曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

統計不正事件主犯は官邸-財務省ラインだ

2019年02月21日 11時30分42秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                

                       「植草一秀の『知られざる真実』」

                                   2019/02/21

       統計不正事件主犯は官邸-財務省ラインだ

             第2265号

   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019022101322252247
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国会で統計不正問題が論じられているが、安倍内閣に寄り添うメディアが事実
を歪めて伝えている。

統計不正問題は二つに分けて論じる必要がある。

ひとつは、法に定められた統計の調査方法等が厳正に守られず、そのために失
業給付等が過小になってきたという問題。

支払われるべき給付が支払われなかったという事態を引き起こしており、これ
はこれで重大な問題だ。

このような不正が長期間にわたり放置されてきた。

問題の根源にあるのは統計に従事する職員数が大幅に削減されてきたこと。

だからと言って、法律違反が許されるわけではないが、職場の実情を十分に精
査しない予算編成が行われてきたことにも責任の一端がある。

いまひとつの問題は、安倍内閣がアベノミクスを良く見せるために、統計に広
い意味の「偽装工作」を行ってきたとの疑惑である。

安倍内閣は、「隠ぺい、改ざん、偽装、ねつ造、開き直り内閣」と言われてい
る。

公文書のねつ造、改ざんは刑法に触れる重大犯罪だ。

安倍内閣が刑事司法を不当に支配しているから、この重大犯罪が適正に立件さ
れていないが、刑事司法が適正に機能しているなら、政府関係者から逮捕者が
続出し、重い刑罰を科せられていたと考えられる。

今回は公文書のねつ造ではなく、公的統計の改ざん疑惑である。

この問題は極めて重大である。



偏向メディアは、「官僚の問題」や「歴代政権の問題」などを強調して、責任
追及が安倍内閣に向かわないように情報を操作しているが、問題を二つに分け
て分かりやすく論じる必要がある。

基幹統計において不正が行われてきたことについては、「官僚の問題」や「歴
代政権の問題」が問われるべきだが、2015年以降の実質賃金算出およびG
DP算出にかかる問題は、これと切り離して、

「安倍内閣の統計偽装問題」

として論じる必要がある。

より重大なのはこちらの問題だ。

2015年9月に安倍首相は「新・三本の矢」なる政策を発表した。

このなかで、名目GDPを600兆円にするとの目標が掲げられた。

このほかに、希望出生率1.8、介護離職者ゼロ、が掲げられたが、いずれも
「目標」であって「手段」ではない。

「三本の矢」ではなく「三つの的」だと指摘された。

安倍内閣はあわてて官邸サイトの表記を訂正した。

ドタバタで出てきた施策であったことがくっきりと浮かび上がった。

このとき、安倍内閣はGDP600兆円を掲げたが、その背景に統計算出方法
の変更でGDPをかさ上げすることが予め計画されていたのだ。

安倍内閣の行動は極めていかがわしい。



そして、その後のGDP統計数値を精査すると、不自然な現象が観察された。

『アベノミクスによろしく』
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の著者で弁護士の明石順平氏が詳細な分析を提示し続けてきた。

