「植草一秀の『知られざる真実』」
2017/12/20
政党にはもう頼らない私たちの連帯で進もう
第1924号
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今年も残すところ11日になった。
改めて痛感させられることは、政治権力の暴走が極まっていることだ。
政治制度、政治体制の要諦は、権力の暴走を防ぐことだ。
そのための装置が
立憲主義
と
権力の分立
である。
立憲主義は、政治権力の暴走を防ぐ防波堤として憲法を定め、権力に対して憲
法の尊重・擁護義務を課すものだ。
政治権力といえども憲法の前には従順でなければならない。
憲法は政治権力を縛るために存在する。
これが立憲主義の考え方である。
もう一つの手立ては、権力を分散させて、特定の者が権力を独占しないように
することだ。
立法、行政、司法を分立させる。
特定の者がこれらの機能を独占的に支配しないようにしなければならない。
民主主義政治を円滑に機能させるためにこれらの装置が用意されている。
しかし、安倍政治はこの基本を破壊している。
安倍首相は選挙で勝った政権は憲法解釈を変えられると発言した。
立憲主義も、日本国憲法も、何も理解していないのだと思われる。
日本政府は憲法第9条の規定に基づいて集団的自衛権行使を禁止してきた。
1971年に政府見解を公表し、これを40年以上も堅持してきたのである。
したがって、集団的自衛権の行使禁止は憲法の一部を成していると言える。
その憲法解釈を安倍政権は変えた。
そして、その新解釈の下に戦争法制を制定した。
自衛隊が集団的自衛権を行使するための法律を制定したのである。
安倍政権の暴走極まれりと言える。
森友学園、加計学園疑惑では、安倍首相が政治権力を私的に濫用している疑い
が浮上した。
10億円の国有財産をたったの200万円で払い下げるという驚くべき事実が
明るみに出た。
また、首相の友人が希望する獣医学部新設を国家戦略特区諮問会議を利用し
て、公平、公正でないプロセスで認可した。
その加計学園は建設費を水増し計上して補助金を詐取した疑いも持たれてい
る。
しかし、検察当局は加計学園に対する強制捜査も行っていない。
他方で、安倍首相夫人が深く関与して森友学園に10億円の国有地が200万
円で払い下げられた事実を詳細に語り始めた森友学園の籠池泰典前理事長夫妻
の言動が目障りになると、籠池氏夫妻を補助金詐取容疑で逮捕、起訴し、4ヵ
月以上に及ぶ不当な勾留を続けている。
北朝鮮の暴政と日本の暴政に大きな違いはない。
恐るべき独裁政治と言うべきものである。
加計学園の補助金詐取疑惑に対してはまともな捜査活動さえ行われていない。
その一方で、籠池氏夫妻に対しては容疑の段階で4ヵ月以上も身柄を拘束し、
補助金適正化法で対処するべきところを刑法の詐欺罪を適用して逮捕、勾留す
るという基本的人権侵害の行動を示している。
また、元TBS社員の山口敬之氏は、準強姦容疑で警視庁高輪警察署が逮捕状
を請求して裁判所がこれを発付した。
山口氏が帰国するタイミングで逮捕する予定でいたところ、警視庁刑事部長の
中村格氏が逮捕状の執行を取りやめさせた。
山口敬之氏は安倍首相を持ち上げる著書を刊行している。
日本の警察・検察・裁判所が、文字通り政治権力の犬と化してしまっている。
また、最高裁判所はテレビを設置したらNHKと放送受信契約を結ばなければ
ならないという、契約の自由を否定する憲法判断を示した、
内閣総理大臣はNHK経営委員会の人事権を有し、この人事権を活用すること
により、NHK会長、副会長、理事の人事を支配できる。
安倍政権は露骨に人事に介入してNHK支配を強めている。
放送受信者の意向を完全に無視してNHKが政治権力に迎合する偏向報道を展
開しても、最高裁が国民からの受信料強制徴収にお墨付きを与えるなら、NH
Kは益々偏向にいそしむことになるだろう。
