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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

旅人編(15)雪にまじれる

2009年10月27日 | 旅人編
【掲載日:平成21年11月26日】

残りたる 雪にまじれる 梅の花 早くな散りそ 雪はぬとも

梅花うめはなうたげ
果てた後の  心地よい虚脱
旅人たびとは みやこを 思いやっていた
〔京でも  梅の宴を 催したことがあった
あの時の友 都での名の知れた医者 吉田宜よしだのよろし
文のやりとりも  久しくなったが
いい機会じゃ 
先日の宴での歌 まとめて送ってやろう
わしの歌が  一首だけでは 寂しかろう
取り急ぎ 追い歌を さねばなるまい〕

残りたる 雪にまじれる 梅の花 早くな散りそ 雪はぬとも
《残り雪  混じって咲いてる 梅の花 雪消えたかて 散らんといてや》
                         ―大伴旅人―〔巻五・八四九〕 
雪の色を  奪ひて咲ける 梅の花 今盛りなり 見む人もがも
《白雪に 負けんと咲いてる 梅の花 誰か見る人 てへんやろか》
                         ―大伴旅人―〔巻五・八五〇〕 
わが宿やどに 盛りに咲ける 梅の花 散るべくなりぬ 見む人もがも
《うちの庭 咲いてる梅は 散りそうや 誰か見る人 らへんやろか》
                         ―大伴旅人―〔巻五・八五一〕 
梅の花 いめに語らく 風流みやびたる 花とあれふ 酒に浮べこそ
《梅の花 夢でうたで 酒坏さかづきに 浮かべて欲しい わし風流人すきもんや》
                         ―大伴旅人―〔巻五・八五二〕 

吉田宜よしだのよろしの返書は ただちの物であった
おくれ居て ながひせずは 御園生みそのふの 梅の花にも ならましものを
うらやんで 梅のうたげを 思うより いっそ成りたい ぬしの梅花》
                         ―吉田宜よしだのよろし―〔巻五・五六四〕
〔おうおう  羨ましがらせて しもうたわい
 それにしても うちの庭の梅になりたいとは これはまた 風流な〕

よろしの文が 旅人に みやこ思いを 深くさせる