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今やすっかり影を潜めてしまったマルクス主義、社会主義ですが、60年代や70年代にはかなりの注目を集め、「マルクス主義こそが真なり!」と信じていた学者が世界中で多くいたことも事実ですし、ここ日本においてもそういう学者は多くいて、 「日本も資本主義をすてて社会主義に移行すべきだ!」といった論を展開していた学者さんは多くいて、そういった学者が、岩波書店や未来社、合同出版といった出版社で本を出していたのが、古本屋にいってみることが出来ます。
しかし、90年代初めに多くの社会主義国が、経済的に疲弊し、もはや社会主義を捨てなければ国家としてやっていけない、という究極の事態になり、多くの国が社会主義をすてました。 今や社会主義国は世界で4か国だけです。
その4か国も、統制経済をすてて市場経済に移行しているのです。
しかし、その社会主義の根底になっているのは、19世紀に生きたカールマルクスなのです。
カールマルクス
この人の書いた本が、世界中の人の心を捉え、注目を集めて、 「資本主義では、国民が搾取されて困窮してしまう。だから、わが国は社会主義に移行するんだ!」という形勢になりいろんな国で社会主義の試みをしていくのです。
ここ日本でも多くの人が社会主義思想に傾注し、その社会主義を信奉する社会党に投票し、自民党と並ぶ第二の政党にまでなったのでした。
先に挙げた、岩波書店や未来社、合同出版といった出版社から出された「社会主義こそは真なり!」という趣旨の本を今読むと、どうも根拠が薄弱で、いまいち説得力に欠けるものが多いのです。
その根底にあるのは、「カールマルクスが言ったから!」という趣旨のものです。
カールマルクスが言ったからというのでは説得力がありません。
偉大な学者が言ったから間違いない…こういうのを教条主義というのですが、こういう教条主義のものが多いのです。
しかし、それだけ多くの人の心を捉えた、という意味で、マルクスはカリスマ的であった事実に間違いはないようです。
私もこのころに、40代くらいの一番アブラののった時期の学者であったら、こういう教条主義を唱えるようになっていたかどうなのかなという気はします。
日本が、これまで資本主義から社会主義に移行したという経験理論がないので、おそらくはノーコメントにしていただろうなと思います。
移行するかもしれないし、しないかもしれない、というあやふやな論にしていただろうと思います。
この『世界認識の方法』が出版されたのは80年に書かれたものですが、そのマルクス主義に対する批判本です。
吉本隆明氏とミッシェルフーコーとの対談も収められています。
ミッシェルフーコー
フーコー氏が曰く、 「18〜19世紀の人間たちは、人間社会を夢想して想像する能力があった。 共同体の成員として生きるとはどういうことか?さまざまな社会的な関係や人間関係とは何か?ということを考えていた。 イマジネーションが豊かであった。 しかし、こんにちはそういった精神が貧困である。」
その原因がマルクス主義であり、その連鎖をいかに断ち切るかがフーコーの課題であったといいます。
フーコー氏に言わせれば、マルクス主義とは、「人間の未来に対してもある真理の拘束力を波及させる予言的な科学」であるといいます。
更にフーコー氏が言うに、「フランス革命以前は、国家は宗教の上に基盤があった。しかし、フランス革命以降は、国家は哲学の上に基盤をもつようになった。さまざまな政治的システムがこのころを境に、哲学を求め始めた。」という分析をしているのです。
この場合の「哲学」とは、「「善い国家とは何か?」ということを論じた学問というような意味でしょう。
現実の社会に起こっているさまざまな重要な問題が政治的な地平から排除されていたのです。
その問題を浮かび上がらせる必要性をフーコー氏が感じ取ったのです。
そこで、医学、性、理性、狂気などの問題を異議申し立てや造反などに結び付ける必要性があったのです。
これは科学を志す人にとっては大切な視点と思われて仕方ないのです。
ヘーゲルはその著『精神現象学』において、「人格的道徳は歴史を決定する要因にはなりえない。」としていたのです。
しかし、今となってはその考えが浅かったというのは明白です。
その思想の影響を受けてマルクスは吟味をしなかったがために、誤った思想が世界中に蔓延してしまったのです。
国家の統治機構の問題だけを追い求め、 「善い生き方とは何か」ということを求めなかったのが社会主義の誤りだったのです。
マルクスは、こういった面を無視していたのです。
実際に社会主義に移行した国の権力側がしていたのは汚職、収賄、不満分子の監禁、粛清、でした。
その詳細については、以下のページに書きました。
↓
ノーマン.ネイマーク 『スターリンのジェノサイド』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/384169055.html?1431864153
社会主義か資本主義かの問題だけに目が行き過ぎていたのです。
社会主義に移行すれば楽園が創造される、というのは単なるプロパガンダであり、為政者の動向もチェックしなければどうにもなるものではありません。
同じ人間ですから。
同じ人間ですから、戦後の初期においては、経済的に社会主義の頂点であったソ連が、アメリカについで世界2位の地位についていましたが、その後は、生活必需品をすでに持ってしまった人たちにも買ってもらうために「より良い品をより安く」という名目である技術革新をおこたったがために社会主義国で起きたのは「滞貨と行列」でした。
その現状をみて、80年代になって多くのマルクス主義批判が出てきていたのも事実です。
人間は自由な意思をもつがために、予測が大変に難しいのです。
確かに、これまでの経験理論の蓄積がありますから、累計的に次の動向を予測することは可能ですが、しかし完璧な予測は不可能なのです。
ですから、偉大な学者を引き合いに出して、「○○が言っているから間違いはないだろう!」という教条主義はやめるべきなのです。
きちんと現状をみていきながら、動向を見守りながら自論を修正していく、という努力を怠ってはいけないのです。
この本は古いですが、そういった科学に大切な姿勢を学べる良書であると思いました。
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