犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(207)楽浪の

2013年06月15日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【一月二十五日】放映分

楽浪ささなみの 志賀津しがつの子らが まかの 川瀬かはせの道を 見ればさぶしも
楽浪さざなみの 滋賀しがのあの児が 水死んだ云う 川の瀬の道 見てたらさみし》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二一八)

【万葉歌みじかものがたり】志賀津しがつの子らが》

(あの日の湖畔こはん さざ波が光っていた
 出仕しゅっしして まだ日も浅い 近江おうみの宮
 何知らぬ 若僧わかぞうに 絢爛きらきらしい宮であった
 それにも増して 遠くにちらと見た 采女うねめ
 あぁ吉備津きびつの采女
 美麗きらきらしい限りであった)

秋山の したへるいも なよ竹の とをよる子らは いかさまに 思ひれか たくなはの 長きいのちを 
《秋の黄葉もみじが 照るようで しなやか竹の ような児が 何を思たか 分からんが はかのうなって たんや》 
露こそば あしたに置きて ゆふへは ゆといへ 霧こそば ゆふへに立ちて あしたは すといへ
《露うのんは 朝結び 夕方なると 消えるう 霧言うもんは 夕方ばん立って 朝来た時に 消えて仕舞う》 
あづさゆみ おと聞くわれも おほに見し ことくやしきを 敷栲しきたへの 手枕たまくらまきて つるぎ大刀たち 身にけむ 若草の そのつまの子は 
《あの児評判うわさは 聞いてたが 気に留めせんと ったんや 手枕てまくらて 仲うに 並んで寝てた 連れ合いは》 
さぶしみか 思ひてらむ くやしみか 思ひ恋ふらむ 時ならず 過ぎにし子らが 朝露あさつゆのごと 夕霧ゆふきりのごと
さみしゅう思て 寝てんかな くやしゅう思て 偲ぶんか 寿命じゅみょう待たんと 死んだ児は まるで朝露 夕霧や》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二一七)
楽浪ささなみの 志賀津しがつの子らが まかの 川瀬かはせの道を 見ればさぶしも
楽浪さざなみの 滋賀しがのあの児が 水死んだ云う 川の瀬の道 見てたらさみし》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二一八)
そらかぞふ 大津おほつの子が 逢ひし日に おほに見しかば 今ぞくやしき
《大津の児 気にもめんと 見てた日が 今となったら 悔しでしきり》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二一九)

いにしえ思う人麻呂
ぎるは キラキラしい 宮 采女うねめ

楽浪ささなみの 比良ひら山風の 海吹けば りする海人あまの そで返る見ゆ
比良山ひらやまの 吹き下ろし風 うみに吹き 漁師りょうしの袖が ひるがえっとる》【槐本つきもとの歌一首】
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻九・一七一五)
もののふの 八十やそがはの 網代あじろに いさよふ波の ゆくへ知らずも
《宇治川の 網代あじろの木ぃに 寄る波は よどみたゆたい 何処どこ行くんやろ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻三・二六四)
いもらがり 今木いまきみねに 茂り立つ つま松の木は ふるひと見けむ
今木いまきみね 枝葉えだはしげらし 立つ松を むかしの人も 見たんやろうか》
                           ―作者未詳(人麻呂作?)―(巻九・一七九五)
                         (宇治若郎子うじのわかいらつこ-仁徳異母弟-の宮処〈宇治〉にて)

懐古かいこ感懐かんかい胸底むなそこに秘め 人麻呂は 帰路きろを辿る 



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