文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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ワニの町に来たスパイ

2019-04-20 09:41:23 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
ワニの町へ来たスパイ (創元推理文庫)
ジャナ・デリオン、(訳)島村浩子
東京創元社

 ヒロインはドワイト・レディングというCIAの(自称)凄腕工作員。武器はピンヒール。人事ファイルには、彼女がいろいろやらかした情報があふれているらしい。今回も武器商人の弟をピンヒールで殴り殺したために、賞金をかけられて命を狙われるはめに。

 二年分の工作を1分もかからずぶち壊したということで、今度こそ馘だと思っていたのだが、下ったのは、モロー長官の姪に成りすまして、ルイジアナで暮らせという命令。そこにはモロー長官の姪・サンディ=スー・モローが最近亡くなった大おばのマージ・ブードローから相続した家があった。

 そのようないきさつで、彼女はサンディ=スー・モローとして、ルイジアナにあるシンフルという町にやってきた。ところが、そこでも事件に巻き込まれる。マージの飼い犬・ボーンが骨を拾ってきたのだが、それが人間の骨。その骨は町の嫌われ者で5年前に失踪したハーヴィという男のものだった。そしてその妻のマリーが行方をくらます。

 ドワイトは、マリーに同情的なシンフル・レディス・ソサエティのガーティ・ハバートアイダ・ベルのおばあちゃんズたちと事件の真相を調べ始める。

 シンフル・レディス・ソサエティというのは、シンフルの町を牛耳っているようだが、このおばあちゃんズがパワフルで、なんとも楽しいのだ。そのパワフルさはヒロインのドワイトを喰ってしまうくらいである。なにしろ、アイダ・ベルなどは、拳銃でアリゲータの後頭部にある25セント程度の急所を打ち抜くことができるし、ガーティ・ハバートはブルース・リー並みの蹴りを披露するのだ。

 実は、マリーは意外なところに隠れていたのだ。どんでん返しの末に明らかになる本当の犯人。シンフル・レディス・ソサエティの本当の姿。最後はちょっと手に汗を握るような感じだったが、その前まではどちらかと言えば楽しいという感じで読めるかも。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

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