文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:大江戸寺社繁昌記

2014-05-24 14:57:44 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
大江戸寺社繁昌記 (中公文庫)
クリエーター情報なし
中央公論新社


 江戸の庶民が、いかに現世利益を神仏に求めていたかは、「江戸のはやり神」(宮田登:筑摩書房)などに詳しいが、本書、「大江戸寺社繁昌記」(鈴木一夫:中公文庫)」は、江戸時代に、そんな風潮の中で、特に目立った信仰風景を展開していた15の寺社を紹介したものである。

 とにかく江戸の庶民の御利益を求めるパワーというのはすごかったらしい。霊験があれば、例え、大名家の藩邸に祀られている神さまだって群がってくるのだ。大名家の方も、そんな庶民の信仰を利用して、自分の領地で信仰されている神様を江戸屋敷に分社し、ちゃっかりと賽銭集めをしていたというから面白い。

 例えば、久留米藩有田氏は、久留米城下から、水天宮を分霊し、江戸藩邸に祀った。久留米藩の屋敷神にすぎなかった水天宮が、なぜか江戸庶民の人気を呼び、藩邸でも、毎月日を決めて参拝を許した。もちろん、目当ては賽銭である。これが、多い年で1700両にも達したというから、賽銭といってもばかにできない。

 また、讃岐の高松松平氏、多度津京極氏、丸亀京極氏は、それぞれ金比羅さんを、屋敷神として祀っていた。丸亀藩では、やはり日を決めて庶民の参拝を許したという。もちろんしっかりと賽銭箱は置かれていたようだ。

 自分の領地に、有名な寺社がなくとも、なんとかこの流れに乗ろうと、上総久留里藩では、地中から出てきたという怪しげな不動尊を売り出そうとして、幕府から罰せられたという事件もあったというから、江戸庶民の屋敷神フィーバーがいかに凄かったかが分かるというものだ。

 この他、銭形平次で有名な神田明神、庶民に親しまれた浅草の浅草寺など、繁盛していた寺社の様子が紹介される。後利益の有るものには、なんでも飛び付こうとする江戸庶民のパワー。その一方で、それを煽って、ちゃっかりと利益を得ようとする者たち。そんな人々で成り立っている花のお江戸は、やっぱり面白い。

☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。
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JR益田駅周辺

2014-05-24 10:26:14 | 旅行:島根県


 上の写真は、少し離れた場所から、JR益田駅を眺めたもの。向こうの方に小さく見えるのが駅の建物である。益田市は浜田氏と並ぶ島根県石見地方の拠点であり、人口は4万9千人弱。この益田駅が表玄関にあたる。




 これが駅前通りから少し行って左方向へ行く道路だ。これをまっすぐ行くと、「グラントワ」という愛称で親しまれている、島根県芸術文化センターに行くことができる。また雪舟庭で有名な医光寺や萬福寺もこの方向である。




 駅前を食事を取るために歩いていると、こんな展示が眼に入った。益田市や浜田市といった石見地区は、神楽が盛んなところだ。貼ってあるポスターによれば、毎週土曜日には、神楽の上演会が開かれるらしい。




 上演場所は、神楽の幟があるので、おそらくここだろう。駅横のビルの二階で、グリーンモーリスホテルのロビーから外に出るとそのまま行くことができる。いつか時間ができた時に、観賞してみたいものだ。
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