マックンのメモ日記

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ツイッター創業者復帰から1年、それでも不振続く理由!

2016-10-09 17:01:15 | ネット、ビジネス、IT
今年1月、米ツイッターの幹部が会議でサンフランシスコ本社に集まりました。幹部4人が突然辞任し、同社の株価が過去最安値を更新した数日後です。

 その会議について知る複数の従業員によると、参加者の1人がジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)を含む経営陣に買収のうわさについて尋ねたところ、アンソニー・ノト最高財務責任者(CFO)は他の会社に問題を解決してもらう必要はないと強い調子で答えたといいます。

 ドーシー氏のCEO復帰から1年たった今、ツイッターは身売りの可能性を探っています。事情に詳しい関係筋によると、今週にも買収案を募る見込みで、評価に向けてゴールドマン・サックス・グループと動いているといいます。買い手候補には米顧客情報管理(CRM)ソフトウエア大手セールスフォース・ドット・コムや米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニー、米グーグルの親会社アルファベットなどが挙がっています。

ドーシー氏の指導力に陰り

 ツイッターの方針転換は、自らが共同で創業した会社に対するドーシー氏の指導力に陰りが見え始めていることを物語っています。時価総額約170億ドル(約1兆7600億円)のツイッターはメディアやIT(情報技術)企業にとって依然、魅力的な買収候補です。彼らの関心の的は月間ユーザー3億1300万人によって生み出される貴重なデータやマーケティングチャンスにあります。しかし、ドーシー氏のこれまでの取り組みはユーザー数や売上高の伸び悩みを覆せず、買収の格好の標的となっているのです。

 上級幹部の中にはドーシー氏への信頼を失いつつあると話す人たちもいます。彼らによると、サービスを利用しやすくしたり、攻撃的なツイートから保護する仕組みを改善したりするなどの手を打ったものの、誕生から10年たつこのサービスを新たに試そうとする人はなかなか増えず、既存ユーザーはツイッターがネット上の嫌がらせの温床になっていると不満をもらしています。4-6月期の月間ユーザー数はわずか1%の伸びにとどまり、増収率は8四半期連続で低下し20%を割りました。

 同社の広報担当者は、ドーシー氏が製品改良の迅速化やサービスの簡素化をはじめ投資家に示した目標を達成していると説明。「最近の製品改良は直接的な利益をもたらしている」と述べ、それによってユーザー数や利用状況が改善したと述べました。ドーシー氏からコメントは得られなかったそうです。

 ドーシー氏のCEO復帰以来、ツイッターの株価は上下に大きく動いています。9月下旬までは約29%下落していましたが、買収の報道を受けてほぼ同程度押し上げられました。

 来月40歳になるドーシー氏は、優先目標の達成を楽観視しています。米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)との有望な契約を含め、ライブ動画配信で新たに十数社と提携したことを大々的に宣伝しました。また同社はツイートを簡素化したり、嫌がらせを抑制したりするための改良を徐々に加えています。ツイッターは27日に7-9月期(第3四半期)決算を発表する予定です。

 ツイッターの共同創設者で現在はソーシャルアプリ「Jelly(ジェリー)」を運営するビズ・ストーン氏は、ドーシー氏について「四半期ではなく10年単位で物事を考える人だ。したがって、彼は将来結果を出すために必要な措置を取っているのだ」と説明しました。また、自身が持つツイッター株を手放すつもりはないとも述べています。

長続きしなかった高揚感

 ドーシー氏が1年前に正式にCEOに復帰した際、従業員の間には楽観的ムードが流れました。彼らはツイッターを救えるのはツイートを発明したドーシー氏だけだと考えたからです。

 ドーシー氏は復帰1カ月目に上級幹部と取締役数人を雇い入れました。その1人は、新会長に起用されたグーグル出身のオミッド・コーデスタニ氏です。同氏は緊急時に他のユーザーに警告を発信できる「ツイッター・アラート」など重要度の低いプロジェクトを打ち切りました。一方で、サービスの簡素化や140字の文字数制限の拡大、写真への「ステッカー」機能の追加を承認しました。

