森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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通常国会の論点-家計を温め内需を拡大する。
当ブログでも取り上げたように、御手洗氏が「10年内に世界最高の所得水準を実現する」と打ち上げた(*1)。与党からも、たとえば伊吹自民党幹事長や太田公明党代表のように、所得引き上げを主張する声が相次いだ。これをそのまま受け取るわけにはいかないけれど、それだけ国内の需要の低迷と、その背景にある国民、とくに労働者の所得の低下、伸び悩みがあることを、これらの発言は意味している。
そこで考えるのは、構造改革のもとでの働く者の生活と、ずっと以前のいわゆる高度経済成長期のそれである。
池田勇人の所得倍増計画に端的に示されるように、敗戦国として出発した日本は、西欧諸国へのキャッチアップが当面の課題だった。経済成長をなしとげたのには、良質で安い労働力、余剰農業労働力の活用、国民の高い貯蓄率を投資の源泉とする、つまり財政投融資の規模などの要因があると指摘されている。
その時代にはこんな光景があったのだろう。夕餉の風景だ。腹をすかした子どもたちは、首をながくして父親の帰りを待ち、父親が帰り着くと、夕餉がはじまる。父親と母親と僕・私と兄弟姉妹がいつもほぼ決まった時刻に、いつもの決まった位置に陣取り、夕餉のテーブルにつく。そして、とりとめはないが、それぞれが一日を語る会話がはじまる。おそらく、常に平均値を軸にものごとを考える日本人は、こんな構図を日本の家族どと受け止めてきたのではないか。裏返しに言えば、これを平均的家族の姿ととらえ、自らを中流だととらえてきたのではなかったか。
高度経済成長とともに一億総中流ということが喧伝された。この時代、テレビ・洗濯機・冷蔵庫の3種類の家電製品は、三種の神器と呼ばれたことに象徴されるように、急速に家庭に普及していった。だ~、一方では、これらの普及が、少なくとも家事労働のあり方を変え、女性の社会進出を促進したともいえるかもしれない。
しかし、80年代に入ると、オイルショックをへて日本でも新自由主義的政策が志向されるようになると、働く者の労働環境も大きく変容することになる。
この時代以後は、賃金がいっこうに上がらないばかりか、リストラさえ想定せざるをえない、長時間労働が蔓延する一方で、雇用形態がいよいよ複雑になった。正規雇用から非正規雇用への置き換えが広まった。働く者は、不安定な身分に日々、不安を感じざるをえなくなった。高度経済成長期の雇用を日本型終身雇用という言葉で表現しうるとすれば、この時期はまさに不安定・非正規雇用が謳歌する時代と特徴づけることが出来る。バブル崩壊後はいよいよこの方向が加速されていく。
だから、そうすると、家族の団欒も消失してしまう。正規雇用のまま働きつづけられたとしても長時間労働であったり、非正規になってしまうと不規則的な勤務にならざるをえないだろう。そして母親もパート労働に従事するとなると、団欒どころではないだろう。子どもたちは、競争社会のなかで塾通いということにもなる。そうすると、かつての家族全員がそろう夕餉はすでにそこにはない。
弱肉強食という新自由主義の思想が貫かれ、「勝ち組・負け組」に表される二極分化がすすんでいった。しかも、それは圧倒的な負け組とごく一部の勝ち組という、いびつな形で進行したのだった。メディアが報じる街角のインタビューでは、きまって10人中7人、8人が「自分は負け組」ときまって認めるくらいで、国民の実感が実に厳しいものであることを語っている。
あらためて私がここで考えるのは、いまの国民のこの実感は、かつての高度成長期をへた国民の意識、それが妥当であったかどうかは横に措くとして、つまり一億総中流という意識との大きな隔たりである。
今日、厳然として存在する絶対的貧困。ワーキングプアといわれる階層。多くが、ほとんど変わりのないか、むしろ低下している年間給与に甘んじている現実。その上に、社会保障の切り捨てのなかで、いわば将来の不安に備えるためにということで自己防衛的で、高かった日本の貯蓄だったのだが、それも減少の過程にある。
給与があがらないのに増税がおこなわれ、税社会保障も制度的に切り下げされるとすれば、再分配は機能しない。高度成長期と今日との違いがここにも現れていて、いま、所得再分配は壊れている。別の言葉でいえば、高い所得の者から低い者への所得の還流、上から下への富の分配がないということである。一部の大企業と大資産家が税制度上も優遇されていて、いよいよ富の二極化は極まっている。
このような今日の状況があればこその、冒頭にのべた与党からのいっせいの所得アップの合唱なのである。この間の賃金抑制政策と不安定雇用の拡大路線の破綻をしめしているともいえるだろう。
私は、こんな構図のなかで通常国会が開会されると把握する。御手洗氏や与党幹部の発言は賃上げを容認したり、雇用改善を意味するものではむろんない。
だから18日からの通常国会では、政府予算案を大きくあらためられるような議論が求められている。その際は、国民の家計をいかに温めるか、ここに視点をおいて点検しないといけないだろう。家計を豊かにして内需によって経済成長を図ることが急務だと考えるのだ。
一方で、賃金抑制をはねかえす労働組合の春闘の取り組みをあわせて期待したいのである。
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*1;財界総理の年頭所感に反論する。
【関連エントリー】
春闘で温まるか。