こんな「暗黒日本」が極まったのが2017年である。
「陰極まれば陽に転ず」
という。
2018年は安倍政治の暴走にブレーキをかけて、日本政治を刷新する元年に
しなければならない。
政治刷新を誰がやるのか。
これまでの主役は政治家であり、政党だった。
しかし、この「常識」を疑ってみる必要がある。
野党の政治家と野党の政党は、主権者国民の声を代弁する存在でなければなら
ない。
しかし、その期待に応えない勢力が跋扈してしまっている。
日本政治の体たらくをもたらしている元凶は、旧民主党、現在の民進党であ
る。
そもそも2009年の政権交代の偉業を破壊したのが民主党内に潜む隠れ自公
勢力だった。
なぜ鳩山政権がつぶされたのか。
その本質を正確に洞察することが必要である。
2009年誕生の鳩山政権は、日本政治の基本構造を根底から変えようとした
政権であった。
米国が支配する日本
官僚が支配する日本
大資本が支配する日本
を同時に変えようとした。
辺野古基地にNOを示し、官僚天下り根絶を示し、企業団体献金全面禁止を掲
げた。
日本の既得権構造を全面的に刷新しようとしたのである。
そのために、鳩山政権は破壊されたのである。
その破壊を実行したのが、民主党内に潜んでいた「隠れ自公勢力」であった。
同時に、警察・検察・裁判所と御用メディアがスクラムを組んで、人物破壊工
作を展開した。
小沢一郎氏は犯罪者に仕立て上げられ、鳩山首相に対しては献金問題での追及
が展開された。
鳩山政権が何によって倒されたのかを真横で見ていた人物がいる。
それが菅直人氏である。
菅直人氏は権力を強奪すると、日本の既得権勢力の側に寝返った。
辺野古基地建設を推進し、
消費税増税の旗を振り、
TPP推進に舵を切った。
その路線を継承したのが野田佳彦氏である。
野田佳彦氏は消費税大増税を強行決定し、安倍自民党に大政を奉還した。
その延長線上にいまの日本がある。
民進党は2009年の鳩山政権を破壊した「隠れ自公勢力」が支配権を持つ政
党であり、そのために、この政党が日本政治刷新の重責を担うことは論理的に
矛盾があるのだ。
民進党が分離・分割して立憲民主党が創設された。
ここに主権者希望を見出している。
しかし、立憲民主党が大きくウイングを広げて、反自公勢力の結集を広く呼び
掛ける行動を示していない。
だからこそ、いま、主権者=市民による大きな運動が必要なのである。
その政治運動を、明るく、輝く運動として展開する。
2018年に、その運動を本格的に始動させなければならない。
愛・夢・希望
の旗を掲げて、広く市民が結集する。
草の根からの民主主義運動が必要なのだ。
政治を変えるのは私たち主権者の仕事だ。
既存の政党が頼りにならないから、私たちが政治を変えることを考えよう。
私たちの未来は私たちが決める。
既得権者はさまざまな策謀を巡らせて、既得権維持を図る。
主権者が本当に一つにまとまれば、既得権は完全に破壊されてしまう。
だから、彼らは主権者が一つにまとまらぬように、ありとあらゆる工作活動を
展開しているのだ。
しかし、1%のための政治を変えるには、99%の人々が連帯するしかない。
連帯すればすべてを変えられる。
99%は1%よりも強いのだ。
2018年の政治運動は私たち主権者が主導する。
頼りにならない政党を見限って、主権者主導の政治刷新を大きく展開する年に
しよう。
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◎「日本一新運動」の原点―401
日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観
〇 時局妙観
(BS11「報道ライブ」で言い残したこと!)
テーマが多く、時間があるようでなかった。用意していた大事
な問題について補完しておきたい。
1)マスメディアの責任について!
