私たちは一体あとどれくらい生きられるのか・・・・・・・・・・・・
誰にもわかりません。
緩和ケア外来の患者さんは、「あとどれくらいですかね?」と
聞きます。
そう、聞きたくなります。
抗がん剤が効かなくて、もう治療がないから、痛みをとるだけに
なるでしょうと言われていらっしゃった男性が、ずっと泣いていました。
もう何もできないとわかって、悲嘆にくれていました。
声にならない声で、ただただ幼子のように泣いていました。
皺くちゃの顔に流れる涙は、刻まれた皺の通りに下に流れていきました。
それを見ながら「若いって、涙はまっすぐに流れるけど、年をとると違うんだ」
と、おかしなことを考えながらも、私も涙を抑えられませんでした。
男泣き。
その泣き方は、切なく狂おしく、くやしさでいっぱいのようでした。
奥様は「一日一日を過ごしていくしかないんですね・・・・・」と。
まだ歯が生えていないお孫さんが、可愛くて、愛しくて、
私は抱っこしていました。笑顔が太陽のように眩しく、命みなぎっています。
東野圭吾の『秘密』を以前映画でみました。
妻と子供を事故で亡くしたと思ったら、子供は生きていて、でも
心は妻だったというお話。
竹内まりあの「天使のためいき」が、頭の中で繰り返していました。
まぶたを閉じれば 浮かぶ二人の歴史を
今でも こんなに近くに感じてる
春の日の口づけと 夏の夜のときめきと 喧嘩したあの秋と 幸せな冬の朝
人はなぜ 皆 失って初めて気づくの 見えない糸で 結ばれた
愛の重さに もう少し そばにいて 私を守って
偶然と呼ばれる出来事は何もなくて 出会いも別れも最初に決まってる・・・・・
私は死んでも生まれ変わると信じています。
きっと、会うべき人に会うために、たとえ別れが決まっていたとしても
またきっと会えると思っています。
冗談で患者さんと話します。「私もそのうちそちらの世界へ行きますから」
と。「ちょっと先に行って、待っていてくださいね。」と。
いいこともありました。
某大病院から転院してこられた患者さんが、アロマで調子がいいとのことです。
主治医も、電子カルテに「不眠時 ラベンダー マジョラム 各1滴」と
書いています。
よかった。
今日も一日短かったです。電話が多くて多くて。
「新しい病棟のカーテンの見本を見て欲しい」
「病棟の秤が壊れたから買っていいか」
「庭園の設計図を見せて欲しい」
「○○さんが、入院はまだかって言っています」
「□□さんが、手術の予定は入らないのかって聞いています」
「△△という施設から、患者さんのことで電話です」
「そこに○○さん、いない?」
「めまいの女性の患者さん入院できないかしら?」
「明日入院できるベッドはありますか?」
「またあとで電話します」
極めつけは
「・・・お子さんから電話です」
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