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英不動産市場、本当のリスクは居住用不動産にあり!

2016-07-09 12:32:46 | 経済・金融・投資
英国が欧州連合(EU)離脱を決めた後、同国の商業用不動産市場が機能不全に陥ったことが今週表面化しました。事務所や店舗に投資し、通常は日々の流動性を供給するミューチュアルファンドが、その扉を閉ざしました。

 しかし本当のリスクは、商業用不動産ではなく居住用不動産にあります。賃貸用に集合住宅を購入した中小投資家も、英国の不動産バブルは終わったと判断すれば、事態は本当に面倒なことになるでしょう。

 いままでに、突然の評価減などを受け、6つのファンドが取引を停止しました。英保険大手プルーデンシャル傘下のファンド運用会社M&Gインベストメンツは先週、資産規模46億英ポンドのファンドについて約5.5%の評価損を計上したのです。アバディーン・アセット・マネジメントは解約を希望する投資家に17%の減価を容認するよう求めました。同社はファンドの評価が約7%下落したとみていて、残り10%は現金化する際の対価です。不動産を1週間以内に売却するためには、割り引く必要があるためです。

 オープンエンド型の不動産ファンドは、2013年から15年にかけて81億ポンドの資金を集めました。ファンドはその資金を投資する必要があり、既に高くなっていたロンドンの不動産相場が一段と過熱しました。ここにきて一部の投資家が逃げ出し、ファンド運用会社は資産売却を強いられています。解約を停止しても、この動きは止められません。英中銀イングランド銀行は5日に発表した金融安定報告で、オープンエンド型ファンドの構造は「あらゆる市場の調整を増幅する可能性がある」と予測して警告しました。

 リスクは、不動産の不良債権が08年のように金融システムを機能不全に追い込むことです。しかし、銀行は当時よりもはるかに備えを固めています。英国の商業用不動産を裏付けとする債権総額は、07年当時よりも約3分の1少ない上に、融資基準は厳格化しています。

 本当に悪夢のような展開は、居住用不動産市場で同じような投資家の売りの波が生まれることです。投資家が住宅価格の値上がりを狙い低利の資金を利用したため、英国の銀行では、いわゆる「賃貸物件購入」用ローンが主な成長分野になってましきた。こうしたローンは、英国の有担保貸し出し残高全体の17%を占めています。

 ミューチュアルファンド投資家に追随して居住用不動産の所有者も逃げ出すと、高いことで知られる英国の住宅価格の調整につながる可能性があります。イングランド銀行が5日に「賃貸物件購入の投資家は景気循環に従い行動する可能性があり、住宅市場の循環全体を増幅する可能性が高い」と警告した意味はここにある。

 住宅資産を担保とした借り入れはまだ盛んではありませんが、大多数の英国人にとって住宅は純資産の中で高い割合を占めているため、住宅価格の下落は消費経済に厳しい痛手となるでしょう。

 最近の税制改正により、特にロンドンのような高い不動産市場においては、賃貸物件購入はかつてほど利益の上がる取引ではなくなってきました。しかし、金利がこれほど低い中、しかもしばらく続く可能性が高い中で、おそらく大多数の不動産保有者にとっては引き続き利益を生むことでしょう。これに住宅を売却する難しさと費用を合わせると、投資家が自らの資産を抱え込む可能性はさらに高くなります。住宅価格が下がり始めれば、さらなる売りを誘う可能性があり、自らの予測を実現するような下げ相場になるでしょう。

 約350億ポンドの資産を運用する不動産ファンドの解約が生み出した懸念を思い、5月だけでも182億ポンドのローンが組まれた賃貸物件購入が解消され始めた場合を考えると、イングランド銀行が心配しているのは間違いありません。(ソースWSJ)