10月25日(木)街道歩きを終えての二日目は十二湖散策です。
観光となっても、街道歩きのリズムが体に染みつき起床時間は6時前です。朝風呂も良いけど、少しだけでも深浦町を散策してみたいとホテルを出ました。その間、妻は朝風呂でのんびりと街道歩きの疲れを癒しています。
今日の予定は、ホテル発8時30分発の送迎バスでウエスパ椿山駅まで行き、そこから弘南バスで奥十二湖駐車場行きに乗車し、9時30分過ぎから十二湖散策を始め、奥十二湖駐車場発16時25分のバスで十二湖駅に行き、そこから五能線に乗車し秋田県・土崎駅に向かう予定です。
目の前は日本海です。ホテルから国道101号線に出るとそこは岡崎海岸です。「日本の渚百選」にも選ばれ、景観の良さが自慢でキャンプ場も併設される海岸です。
また、近くには弁天島があり、そこには七福神の一人・弁財天を奉る弁天宮があり、古くから海上の安全航海と豊漁を祈願する神聖な場所として知られています。北前船交易が盛んだった頃に建立されたと言われているそうです。
国道を駅の方向に散策します。
少し進むと真言宗醍醐派のお寺「春光山円覚寺」さんの山門が見えてきます。津軽三十三観音霊場第10番札所、津軽弘法大師霊場12番札所。北国八十八ヶ所霊場第60番札所となっています。また、国指定重要有形民俗文化財に指定される「円覚寺奉納海上信仰資料」(全国最古の船絵馬や北前型弁財船絵馬など)等も拝観できるようですが、拝観時間には8時からのようです。
(本堂)
深浦町は、上方と蝦夷地を結ぶ要津として明治時代中期まで、北前船交易で賑わいました。こちらの「風待ち館」では、北前船の歴史を多方面からとらえ、様々な角度から紹介しています。
その先には「太宰の宿 深浦文学館」があります。こちらは、太宰治が宿泊した旧秋田屋旅館を改築したもので、太宰治、大町桂月、成田千空の三人の作家をメイン展示とし、深浦にゆかりのある文人たちも紹介しています。
少し先に進むと「猿神鼻岩洞門」があります。
猿神鼻岩は、猿の横顔に似ていることから名づけられた大岩で、北前船の風待湊である深浦湊の象徴的な存在で古くから信仰の対象となってきました。
明治時代に入り交通量が増大すると猿神鼻岩が障害となった為、洞門(穴門)が求められ明治25年から明治39年に行われた能代道改修工事の際に掘削され、深浦湊への物資が容易に運搬できるようになりました。
写真と反対側になる町役場側から見ると猿の横顔に見えるようです。私は、朝食の時間に間に合わせるため、こちらの写真を撮って直ぐホテルに引き返したので、残念ながら確認する事が出来ませんでした。
朝食を採り、ホテルの送迎バスでウエスパ椿山駅に送って頂きました。
ウエスパ椿山は、世界自然遺産白神山地と夕陽が沈む日本海に囲まれた自然豊かな欧風リゾート施設で、全棟温泉付コテージで自炊やバーベキューもできるようです。
施設内に植えられているナナカマドの実が太陽の光を浴びてキレイに見えます。
時間通り弘南バスが到着、いよいよ本日の唯一の観光ポイント・十二湖に向かいます。
前日、ホテルで十二湖の情報を得て、どのようなルートで散策しようかと検討していました。その時に初めて知ったのが、「十二湖」は複数ある湖の総称で、実際には三十三湖存在すると言う事でした。
そうであれば三十三湖全てを回りたい。
私達が歩いたルートは、以下の地図の通りです。結果的に、二十六湖回るのが時間的に精一杯でした。
バスは予定通り奥十二湖駐車場に到着しました。森の物産館「キョロロ」で昼食用のパンや飲み物を購入し、10時前に十二湖巡りを開始しました。
最初は「鶏頭場の池」です。
(鶏頭場の池)
(1.鶏頭場の池)
この辺りは、駐車場やバス停から近いので多くの観光客が来ています。この近くに有名な「青池」があります。落ち葉が入り込み、陽が入り込まない時間だったので、今一つ感動が薄かったです。
(2.青池)
ここから、「金山の池」を目指して橅林地帯を30分程歩く事になりますが、青池からこちらに向かう人が私達以外に一人もいません。私達二人だけ、始めて歩く場所、簡単な地図を見ながらの散策に不安が募ってきます。
(橅林)
幸い15分程進んだところで、地元農協の文字が入った帽子を被ったご夫婦に遭遇し一安心します。尋ねると、キノコ採りに来ているそうで、大きな橅の倒木に生えているキノコをたくさん採っています。
(ムキタケ)
何というキノコか尋ねると「ムキタケ」と教えてくれて、美味しいので持って行けと袋一杯に詰めてくれました。このムキタケ、十二湖の駅でも販売していました。
歩き始めて40分弱、目的とした「金山の池」と「四五郎の池」の分岐点に到着しました。ここで弱気の虫が出て、目的を「四五郎の池」に変更し向かいました。
どこの池も水面に映る景色がとてもキレイです。
(3.四五郎の池)
少し進むと小さな濃紺色の「子宝の池」に到着します。
(4.子宝の池)
さらに進むと「リフレッシュ村」に出ます。
このリフレッシュ村は、ブナ林の中にあり、アウトドアを満喫できる自炊型キャンプ場です。北欧産の本格的なログハウスも併設されています。
(リフレッシュ村)
ここでトイレ休憩し「大池西湖」を目指す事にしました。
