米国のオバマ政権は国交を回復したキューバとの経済関係の拡大に取り組んでいます。オバマ氏は20日(現地時間)、現職の米国大統領として88年ぶりにキューバを訪問しました。しかしキューバ市場を狙っているのは米国だけではありません。中国は数年前からキューバ市場に参入し、経済関係の構築に力を注いできました。米国は先行する中国に競争を挑むことになるのです。
中国政府によると、昨年1月から9月までの同国の対キューバ貿易は16億ドル(約1784億円)で、異例の低水準となった前年同期から57%増加しました。キューバの首都ハバナと北京を結ぶ直行便は昨年12月に就航したが、キューバでインターネットのインフラ整備をリードしているのも中国です。
米国の元外交官でカリフォルニア大学サンディエゴ校とブルッキングス研究所でキューバ経済を研究するリチャード・ファインバーグ氏によると、中国の影響力はあらゆる分野に及んでいて、「キューバはまだ米国を警戒している」といいます。
中国はキューバにとって第2位の貿易相手国ですが、首位のベネズエラからは大きく後れをとっています。今のキューバの体制ではほとんどの国にはビジネスの機会は限られているということです。キューバと中国の合弁事業や中国からの直接投資はまだ小規模にとどまっていますが、中国人観光客向けの高級宿泊施設などリゾート用不動産を4億6000万ドルで建設する計画もあります。
中国政府系シンクタンク中国社会科学院のキューバ専門家、徐世澄(Xu Shicheng)氏によると、中国の対キューバ投資は今後、増加する可能性が高いと言い、米国がキューバに関する規制を緩和すれば、キューバは世界経済に対して開かれるからです。
「キューバと米国の関係が改善して規制が緩和されれば、中国が今後、キューバに投資する際にプラスに働くだろう」(徐氏)と。
米国と中国は世界のさまざまな地域で覇権争いを演じていますが、キューバは他の地域と違って文化的に米国寄りで、距離も米国に近い。これが米国にとって有利に働く可能性があります。ホワイトハウスはこの点を考慮して、キューバに対する経済的影響力に関しても、キューバの政治の行方をめぐる争いでも中国と互角に戦えると考えています。
オバマ大統領のキューバ訪問を前に、AT&Tなど米国の大企業がキューバとの契約に乗り出しています。17日には米郵政公社(USPS)が50年以上ぶりにキューバとの郵便物の直接のやり取りを再開したと発表しました。一方、キューバはドルの両替に科している10%のペナルティーを撤廃すると発表しています。
米国企業で積極策に打って出ているのは観光業界です。オバマ政権は通信会社に対して規制を緩和し、特別の裁量を認めたものの、これまでの成果は米国からの旅行者が利用できるローミングサービスについて合意する程度にとどまっています。
通信業界には米キューバ両政府の間の緊張がいまだに強く残っていて、オバマ大統領は米国の通信会社にキューバでの営業を承認しましたが、キューバ政府はこれを拒否しています。
一方、中国はキューバで先頭に立ってインターネット網の構築に取り組んでいます。しかし、カリフォルニア州立大学ドミンゲスヒルズ校教授のラリー・プレス氏によると、キューバで導入が予定されているシステムはすでに時代遅れであることもあって、将来的には米国企業に機会が巡ってくる可能性があるといいます。
キューバは今年1月、ハバナ旧市街でブロードバンドによるインターネット接続を提供する試験プロジェクトを開始すると発表しました。住民だけでなく飲食店も中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の光ファイバー網経由でインターネットに接続できるようになります。
昨年、全国的にWi-Fiが利用できる場所(ホットスポット)が整備されたとき華為技術の設備が使われました。今年1月にはキューバの国営通信会社エテクサ(ETECSA)がハバナにWi-Fiのホットスポットを30カ所増設すると発表しました。ただ、利用料は1時間当たり2ドルで、多くのキューバ人にとってはまだ高い金額です。
米政府関係者によると、グーグルなど米国企業が通信に関する提案を行っても、キューバ側は独自のペースで進めたいとして冷ややかな反応を見せているといいます。
ワシントンにあるアメリカン大学公共政策学部の政治学教授で米キューバ関係についての著作があるウィリアム・M・レオグランデ氏は、「米国には通信を利用してキューバ政府を攻撃しようとした過去がある。だからキューバは米国のハードウエアを信用しない」と語りました。
キューバ政府がインターネット接続を拡大したがらないのはデータへのアクセスを統制できなくなるかもしれないという不安があるからです。キューバが疑心暗鬼になるのも無理はありません。米国はキューバ向けにツイッターに似たサービス「スンスネオ」を提供するなどしてキューバ政府の足を引っ張ろうとしたことがあるからです。利用者にはスンスネオの運営資金を提供していたのが米国政府であることは知らされていなかったのです。
ニューヨーク市立大学バルーク校の教授でキューバのソーシャルメディアやインターネットについて研究したことがあるテッド・ヘンケン氏は「これが国の安全保障に関わる問題だとすれば、私なら敵ではなくイデオロギーを共有する仲間か協力者と取引したい」と語りました。
中国は数年前からキューバに投資していますが、中国社会科学院の徐氏は必ずしも利益が出ているわけではないと語っています。
徐氏によると、米国がキューバに対して禁輸措置を実施しているため、中国企業はキューバの工場で製品を作っても、周辺地域で販売するのは難しいのです。また、キューバは対内投資を制限する規則を設けており、中国企業は自由に雇いたい労働者を雇ったり、本国に送金したりすることができないといいます。(ソースWSJ)
