女性のベール「義務ではない」 サウジ聖職者の発言が物議！

サウジアラビアの著名な聖職者が妻とともに人気テレビ番組に出演した際、妻の顔がベールで覆われていなかったことが大きな議論を巻き起こしています。

アフメド・ガムディ師は、かつてメッカの宗教警察のトップを務めた人物です。しかし今では、顔全体を覆うベールをすべての女性に強制するのはイスラムの教えとは言えないと主張しています。

ガムディ氏は番組で、「（女性がベールで顔を覆うことは）義務ではないし、イスラム法学における証拠もある」と指摘。髪などを覆う「ヒジャブ」について、預言者ムハンマドの妻たちにのみ着用が義務づけられていたものが、のちに神がイスラム教徒女性全般に義務づけたと誤解されるようになったとの見方を示しています。

サウジアラビアは宗教に関しては保守的です。女性は顔をベールなどで覆うことが宗教的な伝統となっており、顔を出して外出すれば宗教警察や周囲の人からとがめられる可能性があります。

しかし、番組に出演したガムディ師の妻は、体を隠す黒い伝統的な衣服を身にまとう一方で、化粧をし、サングラスを身につけ、ブランド物のバッグを持っていたそうです。

ガムディ師の主張をめぐっては、サウジアラビアのイスラム教の最高権威であるアブドゥルアジズ・シェイフ師が神を恐れぬ態度だと強く批判。その一方で、メッカの大モスクの上級イマームだったアデル・カルバニ師はツイッターでガムディ師と妻を擁護する発言を行っています。

この件はインターネットでも大きな話題となりました。ガムディ師が地元紙に語ったところでは、同師は殺人の脅迫を受けたといいます。

主流派のイスラム教指導者の間では、女性のベール着用「義務」はイスラム法の規定というより部族的な伝統の名残だとの見方が主流となっているといいます。

現地の人たちでもベールをかぶるのがいわば常識であって、私たちもイスラム教徒はそういうものだと思っていましたが、そうではないという主流派の意見があるという事には驚きを隠せません。