マックンのメモ日記

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ブラックベリーの栄枯盛衰物語!

2016-10-01 12:40:10 | ネット、ビジネス、IT
カナダ・オンタリオ州ウォータールーのベーグル店の上にあったオフィスから飛び出した携帯型端末「ブラックベリー」は、世界トップクラスのブランドに成長しました。誰もが持ちたがるステータスシンボルとなり、コミュニケーションのあり方も変えました。

 しかし、世界のスマートフォン市場で圧倒的な地位を誇ったのもつかの間、ブラックベリーは軽んじていたライバルによって主役の座を奪われてしまいました。ピークだった2011年には5230万台に上った販売台数も、直近の事業年度では320万台に減少。通信機器メーカーのブラックベリーは28日、自社でのスマートフォンの設計と生産を打ち切り、外部委託に切り替えると発表しました。

 ブラックベリーは短期間で信じがたいほどの成功を収めた結果、さまざまな苦悩に直面することになりました。ブラックベリーの創業者で主席エンジニアだったマイク・ラザリディス氏が携帯端末を研究している間、会社は何年もウォータールーでくすぶっていました。その後、ブラックベリーは電子メールを送受信できる世界初の携帯型端末を発表、2000年代初めに突如、トップメーカーに加わったのでした。

 当時、工場が1つしかなかったブラックベリーは世界的な需要に歩調を合わせ、新施設を開設しようと奔走しました。四半期の売上高が前期比で20%も増加したときも、既に大急ぎで行っていたスタッフの採用に拍車がかかりました。月曜日の新入社員説明会には参加者が何台ものバスでやって来たことも珍しくなかったのです。その結果、実務に追われたブラックベリーの幹部はわずかなミスも許されない技術競争に目を向けなくなりました。

 ラザリディス氏らブラックベリーのチームが成功したそもそもの要因は、不安定なデータ用ネットワーク上での周波数帯域を浪費しない新技術を編み出したことにありますが、要因はもう1つありました。それは、機能を搭載したキーボードのおかげで初心者でも簡単に電子メールがやりとりできることでした。

 しかしラザリディス氏と共同最高経営責任者(CEO)のジム・バルシリー氏は急増する需要への対応にばかり目を向け、シリコンバレーの大手ライバルから目を離していたのです。そしてあっという間に追い抜かれてしまいました。

 07年の夏、アップルが発売した初代iPhone(アイフォーン)を解体したラザリディス氏は、しゃれた本体に非常に多くのコンピューター機能が収められていることに衝撃を受けました。ばかげている。ラザリディス氏は同僚に言ったのです。当時の通信ネットワークでは、動画や写真を含め、アップルがユーザーに約束したインターネット通信を処理できるわけがなかったのです。

 ラザリディス氏らブラックベリーの幹部は、野心に満ちたアップルがゲームのルールを変えたことを理解していませんでした。アップルは通信大手のAT&Tと独占契約を結び、AT&Tにとってこれがネットワーク更新の大きなインセンティブとなったのです。

 ネットワークが更新されたおかげで、当初、通話の途中に電話が切れる現象に怒りを募らせていたiPhoneのユーザーが、人気ゲーム「アングリーバード」で遊んだりアプリをダウンロードしたりできるようになりました。ブラックベリーが長年、顧客に提供できなかったサービスです。

 07年に検索大手のグーグルが端末メーカーに対し、携帯型端末向けに開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」の使用を無償で認めると発表すると、利害関係にも変化が生じました。韓国のサムスングループなど世界的な端末メーカーは低価格端末を投入し、ブラックベリーの顧客を奪うことができるようになったのです。12年には、サムスンは世界をリードするスマホメーカーになっていました。

 ブラックベリーの苦悩は深まり、同社の時価総額も市場でのシェアも急落した。13年を迎える前にラザリディス氏とバルシリー氏は同社を去りました。ブラックベリーの失敗のあまりの深刻さに、数年前にはラザリディス氏でさえブラックベリーが早晩、時代遅れになることを悟ったのです。生産中止を恐れたラザリディス氏は13年にブラックベリー本社近くの家電小売店でブラックベリーの在庫を買い占めました。

 その理由について、1998年にブラックベリーを世に送り出したラザリディス氏はこう語っています。「最も恐ろしいのはブラックベリーを持てなくなることだ」。世界のスマートフォン市場でのブラックベリーのシェアは今や1%を切っています。これを支えるのはブラックベリーを象徴するキーボードを支持する義理堅いユーザーです。バルシリー氏もラザリディス氏と同じく、今でもブラックベリーを愛用しています。同氏が使っているのはブラックベリー・クラシックです。

 昨年、バルシリー氏はトロントで聴衆に向かって言った。「(ブラックベリーを)死んでも離すつもりはない」と。(ソースWSJ)