映画監督、園 子温著。
「映画も人生も、楽しくなければ意味がない」という帯です。
一気に読んでしまいました。
数々の名作映画のエピソードを交えながら、人生、宗教、性、伝統や国家などの
話しが繰り広げられました。
「孤独死」という言葉が嫌いだ・・・・というのに共感したり。
「もうひとりの自分をごまかすな」という章もよかったです。
「・・・・聖書に 求めよ、さらば与えられんという言葉がありますが
実際の人生では求めれば逃げてゆくことのほうが多い。
僕は常々そう思っています。
求めていないときに限って道は開けてくる。彼女が欲しい時にはできなくて
映画監督になりたいと焦っていた時にはなれない。そうした気持ちを捨てて
平静にしていると、意外なことに手に入る。
・・・・・何かの本で読みましたが、人間が一番長く付き合うのは自分という他人です。
友人や恋人とは喧嘩別れすることはできても、自分と絶縁することはできない。
すぐに人にあたる人は、基本的にもう一人の自分がすごく厳しい。
自分を憎んでいて、本当にだめだなあとささやいてくる。
他人をだますことはできても、自分に嘘はつけません。
・・・・自分と仲よくするためには、自分がかっこ悪い、情けないと思っていることは、
人目のあるなしにかかわらず絶対にしないこと。もう一人の自分と安定的な
関係が築けたら、不平不満ではなく、肯定的な言葉をかけてもらえる。
もう一人の自分と仲よくなれたら、本当に幸せです。一人で死んでも
孤独死ではなく、安らかな死と言えるでしょう。・・・・」
園子温は、乞食だった頃、お札を投げつけられたことがあったそうですが
それを拾わなかったそうです。情けなさすぎる自分が嫌だったのでしょう。
乞食もそれはそれでどうなの? 笑
これにからんだ、『自殺サークル』や『紀子の食卓』という映画は
みていなかったので、観てみましょう。
自分のこと、自分の時間、大事にしたいものです。
また、「究極のガス抜きとは?」という章では
「あるプロデューサーはエベレストに登る時、携帯に登録した電話番号を
全部消したと言っていました。自称600人も愛人がいたのに、エベレストに
行くと言ったら、誰からも連絡がなくなった、金持ちとして愛されていただけで、
ひとりの人間として愛されていないのがわかったから、全員リストラしてしまった。
こんなハードなガス抜きの方法もある、人生の角度を変えるには勇気がいるんです。」
肺炎だとか、心不全だとか、意識消失を繰り返すとか、訪問している患者さんたちは
いまひとつ不安定です。
でも、こうした静かな自分の時間をもつこともできることに感謝します。