中国政府によると、昨年1月から9月までの同国の対キューバ貿易は16億ドル(約1784億円)で、異例の低水準となった前年同期から57%増加しました。キューバの首都ハバナと北京を結ぶ直行便は昨年12月に就航したが、キューバでインターネットのインフラ整備をリードしているのも中国です。
米国の元外交官でカリフォルニア大学サンディエゴ校とブルッキングス研究所でキューバ経済を研究するリチャード・ファインバーグ氏によると、中国の影響力はあらゆる分野に及んでいて、「キューバはまだ米国を警戒している」といいます。
中国はキューバにとって第2位の貿易相手国ですが、首位のベネズエラからは大きく後れをとっています。今のキューバの体制ではほとんどの国にはビジネスの機会は限られているということです。キューバと中国の合弁事業や中国からの直接投資はまだ小規模にとどまっていますが、中国人観光客向けの高級宿泊施設などリゾート用不動産を4億6000万ドルで建設する計画もあります。
中国政府系シンクタンク中国社会科学院のキューバ専門家、徐世澄(Xu Shicheng)氏によると、中国の対キューバ投資は今後、増加する可能性が高いと言い、米国がキューバに関する規制を緩和すれば、キューバは世界経済に対して開かれるからです。
「キューバと米国の関係が改善して規制が緩和されれば、中国が今後、キューバに投資する際にプラスに働くだろう」(徐氏)と。
米国と中国は世界のさまざまな地域で覇権争いを演じていますが、キューバは他の地域と違って文化的に米国寄りで、距離も米国に近い。これが米国にとって有利に働く可能性があります。ホワイトハウスはこの点を考慮して、キューバに対する経済的影響力に関しても、キューバの政治の行方をめぐる争いでも中国と互角に戦えると考えています。
オバマ大統領のキューバ訪問を前に、AT&Tなど米国の大企業がキューバとの契約に乗り出しています。17日には米郵政公社(USPS)が50年以上ぶりにキューバとの郵便物の直接のやり取りを再開したと発表しました。一方、キューバはドルの両替に科している10%のペナルティーを撤廃すると発表しています。
米国企業で積極策に打って出ているのは観光業界です。オバマ政権は通信会社に対して規制を緩和し、特別の裁量を認めたものの、これまでの成果は米国からの旅行者が利用できるローミングサービスについて合意する程度にとどまっています。
通信業界には米キューバ両政府の間の緊張がいまだに強く残っていて、オバマ大統領は米国の通信会社にキューバでの営業を承認しましたが、キューバ政府はこれを拒否しています。
一方、中国はキューバで先頭に立ってインターネット網の構築に取り組んでいます。しかし、カリフォルニア州立大学ドミンゲスヒルズ校教授のラリー・プレス氏によると、キューバで導入が予定されているシステムはすでに時代遅れであることもあって、将来的には米国企業に機会が巡ってくる可能性があるといいます。
キューバは今年1月、ハバナ旧市街でブロードバンドによるインターネット接続を提供する試験プロジェクトを開始すると発表しました。住民だけでなく飲食店も中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の光ファイバー網経由でインターネットに接続できるようになります。
昨年、全国的にWi-Fiが利用できる場所(ホットスポット)が整備されたとき華為技術の設備が使われました。今年1月にはキューバの国営通信会社エテクサ(ETECSA)がハバナにWi-Fiのホットスポットを30カ所増設すると発表しました。ただ、利用料は1時間当たり2ドルで、多くのキューバ人にとってはまだ高い金額です。
米政府関係者によると、グーグルなど米国企業が通信に関する提案を行っても、キューバ側は独自のペースで進めたいとして冷ややかな反応を見せているといいます。
ワシントンにあるアメリカン大学公共政策学部の政治学教授で米キューバ関係についての著作があるウィリアム・M・レオグランデ氏は、「米国には通信を利用してキューバ政府を攻撃しようとした過去がある。だからキューバは米国のハードウエアを信用しない」と語りました。
キューバ政府がインターネット接続を拡大したがらないのはデータへのアクセスを統制できなくなるかもしれないという不安があるからです。キューバが疑心暗鬼になるのも無理はありません。米国はキューバ向けにツイッターに似たサービス「スンスネオ」を提供するなどしてキューバ政府の足を引っ張ろうとしたことがあるからです。利用者にはスンスネオの運営資金を提供していたのが米国政府であることは知らされていなかったのです。
ニューヨーク市立大学バルーク校の教授でキューバのソーシャルメディアやインターネットについて研究したことがあるテッド・ヘンケン氏は「これが国の安全保障に関わる問題だとすれば、私なら敵ではなくイデオロギーを共有する仲間か協力者と取引したい」と語りました。
中国は数年前からキューバに投資していますが、中国社会科学院の徐氏は必ずしも利益が出ているわけではないと語っています。
徐氏によると、米国がキューバに対して禁輸措置を実施しているため、中国企業はキューバの工場で製品を作っても、周辺地域で販売するのは難しいのです。また、キューバは対内投資を制限する規則を設けており、中国企業は自由に雇いたい労働者を雇ったり、本国に送金したりすることができないといいます。(ソースWSJ)
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