議会政治を抹殺する安倍政治。北朝鮮危機など核戦争が始まる
可能性のある国難情況で、トランプ大統領を世界でただ一人煽る
日本国首相の存在、マスメディアが究明すべき問題が山積する中、
地上波テレビはどのチェンネルも「日馬富士関の暴行問題」ばか
りだ。昭和初期とそっくりの流れとなった。
昭和10年2月に〝天皇機関説問題〟で学問の自由が奪われる。
翌11年には2・26事件で武装反乱が起こる。5月7日に斎藤
隆夫衆議院議員が本会議で「軍部の政治干渉」を厳しく追及し、
国民に知らせる。5月18日に阿部定事件という想像を絶する、
「猟奇事件」が発生する。軍部や内務官僚は、戦時体制への国民
の批判を逸らすため、この「猟奇事件」報道一色に全国を染めた。
5月29日に「思想犯取締法」を公布し、学者文化人の検挙が始
まる。軍部は7月15日に「庶政一新」を勅令で公布。陸軍から
政党内閣の廃止、議会の政府弾劾行為の禁止、政党の政治活動の
規制等を検討することを強要。昭和12年1月、衆議院本会議で
浜田国松議員は「軍部の政治関与を批判」、寺内陸将と腹切り問
答を展開。政党と軍部の対立激化。7月7日、盧溝橋で日中両軍
衝突し、日中戦争始まる。
実はこの流れを現代にあてはめて、マスメディアの責任を主張
しようと思っていたができなかった。しかし、番組の最後で「日
馬富士問題の地上波テレビの取扱いは異常だ。国民の眼を内外の
重要問題から逸らそうとする意図が感じられる」と発言すると、
BS11のスタッフ一同あわてたが時間切れとなった。
2)正しい議会政治とは!
国会の劣化が「小選挙区のせいだとか、政治改革の結果だ」と、
裏と表で推進した私は今でも批判の的になっている。自社55年
体制の談合政治を続けることができない時代の変化があったこと
を認識すべきだ。「政治的ワイロ」を背景に共産党を除く与野党
が談合政治を続けていたのだ。その為に起こったのが〝金権疑惑
政治〟で説明の要はなかろう。
私は33年間その中で生きてきた。先ほど、司会の岩田さんが
「平野さんは〝機密費の運び屋〟との異名を取ったほどだった」
と話したが、私の場合、官邸から議長や委員長に来る税金(機密
費)の運び屋を仕事のひとつとしていたのでより質が悪い。米ソ
冷戦時代に米国に安全保障を依存していたから、政権は機密費を
野党に渡して政権を維持することで済んだのだ。冷戦が終わって
それを続けるわけにはいかなくなったのだ。そのために、与野党
が自立して責任をもって政権交代できる政治改革と、米国に従属
しない国連中心主義による平和を確立する安全保障改革を、小沢
一郎さんを中心に目指した。これらの改革の一部は実現したが、
ほとんどは米国従属派と改革派と称した撹乱グループによって潰
された。日本人は事が悪くなると制度のせいにする。
最近の国会議員は、制度の中味も歴史も学ばず、自分の都合で
批判ばかりする。政治や制度の奥底にある人間の文明が形成され
た知恵を知らない。私の人生の師、戦後の保守本流の政治家とし
て、政治の現実とあるべき理想を語った前尾繁三郎元衆議院議員
は、昭和56年7月に急逝する直前、バブル経済に浮かれ始めた
政治家を心配して、私に「政治家である前に人間であれ」との遺
言を残した。最近の「国会の劣化」は、劣化した日本の社会全体
の問題として考えるべきではないだろうか。
(「報道ライブ」における私の発言への反応)
久しぶりの生放送でどんな反応が出るか、正直なところ気にな
った。放映の翌日、2、3人から電話があった。口をそろえて、
「日本一新の会メルマガを読んでいる人には理解できたが、早口
で専門的な話が多く、一般の人にはどうかな?」との反応だった。
共産党の共謀罪法対応で辛口なことを言ったことを気にしていた
が、20数年来付き合いのある共産党員で優れたジャーナリスト
でもある友人から「報道ライブでの発言は共産党にとっても参考
になる意見でよかった」との評価を受けた。
共産党の変化は本物だ。
〇 国会つれづれ 23
(「健康保険特例法案」激突国会物語)2
徹夜国会が2日目となって、国会議員のなかに体調不良を訴え
る中、自民党では憲法より国会議員が大事といって「日韓国会方
式」の強行採決を決断する。園田副議長もその気になる。知野事
務総長は、私を相手に憲法違反の強行採決を阻止する方策を懸命
