森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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日米関係、これでよいか-点と線でみる。
ナショナリズムをあおろうという気など毛頭ありませんが、現在の日本の政治・経済を考える上で、日本と米国との関係にふれないわけにはいきません。この考えから、カテゴリーをながめていただければ明らかなように、当ブログでは日米関係のあり方に常々言及してきました。
沖縄国際大学に米軍ヘリコプターが墜落したことをご存知の方は多いでしょう。2004年8月のことです。けれど、日本では、過去にもう一度、大学に米軍機が墜落したことがある。1968年6月、九州大学工学部構内の、かつての応用原子核工学科棟に隣接する大型電算センターに米軍ジェット機が墜落したのでした。その当時、私は学生ではありませんでしたが、水野高明学長を先頭に学生や職員からなる米軍基地反対の運動が、ちょうど波紋が四方八方に広がるように繰り広げられたようです。
2つの米軍機墜落事件を点として、2つの点を線で結んでみると、およそ40年弱の時の流れの中で、日米の関係、とくに米軍をめぐる状況は大きく変容しているように思えてなりません。それはたとえばこんなところに影を落としています。沖縄では、大学構内に米軍が堂々と入り米軍だけが捜査をおこなうものでした。一方、当時の九大では大学自治の立場がつらぬかれ、当初、米軍は構内、現場に入れなかったのです。ちがいは明瞭で、米軍機墜落という事故の際の対応に、日本のいっそうの米国への従属、その深化がみえてなりません。
米軍基地再編を交付金までつかってやる国ニッポン、法外な思いやり予算を惜しまぬ国ニッポン、首都東京に広大な米軍基地をもつ国ニッポン、東京湾の入り口に米空母の母港をもつ国ニッポン-と、米追随を考えてみようで異常な米国追随ぶりを表現しました。こんな日本の、西欧諸国にはみられない対米従属はどこからきているのか。
さらに歴史という線をさかのぼってみると、敗戦国として戦後を出発した日本は、占領という経験をしました。同じく占領された国にドイツがあります。ドイツも他の西欧諸国にくらべると従属の程度は深いという意見もあるようです。が、そのドイツとも日本は異なっている。
ドイツと日本を分けるのは、安保条約の存在と当時の侵略戦争を推進した者にたいする対応、つまり復権を許したという事実でしょう。ドイツが、戦犯にたいする裁判と追放をすすめたのに対して、日本は岸信介や吉田茂の復権を許したのです。ドイツは、2万人を超える重罪者と軽罪者、追随者100万人が処罰されています。このような戦争への反省と戦争犯罪者への確固たる断罪の精神は、たとえば、過去に眼を閉ざす者は、未来に対してもやはり盲目となるというヴァイツゼッカーの演説の一節にもうかがえるように、明確に貫かれていると思います。
ひるがえって日本では、岸信介は米国への忠誠、日本の隷従を誓って釈放されています。そして、首相となって岸は新安保条約を1960年に締結したのです。ここに一つの出発点があるのではないでしょうか。
今日、日本の政治・経済をめぐり日々派生する問題の根底には、日本と米国の関係が見え隠れしていますし、それを抜きにしては正確にとらえることはできない状況にあるでしょう。
米国に約束した給油活動を再開せんがために、福田政権は会期を再延長し越年してまで新テロ特措法を成立させようというのがまさに今の時点でしょう。来年度予算案には、どれだけの「思いやり予算」が準備されているでしょう。米軍基地再編をめぐっては、日本が3兆円ともいわれる金を注ぎ込む予定ですし、米国の戦略にそって基地再編を軌道に乗せるために、交付金というカネをちらつかせながら、片方で反対の態度をとる自治体へは補助金を出さないというアメとムチを使うことも政府は厭わないのです。岩国市の井原市長が職を辞してまで、反対という市民の総意をあらためて示したのと、福田政権の対応はまさに天地の差があるといってよいと思うのです。
このような日本の卑屈な姿勢は、国際的にもいよいよ際立ってきました。
それは、最近の地球温暖化をめぐる国際会議での各国の対応と比べてみたら明らかです。日本は、カナダと並んで最後まで米国と同一歩調をとり、問題解決にむけた国際的な協調のなかで見事に浮き上がってしまいました(*1)。
私は、日本と米国の友好的な関係が築かれることにもちろん反対ではありません。
しかし、それは現行の日米安保条約のもとでは不可能だと考えます。安保条約は廃棄すべきだと考えていますが、以上の例にみられるような日本の追随姿勢は異常であって、国際的にもいよいよ孤立への道を歩んでいるような気がしてならない。
日米関係や安保条約にたいする考えがどうであっても、新テロ法をめぐる攻防が激しくなるこの時期に、日本と米国、そして安保条約のありように目をむけ、一度考えてみることが要るのではないかと思うのです。
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*1;地球温暖化;「化石賞」受賞は笑える?
「化石賞」受賞という事実に、国際社会の日本に対する評価と批判が示されています。
PS;いちばん上の写真は宜野湾市ホームページから。キャプチャーには、墜落直後、11~2分後には既に米兵が・・・! ヘリは墜落前に墜落場所を無線で通信した事を意味する! しかし、消防への通報は民間人が先だった!、とあります。
どうなる? ガソリン税という前に。道路特定財源とは
そもそも特定財源の是非を語らなければならないのではないかと思うのです。
ガソリン税の暫定税率維持、民主に協力仰ぐ必要 伊吹・古賀氏(産経新聞)
自民党の伊吹文明幹事長と古賀誠選対委員長はそれぞれ6日、揮発油(ガソリン)税の暫定税率維持を含む租税特別措置法改正案の扱いについて民主党に協力を呼びかけるべきだとの考えを示した。民主党を揺さぶる狙いがあるとみられる。 伊吹氏は同日のNHKの番組で「法案が通らなければ地方や国家財政に大穴があく。民主党にも心ある方がたくさんおり、3月末までに国会で通すよう民主党にお願いしたい」と述べた。また、古賀氏は同日の福岡県広川町での講演で、参院が法案送付後60日以内に採決しない場合に否決したとみなして衆院で3分の2以上の賛成により再議決できる憲法の「60日規定」について「特例を使わなくてもいいようにどうするかが、政権与党の大きな課題だ」と述べ、民主党の協力を求めるべきだとの考えを示唆した。 |
道路特定財源は、ガソリン税などの税収を道路をつくるための財源として固定化するわけですから、公共事業と銘打って、ムダな道路もつくられてきたのです。税をどの分野に配分するのかという点でみると、特定化をやめて、一般財源に繰り入れ、たとえば教育や福祉などの財源にもなるようにすべきだと、私は当然考えます。
昨年11月、冬柴国土交通相が「(道路特定財源が)余れば一般財源(にする)というが、余るはずがない。地方へ行けば本当に道路が必要だと分かる」とあえて述べているのも、道路づくりに固執する、いわゆる道路族の存在が厳然としてあるからでしょう。
特定財源をやめ一般財源にという基本的な考えに立って、それでは騒がれているガソリン税の暫定税率問題をどうとらえるか。
暫定税率は特定財源をさらにふくらませるために上乗せしてとられた措置ですから、これは廃止すべき。暫定税率は、ムダ遣いをいっそう拡大する役割を果たしてきたといえるでしょう。
民主党は、ガソリン税の上乗せされた税率を廃止して、ガソリンをその分だけ安くしようと打ち出していますが、そもそもの特定財源がムダ遣いを促進してきたというところを語らないでは、議論が画竜点睛を欠いたものにみえてしまうのです。(「世相を拾う」08002)
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