし仕切ってる) この大和国》
―藤原仲麻呂―(巻二十・四四八七)
列席一同 平伏するしかない
騒擾の 改元年は
ようやくの 平穏取り戻し 暮を迎える
十二月一八日
家持は 三形王屋敷の宴にいた
変後の異動で 右中弁となり
太政官執行部に席し 気を安らげていた
変直後の 重苦しさから 解かれたかに
集いし面々 穏やかな歌が続く
み雪降る 冬は今日のみ 鴬の 鳴かむ春へは 明日にしあるらし
《雪の降る 冬今日限り 鶯の 鳴く春来るん もうすぐそこや》
―三形王―(巻二十・四四八八)
うち靡く 春を近みか ぬばたまの 今夜の月夜 霞みたるらむ
《うららかな 春近づいて もうそこや 今夜の月は 霞んでおるよ》
―甘南備伊香―(巻二十・四四八九)
あらたまの 年行き返り 春立たば まづ我がやどに 鴬は鳴け
《鶯よ 年改まり 春来たら まず家の庭 来て鳴くんやで》
―大伴家持―(巻二十・四四九〇)
十二月二三日 大原今城宅での 宴
ここでも 家持
春心地が 見える
月数めば いまだ冬なり しかすがに 霞たなびく 春立ちぬとか
《霞立ち 春来たみたい 靡いてる 月数えたら まだ冬やのに》
―大伴家持―(巻二十・四四九二)
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