ふわふわ気分で

舞台、シネマ、藤原竜也くん、長谷川博己くん、成河くんのことなど気ままに・・・

「盟三五大切」仁左衛門さんにゾクゾク~

2008-11-18 | 演劇

歌舞伎座百二十年
「吉例顔見世大歌舞伎」昼の部
演目 一、通し狂言「盟三五大切」
     作:鶴屋南北
   二、廓文章 
      吉田屋
  出演:仁左衛門、菊五郎、時蔵、藤十郎、秀太郎、我當ほか
東銀座 歌舞伎座 11月17日昼の部観劇


「盟三五大切」は、芸者の小万(時蔵)三五郎(菊五郎)夫妻が、
源五兵衛(仁左衛門)をだまして100両を奪う。
源五兵衛は三五郎の仲間の5人を殺害して、最後は小万も殺して恨みを晴らす。
という筋書き、しかも源五兵衛は不破数右衛門で、最後には赤穂義士の仇討ちに加わるというもの。
鶴屋南北の話は史実とりまぜて、伏線もあって、いろいろおもしろい。
敵の三五郎も実は数右衛門の家来の息子、だったとか、歌舞伎らしく都合いい話もいろいろ。
源五兵衛は7人も殺しているのに、仇討ち行きはオッケー。
そりゃないでしょうと思ってしまった。

仁左衛門さん、三五郎は何度も演じているけど、源五兵衛は初めてだそう。
仁左衛門さんの源五兵衛は最高でした。
源五兵衛が恨みを晴らす五人切の場は、ぞくぞくしました。
丸窓を開けて忍び込む源五兵衛。
黒の着流しをからげて、白い脚が長くてカッコいい。
無言で次々と刀を振り下ろす。

残酷な場面なのに動きがキレイで、すごく美しく、ちょっと鳥肌もの。
復讐シーンって、どうしてこんなにキレイなんだろう。
キレイでわくわくしてアドレナリン、ドバッと大放出。

「カメレオン」のゴーロの復讐シーンを思い出しました。
あ、藤原竜也くんの映画ね。
ご存知ない方スルー願います。
興味持たれた方、DVDみてくださいね(←CMしちゃった)

この鶴屋南北の演目は、文政8年(1825)初演だそうですから、
180年くらい前ね。
5人切も、前年に深川の妓楼で起きた事件だそう(筋書きによる)
当時の人も、この芝居をわくわくして観たんだろうな。
ちょっと怖がって、ドキドキしながらね。

三五郎、小万ふたりのことは、あきらめたのかと思ったら、そんなことはない。
最後の幕で、小万と赤ん坊を殺します。
五人切の場は、短めでキレイ感あったけど、
小万のシーンは長くて、けっこうしつこかったです。
キレイじゃなく、残酷っぽさいっぱい。
小万が髪の毛を乱して、帯も解かれて、演出効果満点。
着物・日本髪の利点(欠点か)ね。

小万の首を懐にしのばせ、花道に入る時に、
右手で破れの目立つ傘を開く仕草のキレイな事。
凄みのある顔に一瞬唇の端だけに浮かんだ笑み。
事を成しえた安堵感か、地獄にまで落ちた虚無感か・・・

今回わりと花道そばだったので、この凄みある笑いも見逃しませんでしたよ。
仁左さまの花道でのこの演技、すごかった~
おぉ~来た!これこれ!
この刺激、この快感!
背筋がゾクゾクするこの感覚、もぉ~最高気分でした。
うん、ここも「カメレオン」と同じ感覚味わいました。

次の場では花道からの出。
小万の首を持ってるけど、表情は無表情っぽくなってるの。
首の前で茶漬けを食べるってのが、なんかね~だけど、
お箸のご飯を小万の前に持っていくと、小万が口を開くところが、おかしかった。

最後はやっぱり仇討ちに出立するってとこで幕。
う~ん、なんかいろいろあって、いっぱい人が死んだけど、
仇討ちに行けたから、めでたしめでたし。
ってなんだか、煙にまかれたような感じ。

まぁ、仁左衛門さんの凄みにあふれたゾクゾクを観れたから、
非常に満足~でした。
はい、激しくオススメで~す。
仁左さまごひいきの方、お見逃しなきようにね