マックンのメモ日記

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アップルCEO、ロック解除問題で危険な戦術!

2016-02-21 18:32:33 | ネット、ビジネス、IT
米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、瀬戸際戦術という危険な作戦で政府と戦っています。その過程で、私たちのモバイル機器全てのセキュリティーを脅かす政治・司法プロセスが形成される可能性があります。

 初めに言っておくと、私は裁判所の命令をはねつけたクック氏の公開書状の趣旨に賛成です。裁判所は、カリフォルニア州サンバーナーディーノ郡で起きた銃乱射事件の容疑者が使っていた「iPhone(アイフォーン)」のロックを連邦捜査局(FBI)が解除できるようにするため、アップルにアイフォーン用基本ソフト(OS)の新バージョンを作るよう命じていることです。

 クック氏は、アイフォーンのセキュリティーを克服する新たなソフトをアップルが作るよう求めたFBIの要請が前代未聞だとの当然の主張をしています。「米国企業が顧客をより大きな攻撃リスクにさらすように強いられた前例は見当たらない」といいます。

 やっかいなのは、FBIがアップルに作らせたいと言っているのは、サンバーナーディーノ事件容疑者のアイフォーンだけに使うソフトです。しかし、ソフトのコードが野に放たれれば――こうしたことはそうなりがちだが――あらゆるアイフォーンの暗号化が基本的に疑わしくなるでしょう。

 それでも、今回の問題のややこしさはクック氏の許容範囲を超えており、その詳細はアップルに有利とは限らないのです。アップルのクックCEOは、カリフォルニア州サンバーナーディーノ郡で起きた銃乱射事件の容疑者が使っていた携帯電話のロック解除を求める裁判所命令に異議を唱える意向を示しました。

 まず、状況の受け取られ方です。テクノロジーアナリストのベン・トンプソン氏の言うように、「今回のケースは、明確に悪人が絡んだ国内テロで、誰も反対できない令状があります。そしてアップルには要求に応じる能力がある」とみられています。次に、問題のアイフォーンが「5C」という比較的古い型である点です。新しい型とは違うことから、アップルがFBIによるセキュリティー迂回(うかい)用に作るソフトが新型のアイフォーンを危険にさらすことはないと、開発者でモバイル向け基本ソフト「iOS」のセキュリティー専門家のダン・グイド氏は指摘しています。

 最後に、今回のケースがどうなろうと、アップルは法廷でさらに大きな戦いに負けるリスクを負います。その影響で、アップルのほかグーグル、マイクロソフトなど他社も、一般の機器に強力な暗号化技術を投入するプロジェクトを後退させる恐れがあるのです。

 筆者は弁護士ではなく、本稿で法律の分析しているわけでもありません。しかし、一部の人たちは、令状に基づいた捜索から機器を守ろうとするアップルの戦いは、過去の判例からみれば不利であることを示唆しています。

 アップルはデータ保護をめぐりFBIとおおっぴらに争っていますが、同社が求められるのはせいぜい、旧型アイフォーンのセキュリティーを危険にさらすことです。アップルがこの件で原則を譲らない理由について論理的説明を思いつくとすれば、同社(そして消費者)にとって最悪の事態につながりうる命令の前例を作りたくないということでしょう。

 最悪の事態とは、アップルが全てのアイフォーンにセキュリティーの「裏口」を設けるよう強制される状況であり、その結果はアイフォーンから暗号化機能をなくすことに等しいのです。アイフォーンを保有する人全ての財産、健康、個人データをサイバー犯罪者、ハッカー、国家の手先に利用させたい場合は別として、われわれは文化として暗号化機能に裏口を作りたいとは思いません。

 しかし今回FBIは暗号化機能の裏口を、少なくとも明示的には求めていません。要求は特定のケースに対するものです。そして私は、アップルがこれほど大々的に協力を拒むことによって、ある状況を醸成しつつあると懸念しています。その状況の下で裁判所や議会はいつか、同社が今回降伏した場合よりもさらに大きな打撃を私たちの最も個人的な機器のセキュリティーに及ぼすことをアップルに命じるでしょう。(ソースWSJ)