面白い記事を見つけました。
強烈な向上心を持つアスリートなればこそ
本田圭佑“ビッグマウス”語録と言う記事です。
オマーン戦・ヨルダン戦に快勝
“主役”はなんといっても本田圭祐
2014年W杯アジア最終予選を戦うザックジャパンが最高のスタートを切ったコトは周知のこと。
初戦のオマーン戦は3-0、2戦目のヨルダン戦は6-0。
攻守とも満点に近い試合内容での連勝発進だ。
出場した選手全員が機能したことで得た2勝・勝点6だが、
ヒーローはやはり本田圭佑だと思う。
オマーン戦は長友の左からのクロスをダイレクトで合わせて先制ゴール。
勝たなければならないホーム初戦で硬さがあったチームを、
この一発で楽にさせ勢いに乗せたのも確かだ。
ヨルダン戦では本田が絶妙なコーナーキックを蹴り、
それを前田が頭(肩?)で合わせて先制点。
その直後には遠藤のスルーパスに反応して、
自ら2点目を決める。
その9分後には岡崎のシュートが相手DFに当たり、
ゴール前に詰めた本田が落ち着いて押し込み3点目をゲット。
ヨルダンの戦意を喪失させた。
さらに後半には前田が獲得したPKを決めて
キング・カズ以来のハットトリックを達成。
2戦9ゴール中4ゴールを決めたのも凄いが、
得点だけで存在感を示したワケではない。
キープ力がある本田が中盤にいると、
チームが落ち着き、周囲の選手が伸び伸びとプレーできる。
また「あまりしたくない」と公言する守備も献身的に行った。
今の日本代表には長友や香川などヨーロッパで活躍する選手が顔を揃えているが、
この2戦のピッチを支配した王様はやはり本田だった。
この予選の最中の5日、
香川の世界でも指折りのビッグクラブ、マンUへの移籍が決定した。
それを聞いた本田はこうコメントした。
「真司(香川)は世界のトップクラブでプレーするにふさわしい選手。
日本人として誇らしい。
だが、自分もビッグクラブにふさわしい選手だと思うし、
ライバルとして真司をいい形でサポートしていければと思う」
2年前は本田こそが最もビッグクラブに近かったが…
2年前の南アW杯の時点で、ビッグクラブに最も近いところにいたのが本田だった。
当時から所属しているCSKAモスクワもFIFAクラブランク21位のロシアのビッグクラブだが、
W杯初戦のカメルーン戦では決勝ゴールを決め、
3戦目のデンマーク戦でも
無回転FKで先制点を決めて勝利の立役者になったことから本田の才能は世界で認められ、
さらに上のビッグクラブに移籍する夢がふくらんだ。
この時の香川は日本代表に帯同していたものの出場登録されず、
練習の相手をするサポートメンバーに過ぎなかった。
この頃の本田には実際、
いくつかのビッグクラブから獲得オファーがあったようだが、
移籍金などで折り合いがつかず、
そのままモスクワでプレーを続けた。
ところが1年後の8月、
試合中に右ひざを負傷してしまう。
手術で半月板の一部を切除しなければならない重傷で、
長期間リーグ戦でのプレーができなくなった。
そうこうしているうちに
長友はイタリアの名門インテルでプレーするようになり、
香川もドイツ・ドルトムントでの大活躍が認められ、
マンUに移籍が決定した。
本田からすれば追い越された形だ。
普通なら悔しくて仕方がないはずだが、
そんな感情は微塵も見せず
「真司がビッグクラブに入ったことは誇らしい」と語る。
そのうえで「自分も」と続けるところが、いかにも本田らしい。
おそらく長友に対する思いも同様だろう。
日本代表同士それぞれが自らを高めていけば、
日本サッカーのレベルは上がっていくし
目標とするW杯優勝にも近づける。
ここに嫉妬など入り込む余地はない。
どこまでも前向きなのだ。
本田はその奔放な発言から、
ビッグマウスと呼ばれることが多いが、
聞いていて決して嫌味がない。
それは本田の中に、
もっとサッカーがうまくなりたいし自分はそうなれるという思いが一本貫かれ、
そこから出る率直な言葉だからではないのだろうか。
これまでの本田の発言で印象深いものをあげてみる。
気持ちの強さが表れた「本田語録」の数々
2010南アW杯カメルーン戦で決勝ゴールを決めた後、