 他の上級幹部は、もっと大胆な措置が必要だと考えました。ゴールドマン・サックス出身でNFLのCFOも務めていたノト氏は、NFLをはじめとするスポーツリーグと特定の試合のライブ動画配信契約を結ぶ計画を急速に進めています。同氏は、ライブイベントはツイッターの強みであり、新規ユーザーや高い広告料金が見込めると踏んだのです。

 1月の幹部会議から間もなくして、ツイッターの従業員が2週間ごとに行われるミーティングのために大会議室に集まりました。白いTシャツと1000ドルもするオレンジ色のハイカットスニーカーを身につけたドーシー氏は、ツイッターがいかに劣勢であるかを説明し、全社一丸となって好業績を上げようと鼓舞しました。

 それを受け従業員たちは、ツイッター上で「#oneteam」のハッシュタグを付けて会社への愛をツイートしたのです。

 しかし、こうした高揚感は長くは続きませんでした。2月、ツイッターは2015年10-12月期のユーザー数が前期から200万人減少したと発表。ユーザー数の前期比割れは上場以来初めてのことです。関係者によると、ツイッターの月間ユーザーの約半分に相当する、毎日ツイッターを見るデーリー・アクティブ・ユーザー(DAU)の割合は下降線をたどり続けています。ツイッターはDAUを最も重要な指標と述べていますが、数字は公表していません。

 関係筋によると、その頃までにはツイッターは財務アドバイザーを雇い、さまざまなユーザー拡大策についてコスト構造を検討していました。戦略的投資家や買い手を探す可能性も協議されたといいます。

 春になるとコスト削減が始まりました。食事の提供時間が短縮されたり、一部のフィットネスクラスが打ち切られたりしました。

 ツイッターの人件費は依然として異例なほど高く、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、過去1年の売上高が10億ドル以上の米IT企業190社の中で、ツイッターは売上高に占める株式報酬コストの比率が26%と2番目に高いのです。

途方に暮れるエンジニア

 ドーシー氏が、モバイル決済会社スクエアのCEOを兼務していることに疑問を呈する上級幹部もいる。ツイッターの元従業員によると、ドーシー氏はスクエアに行くため、あいまいな指示を出したまま会議を立ち去ることが頻繁にあり、エンジニアや製品チームを途方に暮れさせていたそうです。その結果、タイムラインの時系列表示の変更など、一部プロジェクトが何カ月も延期されたといいます。

 停滞したプロジェクトもあります。フェイスブック傘下の写真共有アプリ「インスタグラム」が、写真の下に特定の言葉を含むコメントが表示されないようユーザーが設定できる機能を加えたとき、ユーザーの安全性を担当するツイッターのスタッフは腹を殴られたように感じたといいます。彼らも過去1年、同様の嫌がらせ対策機能を開発しようと取り組んでいましたが、技術面の支援やリソースが十分得られず行き詰まっていました。

 インスタグラムのコメント管理機能の開発を指揮していたのが、1月にツイッターを去った幹部の1人、ケビン・ワイル氏だったという事実も傷口に塩を塗ることになりました。

 コンサルティング会社アリックスパートナーズのマネージングディレクター、フランチェスコ・バロシ氏は「創業者は事業で2、3度壁に突き当たると、市場で金銭的に持続可能なことは何かという現実的な考え方を大抵するようになる」と話しています。(ソースWSJ)

サウジ、米資産の売却は困難-テロ制裁法に反発でも!