私も昨年12月に週刊SPAの連載コラムでこの問題を取り上げた。

とりわけ、研究開発投資によるかさ上げ分のなかに、不可解な「その他」計数
の急激な拡大が確認されている。

明石氏は「ソノタノミクス」と表現しているが、不可解な統計数値の拡大が観
察されている。

経済統計に人為的な手を加えて、主権者である国民に偽装した数値を示してい
たことが事実なら、これだけで内閣は総辞職する必要がある。

メディアは問題の本質、問題の重大性を主権者に伝える必要がある。

官僚の問題でもなく、歴代政権の問題でもなく、人手不足の問題でもない。

安倍内閣による犯罪行為である疑いなのだ。

総務省は、所管する基幹統計の不適切処理を公表した今月1日に、統計の重要
性をアピールする「統計の日」に向けての標語募集を始めた。

ネットでは現実に合う統計標語が多数掲示され、祭り状態になっている。

「お上から 鶴の一声 好景気」

「統計の 不正で作れ 好景気」

「統計は 答えを先に 決めてから」

など、現実を描写する標語が百花繚乱の状況である。

この問題を適正に追及することが肝要だ。



「統計は 答えを先に 決めてから」

は私に経験がある。

大蔵省で売上税導入の経済効果試算を担当した。

増税と減税の金額が同じ「レベニュー・ニュートラル」の税制改革を行ったと
きに、GDPの各項目がどう変化するのかに関する政府試算を担当した。

上司の命令は、

「すべての項目がプラスになる試算をせよ」

というものだった。

まさに、「統計は 答えを先に 決めてから」だった。



毎月勤労統計の実質賃金指数は、私がもっとも重視してきた経済指標のひとつ
である。

東京都の大規模事業所について、法律で全数調査が定められている。

ところが、2004年からサンプル調査に変えられていた。

しかも、その調査結果を全数調査相当に「復元」していなかったから、数値が
低く発表されていた。

失業保険給付などが、この計数に準拠して支払われてきたから、過小給付と
なっていた。

これはこれで重大問題だ。



そして、そのサンプル抽出については、2、3年ごとのサンプル全入れ替えが
行われてきた。

ところが、サンプルを入れ替えると、業況の悪い企業がサンプルに加わるた
め、計数が下振れしやすく、過去にさかのぼっての計数調整で、過去計数も下
方改定されることが多かった。

2015年改定で2014年計数が下方修正され、安倍内閣が怒っているとの
話が広がったことが伝えられている。

2015年10月の経済財政諮問会議で麻生財務相がサンプル入れ替えに伴う
計数変動について言及した。

背景にあったのは、サンプル入れ替えで賃金計数が下方修正されたことだっ
た。



統計の専門委員会で論議されたが、方法変更はおかしいとの議論になったが、
突如、論議が変わり、サンプル入れ替え方式が変更され、2018年1月のサ
ンプル入れ替え時から実施された。

全入れ替えでなく、部分入れ替えになり、計数が上振れするようになった。

良いサンプルを作為的に抽出した疑いも払拭できない。

この、2018年1月のサンプル入れ替えに際して、全数調査相当への計数の
「復元」が行われ始めた。

決定的に重大なことは、その際、「復元」調整を行っていない2017年デー
タと比較して前年同月比を算出して発表したことだ。

「復元」された2018年データは大きく、「復元」されていない2017年
データは小さい。

この二つを比べれば前年同月比計数が高くなる。

驚愕の統計計数を安倍内閣が発表していたのである。



さらに、これらの「不正」が明らかになったあとで、調査対象の事業所を同一
にして前年比伸び率の発表を行えとする野党の要求を安倍内閣が拒絶してい
る。

安倍内閣にとって最重要の統計計数は、2017年の実質賃金伸び率である。

第2次安倍内閣が発足して以来、労働者一人当たりの実質賃金は減少し続けて
きた。

企業収益が倍増したのに、労働者一人当たりの実質賃金は約5%も減少した。

暦年ベースでは、唯一、2016年だけが小幅プラスを記録した。

2016年のインフレ率がマイナスに転落して、そのために実質賃金が小幅プ
ラスになった。

アベノミクスのインフレ誘導が失敗した結果、初めて実質賃金がプラスになっ
た。



安倍内閣にとっては、2018年の実質賃金前年比プラス計数が何としても欲
しかった。

そのために、偽装、ねつ造を行った疑いが濃厚だ。

裏側で指揮を執ったのは財務省であると考えられる。

主犯は官邸-財務省ラインだろう。

2015年10月の経済財政諮問会議における麻生太郎財務相発言がこの系譜
の端緒である。

統計計数を改ざんして、主権者に嘘のデータを示し、選挙を嘘で乗り切るとい
う行動様式は、民主主義を破壊する行為だ。

かつての大本営と同類だ。

拙著『国家はいつも嘘をつく
――日本国民を欺く9のペテン』(祥伝社新書)
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に安倍内閣の嘘の数々を列挙して解説している。

安倍内閣を理解する基礎資料として、すべての主権者にご高覧賜りたく思う。

 
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