松井秀喜引退

レイズからＦＡになって去就が注目されていた松井秀喜が引退を発表した。
記者会見は昨日の朝の７時過ぎから行われたが、ＮＨＫまでもがその模様を中継していたのを見て、改めて彼の凄さを思い知った。
個人的には１年だけ日本に帰ってきて花道を飾ってほしかったが、本人は「巨人の４番を守ったプライドがある。あの頃には戻れない」といった旨の話をしていた。辞める、辞めないは本人が決めることなので、彼の意思を尊重したいと思う。

松井秀喜を語る上で欠かせないのが1992年の夏の甲子園。初戦を突破した松井のいる星稜高校は２回戦で明徳義塾と対戦。
ここで相手の馬渕監督が選んだ作戦は…

松井全打席敬遠

だった。得点圏にランナーがいる時はもちろんだが、ランナーなしでも勝負しなかった。
３打席連続で勝負を避け出すと、甲子園はざわつき始め、「勝負・勝負」コールが沸く５打席目も敬遠されると、怒った星稜のアルプススタンドから大量のメガホンが投げ込まれた。

試合は松井敬遠策が当たり、明徳が勝利。ところが甲子園は怒号に包まれ、明徳の校歌斉唱は「帰れ」コールにかき消されるという前代見聞の事態になった。プロ野球ではヤジは当り前だが、高校野球ではまだ若い高校生の試合なのでヤジは厳禁という暗黙のルールがあり、勝者にも敗者にも暖かい拍手を送るのが慣例だが、この時は異様だった。明徳の学校・宿舎には抗議の電話が殺到。中には脅迫めいたモノもあり、警察が護衛につく有り様。「全打席敬遠」の是非をめぐって社会問題にまでなった。

結局、松井は一度もバットを振らずに敗れ甲子園を去ることになったわけだが、逆にこれが伝説となった。
桑田・清原・松坂・斎藤佑樹など、勝って甲子園の伝説となった選手はいるが、負けて伝説となったのは松井くらいだろう。

ちなみに明徳の馬渕監督は「あの作戦は間違ってなかった。高知代表として簡単に負けるわけにはいかなかった」と語っているが、「（松井の後の５番を打った）月岩くんには申し訳ないことをした」と述べている。
実際、月岩選手は卒業後、大学の野球部に進学したがその際、先輩に「お前が打ってりゃ勝ってたのにな」みたいなことを言われたことで嫌気がさし、退部している。後に板前となって店を出し、馬渕が訪れて謝罪したそうだ。


松井は92年の秋、ドラフトで巨人に指名され日本で10年、アメリカで10年、計20年プレーし507本のホームランを打った。
松井の印象に残るホームランは……？
あれこれ考えたが、どうにも、こうにも浮かんでこない。それだけ、あの５打席連続敬遠のインパクトは強烈だった。
改めて、20年間お疲れ様でしたと言いたい。

	甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実
	中村 計
	新潮社

松井引退報道に隠れる形になったが、マナカナの三倉佳奈ちゃんが結婚したのには驚いた。「ふたりっ子」の頃から見てたからね。どおりで、こっちは年をとるわけだ…トホホ（泣）
佳奈ちゃん、末長くお幸せに