2016-10-08 13:12:27 | 経済・金融・投資
2001年9月11日に米国で起きた同時多発テロの犠牲者とその家族がサウジアラビアを訴えることを可能にする法律が成立したことで、サウジが米国資産を売却することへの懸念が広がっています。しかし、アナリストらは、世界最大の経済大国である米国に対するサウジの投資戦略が急に変わる公算は小さいとみています。

 新しい法律は、サウジにテロ攻撃の法的責任を負わせるもので、米国にあるサウジの資産が差し押さえられる可能性があります。両国間の緊張が高まる中、サウジは米国資産の売却や移動のほか、米国の金融政策の動きに左右されないよう、長年続けている米ドルとのペッグ制を見直すかもしれません。

 しかし、そうするには大きなリスクが伴います。サウジの投資の評価額に影響を及ぼすほか、輸入インフレなど為替変動に関連するリスクを大幅に高めるからです。

 クレディ・スイスの中東部門トップ、ファド・イクバル氏は「この法案はセンチメントに重くのしかかるだろう。だがサウジの投資戦略には何の影響も及ぼさないだろう」と述べました。

 米議会は先週、「テロ支援者制裁法案」を成立させました。これで米国市民はテロ攻撃を受けた場合、外国政府を相手取って訴訟を起こすことができるようになりました。

 サウジの外貨準備高は8月末時点で約5600億ドル。その大部分はドル建て資産と推定されています。アナリストらによると、同国は米国で数十億ドル相当の不動産なども保有しています。

 サウジ政府に近い関係者はこの法案に反対するよう議員に働き掛けた際、サウジは米国資産が脅かされていると判断したら、これらの資産を売却、または移動する可能性があると述べました。サウジのジュベイル外相は今年に入り、同法案は世界の投資家の信頼を損なうとの懸念を示しました。

 サウジは数カ月前から、財政強化のために米国債など投資商品の一部を売却しています。しかしアナリストらは、現在の世界の経済情勢では選択肢が少ないため、サウジがお決まりの反応を示すことはないと予想しています。また、急に資産を売却すれば、これらの資産価値に影響を及ぼすとみています。原油安の影響への対処に苦戦している中で、サウジには余裕がほとんどありません。

 サウジは昨年、原油販売収入の減少によって980億ドルという過去最高の財政赤字を計上し、国内での支出削減を余儀なくされました。そこそこの経済状態を維持するために、外貨準備にも手をつけました。同国の外貨準備高は14年半ば以降で4分の1近く減りました。

 クレディ・スイスのイクバル氏は「新しい法律はまだ成立したばかりで、差し迫ったリスクはないだろう」とみています。(ソースWSJ)

グーグル「ピクセル」の第一印象!

2016-10-07 16:06:45 | ネット、ビジネス、IT
米グーグルは4日、新型スマートフォン「ピクセル」とその大型版「ピクセルXL」、仮想現実(VR)プラットフォーム「デイドリーム」対応ヘッドセット「デイドリーム・ビュー」などを発表し、自社が本物のハードウエアブランドであると正式に主張しました。一見して以下のように感じました。

ピクセルとピクセルXL

 ピクセルとピクセルXLは基本的には同じスマホであり、アップルのiPhone(アイフォーン)によく似ています。少なくとも、グーグルがピクセルの製造で提携している台湾の宏達国際電子(HTC)が生産したiPhoneもどきには似ています。

 5インチと5.5インチのディスプレーは見た目が素晴らしく、それはデイドリーム・ビューと合わせて使う時に顔に近づけても変わりません。ピクセルとピクセルXLは、ディスプレーを含めわずかな違いがあるだけです。解像度は、ピクセルが1920×1080、ピクセルXLが2560×1440です(デイドリーム・ビューと合わせて使うためにいずれかを買うなら、解像度は大きいほうの《XL》が高い点に注意したい。サムスン電子の「ギャラクシー7」の2モデルなど、そうではないケースもある)。

 ピクセルもピクセルXLも本体にアルミとガラスを使っており、背面カメラのすぐ下に指紋センサーを搭載しています。グーグルはバッテリーの駆動時間について約束していませんが、いずれのモデルも急速充電技術により15分の充電で約7時間駆動するとしています。グーグルは両モデルがワイヤレス充電に対応していない理由として、このスピードを挙げています。同社のスマホ「ネクサス」では、2012年からワイヤレス充電を採用しています。