リフレッシュ村には車で入る事が出来るので舗装道になっています。舗装道を進み、山道に入って行くと左下に雑木林の間から「埋釜の池」が見えてきます。
(5.埋釜の池)
きれいな紅葉も見られます。
さらに進むと右手に「萱原の池」があるようですがパスして「糸畑の池」を目指します。ここからは、大崩・崩山を一望でき、湖面に映る姿もとてもキレイです。
(6.糸畑の池)
さらに進むと右手に「三蔵の池」、左手に「牛蒡の池」を見る事が出来ます。
(7.三蔵の池)
(8.牛蒡の池)
その先、左手に「千鳥の池」、「面子坂の池」が続きます。
(9.千鳥の池)
(10.面子坂の池)
さらに進むと「大池遊歩道分岐点」、「JRまつがみ3.3km」等と書かれた東北自然歩道の標柱があります。JRまつかみ方向に向かうと「破池」があるようです。
さらに進むと、大池西湖が眼下に現れます。左手には、大崩・崩山も一望できます。
(11.大池西湖)
ここから、大池東湖と濁池に向かうには急坂を下って行くようです。坂を下ると言う事は、帰りは上り返さなくてはいけないと言う事なので、軟弱にもここで引き返すことにしました。
こちらは、戻り路で撮った「面子坂の池」、「橅」、「糸畑の池」です。
(面子坂の池)
(橅の木)
(糸畑の池)
所々で朱色の葉がキレイです。
リフレッシュ村と王池方面との分岐を左側の王池方面に向かいます。
少し進むと左手に小さな「石殻の池」が見えます。
(12.石殻の池)
10分ほど歩いたところで、左手に「小夜の池」と「影坂の池」と書かれた標柱を見つけました。
しかし、「影坂の池」は少し入るようなので「小夜の池」を遠目に見て先に進みます。
(13.小夜の池)
「八光の池」が右手に、舗装道から少し上った所に「仲道の池」があります。
13時を過ぎているので、仲道の池付近で購入していたパンで昼食を採りました。
(15.八光の池)
(16.仲道の池)
先を進むと「日暮の池」が左手に見てきます。
この辺りは舗装道で、王池のバス停や駐車場から近いので、散策の方々も入って来ます。日暮の池では、若い外国人グループが池をバックにお互いに写真を撮りあっていました。
(17.日暮の池)
ここから、大池に出ず左手の山道に入り日本キャニオンを目指します。20分程歩くと日本キャニオン展望所に到着、そこからは浸食崩壊によって白色の凝灰岩がむき出しになった高さ100mの断崖が3kmに広がる渓谷が一望できます。
(日本キャニオン)
山道を辿って「八景の池」に向かいます。
(18.八景の池)
ここからは、バスや乗用車の通る舗装道に沿って、森の物産館「キョロロ」に向かいます。時刻は14時過ぎ、奥十二湖駐車場のバス停を15時30分発のバスに乗車予定なので間に合いそうです。
八景の池から少し上がると「二ツ目の池」左手に見えてきます。
(19.二ツ目の池)
さらに上がって行くと王池が見えてきます。バス亭や駐車場、施設などもあるので観光客も多いようです。
(20.王池西湖)
(王池西湖)
(21.王池東湖)
さらに上って行くと「越口の池」となります。この近くには、十二湖ビジターセンターや幻の魚「イトウ」の養魚場があります。
(22.越口の池)
さらに登ると「中の池」に到着します。
(23.中の池)
次の「落口の池」付近には、十二湖庵(お茶室)や「沸壺の池」から流れ込む綺麗な小川もあり、また森の物産館「キョロロ」や奥十二湖駐車場からも近いので、多くの観光客で賑わっています。
(24.落口の池)
最後は、小さな「がま池」です。
(25.がま池)
奥十二湖駐車場バス停には15時10分ごろ到着しました。コインロッカーに預けた荷物を取出し、予定時刻のバスに乗車し五能線・十二湖駅に向かいました。
残念ながら、二十五湖散策に終わりましたが、紅葉を見ながら、橅林を見ながら、久し振りに気持ちの良い森林浴でした。
十二湖駅では、電車の待ちの時間が20分程あったので、駅近くの日本海の夕日が見える場所に行って見ました。昨日は、残念ながら夕陽を見る事が出来ませんでしたが、今日はバッチリ夕日が見えています。
15分後に地平線に近づき、その後2分程で日没となりました。
十二湖駅発17時4分の特急しらかみ4号に乗車、秋田県の追分駅で普通電車に乗り換え、土崎駅で下車し、本日の宿「ルートイン秋田土崎」に向かいました。
今日の旅はここで終わりません。
土崎駅に到着したのが19時頃、既に日は暮れ、土地勘もなし、ホテルは駅から離れているので、駅からタクシーを利用しました。
そのタクシーの中で、運転手さんが「今日は港に豪華客船の飛鳥Ⅱ号が船出するよ」と話題にしてくれたのです。
ホテルにチェックインし、窓越しに港を見ると飛鳥Ⅱが港に停泊しています。まだ出船しそうもないので見に行こうとホテルを出ました。
港に着いた時には、送迎イベントが終了し出船間際でした。
(豪華客船「飛鳥Ⅱ」)
出船の見送りは感動します。街道歩きも良いけど、船旅も良いなーと話しながら港を離れました。
暗くなった秋田港は、ライトアップされた「秋田港ポートタワーセリオン」だけが輝いていました。
(秋田港ポートタワーセリオン)
長かった一日の終了です。
今日の歩きは、38,514歩となりました。
満足の行く1日だったことでしょう。