【掲載日:平成23年12月2日】
剣大刀 いよよ研ぐべし
古ゆ 清けく負ひて 来にしその名ぞ
聖武帝 崩御
失意最中の 家持に 追い打ち
同族 大伴古慈斐 朝廷誹謗で逮捕(五月十日)
孝謙天皇 勅により 放免(十三日)も
淡海三船讒言により 出雲守解任
仲麻呂の魔手 遂に動くかに
政界動揺 不安は広がる
あれこれ思い煩う 家持
心疲れが 嵩じ 病の床
苦慮に沈み やがての決意
『族に諭す歌』の 認め 六月十七日
久方の 天の戸開き 高千穂の 岳に天降りし 皇祖の 神の御代より
《高天原の 天の戸開き 高千穂岳に 天下られた 天皇祖先 神さん代から》
櫨弓を 手握り持たし 真鹿児矢を 手挟み添へて 大久米の ますら健男を 先に立て 靫取り負ほせ 山川を 磐根さくみて 踏み通り 国求ぎしつつ
《弓手に持って 矢を脇抱え 勇者大久米 先頭立たせ 靫を背負って 山川越えて 岩根踏み敷き 国土を求め》
ちはやぶる 神を言向け 衣従はぬ 人をも和し 掃き清め 仕へ奉りて
《張り合い神の 心を解き 逆らう人を 諭して下し 天下平定 成し遂げられて》
蜻蛉島 大和の国の 橿原の 畝傍の宮に 宮柱 太知り立てて 天の下 知らしめしける 皇祖の 天の日嗣と 継ぎて来る 君の御代御代
《ここの大和の 橿原畝傍 宮殿柱 立派に立てて 国を開かれ お治めされた 天皇の 後次々と 継いで来られた その御代御代で》
隠さはぬ 赤き心を 皇辺に 極め尽して 仕へ来る 祖の官と 言立てて 授け給へる 子孫の いや継ぎ継ぎに
《誠真心 一途と尽くし お仕え申した 一族祖先 心籠められ 天皇様が これが役目と お授けされた 官名前を 次々子孫》
見る人の 語り継ぎてて 聞く人の 鏡にせむを 惜しき 清きその名ぞ
《見ては言い継ぎ 聞いては手本 有り難受けた その名は清い》
おぼろかに 心思ひて 虚言も 祖の名絶つな 大伴の 氏と名に負へる 大夫の伴
《仇や疎か 絶やすなその名 氏に大伴 その名を付けた 我ら一族 心を致せ》
―大伴家持―(巻二十・四四六五)
磯城島の 大和の国に 明らけき 名に負ふ伴の男 心つとめよ
《大和国 隠れ無き名の 大伴の 一族我ら 心し励め》
―大伴家持―(巻二十・四四六六)
剣大刀 いよよ研ぐべし 古ゆ 清けく負ひて 来にしその名ぞ
《大刀磨き 心を磨げよ 昔から 汚れも無しに 伝えきた名ぞ》
―大伴家持―(巻二十・四四六七)
――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