に模索する。議運も国会対策委員会も機能しない与野党の激突状
況で、私が提案したのは自民党の福田赳夫幹事長を事務総長が説
得することであった。
福田幹事長に電話で連絡すると、事務総長室にすぐ来てくれた。
知野事務総長は約一時間近く説得した。同席するよう指示があり、
将来のために聞いておけとの態度だった。福田幹事長は大蔵官僚
出身のせいか「憲法問題があるというなら党で再度相談してみる」
と理解して党に戻った。ところが、30分ぐらいして、佐藤政権
の大御所で福田幹事長の後見人・保利茂衆議院議員が事務総長室
に突然姿を現した。保利大御所は退室しようとした私を制して、
「憲法違反かどうかは、君ら役人のいうことではない。我々国会
議員が判断することだ!」と、私たち2人を大声で叱責した。取
り付く島もない怒りようだ。しかし、知野事務総長は腹を固めて
いた。
「国会運営上の憲法解釈権は第一義的には議長にあります。議長
を補佐する事務局として、そういう考えはいただけません。どう
しても日韓方式で強行採決をされるなら事務局は必要ありません。
私以下、幹部職員は辞職します」と、保利議員にぶつけた。保利
議員はひと言も言わず、憮然として事務総長室を出て行った。
これからが私の出番で知野事務総長がとんでもないことを指示
する。「あの様子だと園田副議長を使って日韓国会を再現させる
気だ。議会民主主義を守るためには、どうしても止めないと・・
・・・。おそらく石井議長には何も知らせてないと思う。最終的
には石井議長の良識を信用するしかないが。その前に、憲法違反
の強行採決を園田副議長が何時、どういうタイミングでやるかだ。
平野君、君はそれをできるだけ正確に見破って私に知らせれくれ。
そこがカギだ。こんなこともあろうと思って君を副議長秘書にし
ておいたんだ」。「ベストを尽くします」と返事をしたものの、
どうしてよいものか思いつかなかった。
8月4日の朝を迎えると議員の疲れが目立つようになる。本会
議の議事は石井議長、園田副議長が休息をはさんで交代で議長席
に着いていた。午前10時頃になり、園田副議長が私を避けるよ
うになった。私は本会議の流れから、午後の本会議の適当なとき、
議長席に園田副議長が着いたときに強行採決があると読んだ。
とはいっても、本人に「いつ頃に強行採決しますか」と聞くわ
けにはいかない。知野事務総長は頻繁に園田副議長の様子を聞い
てくるが、私は対応できない。困り果てた私が思いついたのが、
当時、園田副議長は久留米市にある新興宗教を信仰していた。教
祖様からいただいた小さなビンに入れた聖水を、副議長室の大理
石の棚の上に供えていた。それを時々少しづつ飲む習慣があった。
これを利用すれば・・・・・・・・。
4日の昼食を済ませた園田副議長がトイレに行くため副議長室
を出た時、「久留米の教祖様から電話があり、大事なときに聖水
を全部飲むように、とのことでした」と伝えた。副議長は「そう
か、ありがとう」と機嫌がよい。これで聖水のビンを見ていれば
強行採決の本会議が何時かが分かる。しかし、本会議のどの時点
で強行採決かの問題が残った。通常の強行採決は再開冒頭が多い。
園田副議長は陸軍の特務機関の経験がある。油断をさせてからだ
とすると、休息と思わせたところだ。
午後2時、本会議再開の本鈴が鳴り、園田副議長は部屋を出た。
聖水のビンを見ると空になっていた。直ちに本会議場の知野事務
総長にメモを渡した。『この本会議中に強行採決する傍証があり
ます。時期は休息直前と思います』。知野事務総長は本会議再開
から5分とたたないうちに議長席の園田副議長に「体調が悪いの
で、事務次長と交代します」と告げて本会議場から出て、私を事
務総長室に呼んだ。状況を説明すると「わかった。議長室で仮眠
している石井議長に説明して佐藤首相に電話で説得してもらおう。
議長が覚悟を決めれば、国会ではこれほど強いものはないんだ。」
知野事務総長は石井議長に事態委を説明、石井議長は直ちに佐
藤首相に電話で、議長として事態収拾に全力を挙げる旨を告げた。
佐藤首相が石井議長に一任するより他に方策はなかった。問題は
園田副議長に石井議長が佐藤首相を説得したことを伝える方法で
あった。 (続く)
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