 ハードウエアの要素で明らかに欠けているのは防水機能です。今ではアップルとサムスンそれぞれの旗艦スマホに防水機能が備わっているため、ピクセルにないのは意外です。マイクロSDカードスロットもなく、安上がりにメモリーを拡張するわけにもいきません。(iPhone 7と同様、ピクセルの価格は32ギガバイトだと650ドルからだが、128ギガバイトは100ドル高くなる)

 グーグルは12.3メガピクセルのカメラについて自慢しており、入手できるスマホカメラの中で最高になるとまで言っています。しかし、われわれは性能をテストしなくてはならないでしょう。4日にはそれができませんでした。

 テストの準備ができていたのは、ピクセルで初めて登場した「アンドロイド」ソフトの最新バージョンです。目玉の人工知能(AI)「グーグル・アシスタント」は、スクリーン上のホームボタンを長押しして使います。普通の質問をすると信頼できる回答が返ってきますが、それだけではありません。例えば、ラップ歌手の「カニエ・ウェストのツイッターページを見せて」と言うと、ツイッターアプリのウェストさんのプロフィルが自動で開きます。飛行機に乗る予定があれば、空港に向かう時刻をリマインドしてもらうこともできます。

 グーグル・アシスタントはアンドロイドに盛り込まれているため、ユーザーがスクリーンで見ている物のスキャンやユーザーが次にしたい行動の予測すらできます。前身の「ナウ・オン・タップ」に似ているのです。

 ピクセルではアンドロイドの見かけが変わりました。アプリケーションはいずれも丸いアイコンで表され、ホームスクリーン上部には検索バーの代わりに「G」マークのボタンがあり、ホーム画面下部にはアプリを載せたすりガラスのトレーのようなものがあります。これもiPhoneに触発されたデザインかもしれません。

 ピクセルで撮影した写真や動画は自動的に、「グーグルフォト」アプリ経由でクラウドにアップロードされます。その際、画素数は変わりません。

 ピクセルとピクセルXLは、デイドリーム・ビュー(79ドル)の頭脳とディスプレーの両方の役割を果たす初のスマホです。デイドリーム・ビューは、段ボール製の「カードボード」から大きくステップアップ。軽量プラスチックと柔らかい布でできています。

 これまでのところ、VRゲームや360度動画などはほんの少ししかありませんが、グーグルは年内に50本超が利用できるようになるとしています。

 デイドリーム・ビューをかけるとまず、オプションのメニューが見えます。筆者は水生の恐竜が博物館を泳ぐユーチューブの360度動画を見たり、デイドリームの小型リモコンを使ってレーシングゲームをしたりしました。

 だが、ヘッドセットはストラップをするだけなので、ずり落ちそうな感じがしました。頭を素早く動かした時は特にそうでした。

 グーグルによると、主要電話メーカー数社がデイドリーム対応スマホの年内発売を目指しているとしています。それらのスマホは、デイドリーム・ビューと合わせて使うこともできるといいます。

 ピクセル、ピクセルXL、デイドリーム・ビューを30分間いじってみて、1つわかったことがあります。グーグルは消費者向けハードウエアで支配を拡大していますが、より正面から取り組んでいるのはソフトとサービスです。(ソースWSJ)

米高配当株が期初から大幅安-変調の兆しか!

2016-10-06 22:45:03 | 経済・金融・投資
 10-12月期の取引初日にあたる3日の米株式市場で、配当性向が最も高い二つの業種が急落し、今年人気の高い取引の一つがうまく行かなくなりつつある兆しをみせました。

 3日はS&P500種業種別で「公益」が前週末比1.35%安、「不動産」は同1.82%安と、S&P500種指数の同0.33%安を上回る下げを記録しました。「公益」は7営業日続落、「不動産」は3日続落となりました。

