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「夢の痂」感想

2010-06-14 | 演劇

故井上ひさしさんの東京裁判三部作の三作目。
再演の作品で完成度の高いものでした。
ネタバレあります。お気をつけください。


東京裁判三部作
「夢の痂(かさぶた)」
作:井上ひさし
演出:栗山民也
音楽:宇野誠一郎
美術:石井強司
出演:角野卓造、藤谷美紀、辻萬長、三田和代、熊谷真美、神野三鈴、小林隆ほか
新国立劇場小劇場 6月6日マチネ観劇

戦争直後に地方巡行の天皇一行の宿舎に指定された、旧家。
その予行演習の天皇役が、成りきりすぎて・・・

天皇の戦争責任にまで踏み込んでます。凄い。
このストーリーに日本語に主語がない、という話も絡みます。

再演の作品の上に、歌や踊りの場面など、無駄がなく完成されてます。
元大本営の参謀で天皇役になる角野さんが、どっしりとしてナイス。
第一部の「夢の裂け目」の紙芝居屋さんよりも、好きだったな。

藤谷美紀さんの可憐で、芯のしっかりした感じがよかったし、
「象」で注目した神野三鈴さんが生き生きと演じていてステキ。
苦労してるけど、生活力のある力強い女性という感じがしました。

辻萬長さんも旧家の主人役でどっしりした役どころ。
でもせっかく「ムサシ」初演の沢庵和尚。
続いて「ムサシ」に出てもよかったのに。

パンフレットには、
井上さん追悼の意味で、本人が2006年にパンフに載せた文を掲載。
重い内容をさらっと書いて、井上さんさすがだわ~

鵜山仁さんも文章を。
栗山民也さんはインタビュー。

栗山さんは、井上さんの訃報を受け取ってからも稽古を休まなかったそう。
「戯曲は話し言葉中心で書かれているので、登場人物たちを通して
 井上さんの声が僕に向かって来るんですね。
 その後の三、四日は、つらいという感情を通り越し、『痛い稽古場』でした。」

次の新作舞台になるはずだった「木の上の軍隊」のための、
沖縄方言の戯曲などの資料が、枕元に山積みになっていたそうです。
「この新作に出会えなかったことは無念という他ありません。」

藤原竜也くん主演の新作になるはずだったのに・・・
ホント無念ですよ。

栗山さんは、
「でも井上さんは自身の生命を分け与えた戯曲と小説を、たくさんたくさん遺してくださった。
 僕らはその作品群を受け継ぎ、正しく新しく上演し、守るという使命がある。
 これは『人間のための財産』です。」
と述べてます。

「夢の痂」20日まで公演です。
オススメ~