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『魔法の妖精ペルシャ』の“別れ”の描き方

2009年08月06日 | アニメ
【魔法少女大系】



『魔法の妖精ペルシャ』(1984年制作)コンプリート。速攻で『マジカルエミ』がかかると思っていたのですが……『クリィミーマミ』に戻っているよ?日テレチャンネル?…つまり『マジカルエミ』はおあずけです(´・ω・`)『ペルシャ』はアフリカ育ちの野生少女ペルシャが妖精の国ラブリードリームを救うために魔法少女となるお話。(原案となった『ペルシャが好き!』(作・青沼貴子)には魔法少女の要素は無い)……魔法少女の『仮面ライダー・アマゾン』…みたいな?(´・ω・`)(←何言ってるのコイツ)あと相手役(?)の男の子が二人いたりけっこう盛りだくさんな設定の作品です。

最終回を観直したのですが、かなり…いや、相当良いですね。…というか『クリィミーマミ』の終わり方の時は2クール予定だった放送が1年ものに延長になった事もあって、ある種「作り手」から“やり切った感”が出ていてラスト・バタバタと“その後”をまとめた淡泊な所があるんですよね。まあ、それがOVAの『永遠のワンスモア』や『ロング・グッド・バイ』に繋がって行った所もあるのでしょうが…。



「ぴえろ魔法少女シリーズ」の特徴(ルール?)として本来、魔女ではない女の子が一時的に魔法を使う能力を授けられるというのがあって(これが『マミ』と『ミンキーモモ』の最大の違いですね)必然的に、それが失われる時をどのように描くか?という問題がついて回る。…そのテーマはそのまま『マジカルエミ』の物語に繋がって行くのですが、その前段階として「ペルシャ」という作品も“別れ”というテーマに対して非常に真摯に向き合っています。
「ペルシャ」の最終回は複数の別れが重ね合わされる形で描かれて行きます。動物学者のおじいさんについて行きアフリカへと旅立つ学・力とペルシャの別れ、お目付役だったカッパ妖精たちとペルシャの別れ、力と小夜の別れ、それからこの物語の底流(?)となるプリンセス・フェアリーと音楽家・沢木の別れですね。いずれの別れも回避される事はない。また、ペルシャにはあと一回“本当に心から望んだ事だけ叶えられる魔法”が残されるのですが、それは使われる事はない。…しかし、その別れは寂しいものではあるけど、悲しいものとしては描かれていない。ペルシャと小夜は、必ず学と力に会いに行くだろうし、カッパ妖精たちは「必ずまた会える!」と力強く(人間の姿で)走り去って行く。その中であるいは二度と会えないかもしれないフェアリーと沢木の別れにも(気の持ち方次第ですぐにでも会えそうな気もしますが…w)希望が与えられています。別れる、失われる、という事が有るものとして描き、しかし本当に叶えたい願いは(何時でも)叶えられる事を示したなかなか良い終わり方だったと思います。

エポックとしての意味を持つ『マミ』と、評価の高い『エミ』に挟まれて、あまり注目されていない作品ではあるんですが、アニメファンの評価が高い代わりに、ともすれば本来の対象視聴者(つまり小さい女の子)離れを起した(のでは?)と言われる『エミ』に対して、かなりバランスの良い作品…と言えるかもしれません。