犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(117)うらぶれて

2012年06月20日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【九月七日】放映分
うらぶれて 物は思はじ 水無瀬川みなせがは ありても水は 行くといふものを
《しょぼくれて しずまんとくわ 水無瀬川みなせがわ 水はかくれて 流れておるで》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八一七)


【万葉歌みじかものがたり】《荒ぶるいもに》

相手こての 問答もんどう歌は
気心きこころ知れた 者同士どし交わす
たわむれ歌に 見えてはいても
きの つばいか

 問答】
かくだにも いもを待ちなむ さけて し月の かたぶくまで
《こんなにも お前待ってて けた 出た月とうと 西沈むがな》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八二〇)
より 移ろふ月の 影をしみ 立ちもとほるに さけにけり
あいだ うつつきて ひかりに めぐとって よるけて仕舞た》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八二一)
(待ちけさすん 常時いっつもやんか
 そやかて月が 綺麗きれやったもん)

 問答】
うらぶれて 物な思ひそ 天雲あまくもの たゆたふ心 が思はなくに
《しょぼくれて おもしずみな くもみたい うわつきごころ わしてないで》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八一六)
うらぶれて 物は思はじ 水無瀬川みなせがは ありても水は 行くといふものを
《しょぼくれて しずまんとくわ 水無瀬川みなせがわ 水はかくれて 流れておるで》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八一七)
 離れてたけど 浮気やないで
 戻って 来てや 待ってるよって)

 問答】
おとのみを 聞きてや恋ひむ 真澄鏡まそかがみ 直目ただめに逢ひて 恋ひまくもいたく
《噂だけ 聞きがれてよ うたなら もっとがれて つろなるよって》
                         ―作者未詳―(巻十一・二八一〇)
このことを 聞かむとならし 真澄鏡まそかがみ 照れる月夜つくよも やみのみに見つ
《そううか やったんやな なんやしら つきってるに 滅入めいったん》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八一一)
(逢いたちゃう つらいんや
  そんなん言うて 嘘決まってる)
  
 問答】
栲領巾たくひれの 白浜しらはまなみの 寄りもあへず 荒ぶるいもに 恋ひつつぞ
邪険じゃけんして 寄りつかせんで つんつんの そんなお前に わしれとんや》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八二二)
かへらまに 君こそ我れに 栲領巾たくひれの 白浜しらはまなみの 寄る時もなき
《何うん あんた勝手に 避けとって うちの所為せいして 寄りつきせんと》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八二三)
 お前きついぞ 惚れてんやのに
  嘘つきないな 避けてるくせに)



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