 S&P総合1500種の構成銘柄で20年以上連続して増配している企業を対象としているS&P高配当貴族指数は前週末比0.58%下落した。

 これはトレーダーが10-12月期の初日に持ち高調整に動いた感じだ、との指摘が一部にありました。高配当銘柄は今年前半に堅調だったのですが、年末にかけてもアウトパフォームするとはトレーダーがみていない兆候です。

 ジョンズトレーディングのETF取引部門責任者、デーブ・ルッツ氏は「(トレーダーらが)軟調な四半期になる可能性を先取りしているのかもしれない」と指摘しています。

 モーニングスターによると、公益銘柄を対象にする公益事業セレクト・セクターSPDRファンドは、年初来正味で9億2500万ドル余りの残高増となっているのですが、7月初め以降の解約総額が9億2040万ドルとなりました。

 資金流出が起こる前は全般に、10年物米国債の利回りを上回る配当利回りを提供する銘柄を中心に高配当株が需要を集めました。ブラックロックによると、このため配当株の評価は10年超ぶりの高水準に押し上げられました。

 これが7-9月期に配当株の人気がなくなり始めた一因です。同期に「公益」は6.7%下落と、四半期としては09年初め以降最大の下落率を記録しました。今年9月に「金融」から分けられた「不動産」は、月間で2.9%下落しました。

 高配当銘柄は他にも、10-12月期に落とし穴にはまる可能性があります。投資家は今年これまで、株式に投資収益を求めてきました。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月に利上げして投資家が債券市場にまた収益を求めるようになれば、流れが反転しかねません。また、資金調達コストが高くなれば、企業が増配を続けるのは難しくなる可能性もあります。

 ブラックロックのストラテジストらは投資見通しリポートで、「債券利回りの上昇が配当株を圧迫するかもしれないので、増配を続けられる企業の方が好ましい」と述べました。

 それでも、債券など他の資産がかなり割高なので、一部の配当株にはまだ妙味があるかもしれません。ブラックロックのストラテジストらは、「配当株は債券と比較して割安に見える」と指摘しています。(ソースWSJ)

米大統領選、選挙広告の勝者はフェイスブック!

2016-10-05 21:28:43 | 政治(国内・海外)
米フェイスブックが政治広告からの収入で、今年中にアルファベット傘下のグーグルを越える可能性がある――。金融大手シティーグループはこう予測しています。献金やボランティアを得るには今もサーチエンジンを使った広告が絶大な力を持っていることを考えると、この逆転の意味は大きいと言えます。

 理由はフェイスブックの巨大なリーチ力と、より細かい相手を対象に広告を投入できる同社のツールのおかげです。「マイクロ・ターゲット」と呼ばれるこの方法は、有権者からの支持を拡大し、彼らを投票場に向かわせたい選挙陣営にとって天からの恵みといえます。そして一般的な広告と同様、今は政治の世界でもこの手法が広範かつ緻密に使われています。

 政治におけるデータ分析が「過大評価されている」としていた共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏でさえ、その可能性に注目しています。トランプ氏のデジタル戦略の責任者を務めるブラッド・パースケイル氏によると、トランプ陣営は8月にフェイスブックで広告を展開し、選ばれた利用者らに対して10万にもおよぶウェブサイトへのリンクを送信。パースケイル氏によると各ページは利用者それぞれに合わせた内容だったとしています。民主党ヒラリー・クリントン候補の陣営も同じような戦略を展開しているといいます。

 選挙戦略に詳しいジャーナリストのサーシャ・イッセンバーグ氏は、もし可能であるならば選挙陣営は国内全ての有権者を調査し、まだ投票先を固めていない人を抜き出し、彼らから支持を得られるような政策を練り、自らへの1票へと結びつけようとするだろう話しています。まだそこまでは実現できていないものの、細分化はそれに近い状況を作り出しているといえます。

