犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(126)しぐれの雨

2012年07月21日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【九月二十日】放映分

時雨しぐれの雨 なくな降りそ くれなゐに にほへる山の 散らまくしも
時雨しぐれ雨 そんなしっぽり 降りないな あか黄葉もみじの 散るのんしで》
                           ―作者未詳―(巻八・一五九四)

【万葉歌みじかものがたり】今日けふ降る雨に》

騒ぎふざける うたげがあれば
 深い 集いもあるぞ

安貴王あきおうの 誕生祝賀いわい
息子市原王いちはら 寿ことほぎ詠う
市原王いちはら叔父の 湯原王ゆはらのおう
大刀たち舞踊り 賀の歌添える

春草は のちは移ろふ いはほなす 常磐ときはにいませ たふとが君
《春草は 若々しけど 枯れて仕舞う 岩でってや 父君ちちぎみ様よ》
                          ―市原王いちはらのおおきみ―(巻六・九八八)
やき大刀たちの かど打ちはなち 大夫ますらをの 寿とよ御酒みきに 我れひにけり
大刀たち振って しのぎ打ち付け いのりした 祝いの酒に わしうて仕舞た》
                          ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻六・九八九)

明日香豊浦よゆらの 尼寺集い
行く秋思い 萩花はぎはな偲ぶ

明日香川 行きる岡の 秋萩は 今日けふ降る雨に 散りか過ぎなむ
《明日香川 めぐ岡辺おかべの 秋萩は ってる雨で 散るのんやろか》
                          ―丹比国人たじひのくにひと―(巻八・一五五七)
うづら鳴く りにし里の 秋萩を おもふ人どち 相見あひみつるかも
《この古い 昔の里の 秋萩を 心の友と ながめたんやで》
                          ―沙弥尼さみに―(巻八・一五五八)
秋萩は さかり過ぐるを いたづらに 插頭かざしにさず 帰りなむとや
《秋萩は 盛り短い そやうに しもせんと 帰るて言うか》
                          ―沙弥尼さみに―(巻八・一五五九)

歌舞かぶ音曲おんぎょくを つかさどる おうや役人 集い来て
暮れのこの日を 楽しもと 葛井ふじい広成ひろなり 辞を述べる
近時きんじ思うに 古舞盛ん 年もふるなり 暮れんとす
そこでいにしえ 偲びつつ 古歌を皆して 唱うべし
ここに二つの古い歌 わしが披露に 及ぶゆえ
集う風雅ふうがの 皆々は 一念発起ほっき 唱うべし」

我がやどの 梅咲きたりと らば と言ふに似たり 散りぬともよし
うちの庭 梅咲いたでと たら やな 散ってもえか》
                           ―作者未詳―(巻六・一〇一一)
春されば ををりにををり うぐひすの 鳴く我が山斎しまぞ まずかよはせ
《春来たら 梅咲きほこり 鶯も 鳴く庭やから どうぞおしを》
                           ―作者未詳―(巻六・一〇一二)

天平十一年(739)十月 光明皇后宮にて維摩ゆいま
大唐・高麗こま音曲おんぎょくかなで この歌唱う 
琴弾き 市原王いちはらおう 忍坂王おさかおう
歌人うたびと 田口家守たぐちやかもり 河辺東人かわべあずまひと 置始長谷おきそめはつせら十数人

時雨しぐれの雨 なくな降りそ くれなゐに にほへる山の 散らまくしも
時雨しぐれ雨 そんなしっぽり 降りないな あか黄葉もみじの 散るのんしで》
                           ―作者未詳―(巻八・一五九四)



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