米企業の現金保有高の増加に注目が集まっていますが、これは債務というさらに大きな問題を覆い隠しています。
S&Pグローバル・レーティングが発表した最新の調査によると、非金融企業が保有する現金などの手元資金は昨年1%増加して1.84兆ドル(約200兆円)となりましたが、債務総額は約15%増加して6.6兆ドルに達しました。
いずれも過去最高額ですが、調査対象となった非金融企業2000社の間ではキャッシュポジション(現預金と短期保有有価証券の合計から有利子負債を差し引いた金額)に大きな開きがありました。
S&Pグローバル・レーティングのクレジットアナリストで同調査の共同執筆者でもあるアンドリュー・チャン氏は「流動性状況は見かけほど良くないというのがポイントだ」と述べています。低格付けの企業は金利が上昇する中で債務の借り換えに苦労する可能性があるといいます。
現金保有高が多い上位25社は全体の約1%に過ぎませんが、これら企業が半分強に当たる51%の現金を有しています。5年前にはこの比率が38%でした。
上位を占めるのはハイテクや医薬品企業が大半で、例えばアップルは現金および流動資産が2157億ドル、マイクロソフトは1128億ドル、アルファベットは719億ドルに上っています。これら数値は報告された額にS&Pグローバル・レーティングが調整を加えたものです。
総じて、上位25社は現金預金比率が153%で、現金保有高は2015年に8%増加しました。
潤沢な資金を保有する上位1%を除き、企業全体の見通しはそれほど良好ではありません。残りの99%の企業では昨年、債務が7300億ドル膨らんだ一方、現金保有高は400億ドル減少しました。
チャン氏は、これら企業は「現金保有高をまったく増やしていない」と指摘しました。
こうした企業の現金保有高は合計9000億ドル、負債は6兆ドル。現金預金比率は15%で、ここ10年で最低の水準となっています。
格付け別では、投資適格級の発行体の現金預金比率が17%であるのに対し、投機級の発行体では12%となっています。
金利上昇に伴ってどのような変化が起きるかは定かでありません。コロンビア大学ビジネススクールの会計学准教授、ダン・アミラム氏は「企業債務市場はここ数年、多忙を極めている」とし、「影響を及ぼしているのは、次に何が起きるかをめぐる不透明感だ」と述べています。
チャン氏は、上位1%の現金保有企業には大きな変化がないと見ています。「これらの企業は金利が上昇しても債務を発行し続けるだろう」とした上で、例えばアップルのような企業は、海外に保有する多額の資金を国内に送金する代わりに米国で債務を発行するとの見通しを示しました。
アップルの広報担当者は電子メールおよび電話でのコメント要請に応じていません。(ソースWSJ)
S&Pグローバル・レーティングが発表した最新の調査によると、非金融企業が保有する現金などの手元資金は昨年1%増加して1.84兆ドル(約200兆円)となりましたが、債務総額は約15%増加して6.6兆ドルに達しました。
いずれも過去最高額ですが、調査対象となった非金融企業2000社の間ではキャッシュポジション(現預金と短期保有有価証券の合計から有利子負債を差し引いた金額)に大きな開きがありました。
S&Pグローバル・レーティングのクレジットアナリストで同調査の共同執筆者でもあるアンドリュー・チャン氏は「流動性状況は見かけほど良くないというのがポイントだ」と述べています。低格付けの企業は金利が上昇する中で債務の借り換えに苦労する可能性があるといいます。
現金保有高が多い上位25社は全体の約1%に過ぎませんが、これら企業が半分強に当たる51%の現金を有しています。5年前にはこの比率が38%でした。
上位を占めるのはハイテクや医薬品企業が大半で、例えばアップルは現金および流動資産が2157億ドル、マイクロソフトは1128億ドル、アルファベットは719億ドルに上っています。これら数値は報告された額にS&Pグローバル・レーティングが調整を加えたものです。
総じて、上位25社は現金預金比率が153%で、現金保有高は2015年に8%増加しました。
潤沢な資金を保有する上位1%を除き、企業全体の見通しはそれほど良好ではありません。残りの99%の企業では昨年、債務が7300億ドル膨らんだ一方、現金保有高は400億ドル減少しました。
チャン氏は、これら企業は「現金保有高をまったく増やしていない」と指摘しました。
こうした企業の現金保有高は合計9000億ドル、負債は6兆ドル。現金預金比率は15%で、ここ10年で最低の水準となっています。
格付け別では、投資適格級の発行体の現金預金比率が17%であるのに対し、投機級の発行体では12%となっています。
金利上昇に伴ってどのような変化が起きるかは定かでありません。コロンビア大学ビジネススクールの会計学准教授、ダン・アミラム氏は「企業債務市場はここ数年、多忙を極めている」とし、「影響を及ぼしているのは、次に何が起きるかをめぐる不透明感だ」と述べています。
チャン氏は、上位1%の現金保有企業には大きな変化がないと見ています。「これらの企業は金利が上昇しても債務を発行し続けるだろう」とした上で、例えばアップルのような企業は、海外に保有する多額の資金を国内に送金する代わりに米国で債務を発行するとの見通しを示しました。
アップルの広報担当者は電子メールおよび電話でのコメント要請に応じていません。(ソースWSJ)