消費傾向や銃所有の記録と照らし合わせる方法も

 有権者の投票心理などに関連するデータ分析を行うケンブリッジ・アナリティカは、共和党予備選挙ではテッド・クルーズ上院議員の陣営に協力していましたが、今はトランプ氏と組みます。データに関する最高責任者のアレキサンダー・テイラー氏によると、同社は米国成人2億2000万人のデータベースを所有し、それぞれに対して4000から5000にもおよぶデータ要素を習得しているというのです。ケンブリッジ・アナリティカはこのデータベースを他社の大量のデータとつなぎます。情報サービス会社のエクスペリアンやアクシオムなどから得られる有権者登録の情報、購買パターン、そして銃所有の記録などと照らし合わせるといいます。

 フェイスブックでもクレジットカードさえあれば同様のサービスを受けられます。利用者の政治思想に対して同社が持つ影響力についてはさまざまな意見がありますが、フェイスブックの選挙広告における影響力についてはまだあまり注目されていません。

 「2008年がフェイスブックの選挙だったと言う人もいますが、個人的には今年こそがフェイスブックの選挙だと感じる」と話すのは、2012年の大統領選に出馬したミット・ロムニー氏の陣営でデジタル戦略を担当したザック・モファット氏です。「ひとつのプラットフォームで全人口の4人に3人を見つけることができるのえす。フェイスブックの価値は、その大きさと規模だ」です。

デジタル広告費は前回の大統領選から3倍

 広告を打つ側が狙ったオーディエンスに的確にメッセージを届けられるよう、フェイスブックもいくつかのツールを提供しています。例えば「カスタム・オーディエンス」と呼ばれるツールを使えば、候補の支持者グループのリストに含まれたユーザーのみに広告を届けることができます。2012年の大統領選でロムニー氏やオバマ大統領も利用したツールです。

 フェイスブックでは地域ごとのキャンペーンなどのためでも、ケンブリッジ・アナリティカが行っているように他のデータ会社から得た情報も併用して使うことを許可しています。また「ルックアライク・オーディエンス」は、一定のグループと似たような特徴を持つ人を狙って広告を打つことを可能にしています。再生された曲から自動的に音楽を勧めてくれるスポティファイなどのサービスのように、ユーザーの特徴から支持者になりうる人を推薦してくれるツールです。

 広告調査を行うキャンター・メディアによると、今回の選挙期間中にはテレビ向けの広告費用として44億ドルが使用されます。調査会社ボレル・アソシエーツによればデジタル広告は約10億ドルなので、その差はまだ大きい。しかしデジタル広告は、前回2012年の大統領選から実に3倍の伸びています。 

 フェイスブックを使った狙い撃ち広告と多額な広告費に対しては、不安の声もあがっています。不明瞭なアルゴリズムがすべてをコントロールすることの危険性について「ウェポンズ・オブ・マス・デストラクション(原題)」を執筆した作家のキャシー・オニール氏もその1人です。

 「選挙陣営は、グーグルやフェイスブックのどの利用者にどの情報を伝えるのが効率的かを考えるようになる」とオニール氏は言います。「しかし選挙陣営にとって効率がいい話であっても、民主主義にとってはそれは不都合だ」ということもあります。

 クリントン陣営の関係者はマイクロ・ターゲットを利用した戦略が重要だと認識する一方、候補者のメッセージそのものが最重要であることは変わらないし、友人や近隣の人と交わす会話の方がSNSで得られる情報よりも影響力があると指摘しています。

 しかし選挙を控えた政治家やその側近らは、新たな手法に一気に流れ込みます。ケンブリッジ・アナリティカのテイラー氏は、「これまでの政治的な知恵は破壊され、データ科学や事実に基づいた情報に取って代わった」と主張すると言っています。 

 ジャーナリストのイッセンバーグ氏も、ターゲットを絞り込むことで選挙戦をより効率的に展開できる点は大きいと話す。仮にクリントン氏がデジタル広告に1億ドルを使う場合、ターゲットを絞り込めばそのうち1000万ドルの無駄を削減できるし、ボランティアや陣営の時間を他の課題に回せるメリットも出てきます。接戦の選挙では、そのような小さな差が激戦州において数千票の違いになり、最終的に選挙結果に影響を与えることすら考えられるのです。(ソースWSJ)