誕生日の翌日だったこともあって「自分は持ってるな、と」。
この時、流行語にもなった「持ってる」が出た。
こういう発言ができるのは、本田の茶目っ気だろうし、
自分自身の価値を自負している証拠。
アスリートはこのくらいの自己アピールはしてもらいたいものだ。
同じくW杯でグループリーグを突破。
決勝トーナメント進出を決めた後で。
「ベスト4を実現できるか、正直分からないが、実現しようとするかどうかが大事。
ぼく自身はベスト4ではなくて、優勝を目指してもいいかなと思っています」と
日本人は現在の実力に照らし合わせて控え目な目標を語ることが多いが、
アスリートが大会に臨む以上、優勝を目指すのが当然なのだ。
だが、その直後、本音も吐露している。
「優勝? それは自分との格闘でしょう。
優勝は無理と思っている弱い自分もいるし、
でも行けると思っている自分もいる。
いつもそのせめぎ合いです。
でも、
公言しないと、弱い自分がどんどん大きくなってしまう」
ここまで自分のメンタルを正確に言葉にできる人物はなかなかいない。
決勝トーナメント初戦のパラグアイ戦でPK戦で敗れた後。
「多くの人が批判してくれたことを感謝している。
目標は達成していないけど、
批判してくれる人がいなければ、ここまで来られなかった」
批判も糧にする本田の気持ちの強さがこの言葉に表れている。
ケガすらもプラス材料に中田英寿との違いは“熱さ”
今年5月、左ひざのケガが癒え、9ヵ月ぶりに日本代表復帰して。
「おれは常に前進している。
右ひざを手術したことで、その時点から新たな本田になりえた。
前の本田に戻る気はない。
新しい本田を、ここから作っていく」
アスリートにとってケガとその後のブランクは大きなマイナスだ。
そこで生まれた弱気が原因で下降線をたどる選手も多い。
だが、
本田はケガさえもプラスと発想転換してしまう。
この前向きさは凄いし、学べる点は多い。
とにかくサッカーに対して真っ直ぐな本田がいて、
発言がそこからぶれないのだ。
もちろん言葉を自分の中に留めず、
公言するのは自分を奮い立たせる意図があるのだろうが、
変な計算は感じない。
多くの印象的な言葉を発したサッカー選手に、
やはり日本代表の中心として活躍した中田英寿がいる。
その代表的発言と見比べると興味深い。
「自分にできることを積み重ねていけば、必ず流れが変わる日が来る。
それを信じていられるうちは、どんなことにも耐えられる」
「おれはひとりでも強いからね」と
おそらく本田と同様のことを考え語っているのだろうし含蓄もあるが、どこかクールだ。
本田のように熱く自分の思いを語り、有言実行してしまうアスリートは日本では珍しい。
ビッグマウスといわれるのはプロレスやプロボクシングなど格闘系の選手に多い。
例えば「(今度の対戦相手は)大したことない」、
「〇ラウンドまでにKOしてやる」等々だ。
だが、
これには試合を盛り上げ、注目を呼ぼうという演出も含まれている。
アマチュアアスリートは総じて謙虚な発言をするが、
個性派・自信家が多いはずのプロ野球でも独自の言葉を持った選手は少ない。
自信満々の発言をするタイプとしては
イチローやダルビッシュの名前が上がるが、
その言葉を見ると物議を醸さない配慮の方が優先している。
野球界は今もタテ社会。
出過ぎた発言などすると先輩からどやされたりするからだろう。
唯一の例外が06年に引退した新庄剛志だ。
その発言を並べてみると、
「ぼくは常にオーラを出す練習をしている。今日のオーラは162%」
「記録はイチローくんに任せて、記憶はぼく」
「チャンスでしか打てないバッターと思われたい」
「ヘラヘラして、相手をカリカリさせて勝ちたい」
「残りわずかな野球人生、明るく楽しく白球を追いかけることをみんなに約束します」
これはこれで面白いが、
本田の言葉とは方向性がまったく違うし力が抜ける。
本田にカリスマ性があるのは言葉があり、
それをピッチ上で実行している点だろう。
12日のオーストラリア戦で
本田はどのようなプレーを見せ、
その後どんな発言をしてくれるか、
大いに楽しみです。