森島恒雄 『魔女狩り』

2020-06-13 23:18:50 | 心理学

魔女狩りという事実は、非常に興味の深い事柄です。

このような惨事が、人間の歴史のなかで何故起きてしまったのか?

という本源的な疑問からやはりその内情を知りたいと思うがゆえに読んでしまいました。

これは13世紀フランスに始まり、全キリスト教国に広ろがり、アメリカにまで到達するのですね。

その歴史の中で、数十から数百万の魔女が裁判にかけられ殺されてしまったということですね。

その手段は絞殺や火あぶりなど多様だったようです。

その行使した主体は、一般人ではなく、法王、国王、貴族、大学者、裁判官、文化人といった人たちが煽り、行使していったということですね。

魔女ではなく、色魔や女色魔に対する迷信はアッシリアバビロニア時代からあったようですね。

ローマ帝は、呪術を禁止する法令まで出したようです

これは驚きです。

現代において、このような法令が出たら、狂気の沙汰と取りざたされるだけで終わるでしょうが、当時の社会では真面目に取りざたされていたのですから。

魔女狩りの端緒は、やはりキリスト教の腐敗が最初にあるような気がしてならないですね。

その腐敗によって免罪符の売り付け、聖餐礼、祈りや喜捨の形骸化といった事が起こっていたのです。

宗教改革は南フランスを中心に起こったのですね。

その勢力をインケンティノスが討伐に向かわせたのです。

その討伐のすえの異端審問において、異端審問の罪状に魔女な文言がちらつき始めたのだといいます。

同時期のイギリスでは、司教が悪魔を礼拝しているということで問題になりました。

そして1323年には、法王ヨハネスが魔女狩りを強化令を出したのです。

またジャンヌダルク裁判の例を見てもわかるように、魔女狩りは政治の道具としての1手段になったのだということがわかります。

これは、『人種差別と偏見』という本でも明らかにしたように、人種差別を経済的利益を得るために、金持ちの農場主や会社の社長といった雇用者がプロパガンダとして使ったことからも明らかなように、魔女狩りも政治的手段として使われるようになったということですね。

人類が胸に留めておかなくてはならない歴史的な事実ですね。

※参考ページ

  ↓

『人種差別と偏見』を紹介した頁

 

災厄、不幸、戦争、政治が魔女たちに結び付けられて、犠牲になってしまったのです。

16~17Cペストの大流行の時代ですが、これも魔女の所業に帰せられたようで、またらい病やてんかん、自然災害も同じだったようで全くもって人間は罪深いですね。

そもそも魔女として摘発された人は、どのような人だったのかということですが、やはり容姿や素行がの人たちとちょっと変わっている、あるいは悪魔を信じているといった事だけで、噂を立てられ密告されたようです。

魔女と認定されたらその人から財産を没収するということまで行われていたようです。

経済的に国がいきづまると、このような暴挙に出ないといけないのかと思うと、これもまた人間ひいてはキリスト教の罪深さを思い知らされますね。

このような魔女狩り

そして魔女裁判が公然と行われていたのは、科学の発達の度合いが現代ほど進んでいなかったのも理由の1つですし、やはり古代からの文書が読まれていたこともあり、これらの宗教的なものが中心に読まれていたことでよりどころの最大のものだったことが最大の理由ではないでしょうか?

また現代でも当てはまるのは、人間の哀しいサガですね。

このような魔女が実際にいると一般的に信じられていた時代においては、自分も魔女と認定されないように、疑いのある人を密告したり摘発したりして身に災厄が降りかからないようにするなどということをしてしまう危険性は誰にでもある気がします。

そしてそれが本当かどうかもわからないのに、この場合魔女が自在するあわからないのに、少ない情報や事例だけで一般化して、それを信じて疑わない人間のサガですね。

そうならないように、このような人間の歴史の一端をこのような本を通じて知ることが出きるのですから、それをこれを読んだ人はこれから自分の生活の中で戒めていかなくてはならないでしょうし、そういう人が身の回りにいたら注意を喚起してあげないといけないですね。

また生贄を探し、それを弾圧したり、命を取ることで自分の利益にするという思考法は、現代でも存在するのですから、それも戒めないといけないですね。

政治的にも、経済的にもです。

それは以前に紹介した『異常の心理学』という本を紹介した時にも明らかにしましたし、これを読むことは参考になります。

※参考ページ

  ↓

『異常の心理学』を紹介した頁

 

こういった歴史を俯瞰すれば明らかなように、キリスト教はこれまでさんざんな悪業をしてきた。 style="color: #993366;">であるからしてキリスト教は、存在するに値しない百害あって一利なしというような意見が出るのも致し方ないでしょう。

キリスト教が広まったということは、それなりの魅力があるからでしょう。 style="color: #993366;">あの聖書を読んで、やたら難しい逸話や挿話があって、意味が分からないですし、牧師さんがいないと理解できないのでは時間の無駄です(笑)。

そんな手段をえらぶよりも、もっと直接的な表現をしている科学的な本を読むのがいいでしょう。

それの方が、すぐに読めて、たくさんのことを学べるのですから。

それに、宗教とは人と社会との良好な関係を模索する道と思っていますから、私は人とのコミュニケを大事にしていますし、自然に対しても限りなくエコな生活を心がけて、行動しています(みずを少なく使う、エコな洗剤を使う、生ゴミは土にすべて埋めるetc)。

そして、その行動に矯正する点がないかといつもただすように情報を得ています。

そんな姿勢があるのだからキリスト教に入らなくても、他の宗教に入る必要もないと思っています。

私にとって、宗教とは本を中心にした、人やその他、情報媒体でいいということです。

その際の重要情報を得れる手段としてこの『魔女狩り』はおすすめです。

●この本は以下よりどうぞ!

  ↓

魔女狩り (岩波新書)



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