難しいって噂の舞台だったけど、シュールでおもしろかった。
こういうワケわかんないけど、なんか楽しい、
ってのが好みだと、最近になってわかってきました。
ネタバレあります。ご用心。
「山の巨人たち」
作 :ルイジ・ピランデルロ
翻訳:田之倉稔
演出・照明:ジョルジュ・ラヴォーダン
美術:ジャン・ピエール・ヴェルジェ
出演:平幹二朗、麻実れい、手塚とおる、田中美里ほか
初台 新国立劇場(中劇場)11月3日マチネ観劇
「山の巨人たち」はピランデルロの1936年の作で、
未完の遺作で「寓話と現実の境」で展開される話。
あらすじは魔術師(平)のいる屋敷に旅の一座が宿を借りる。
主演女優(麻実)は、正気と狂気を行き来している。
魔術師は山の巨人たちの結婚式の余興に劇を上演することをもちかける。
出だしから、花火やらスモークやらで派手目な舞台。
これは、にぎやかで陽気な話かと思ったら、大違い。
大きな急勾配の太鼓橋みたいな木の橋が、舞台の奥から手前にかかる。
芝居が繰り広げられるのは、傾斜がある舞台で、見る者に不安感をあたえる。
明りも暗め。
夢なのか、現実なのか、主演女優も正気になったりおかしくなったり。
しゃれこうべの面をつけた楽師たちも、扮装なのか、骸骨という設定なのか。
とか、?マーク連発です。
この舞台は、突き詰めて考えると疲れそうなので、
筋を追いかけるのはやめて、
不思議世界を登場人物たちといっしょに漂うことに。
はい、漂ってみると面白かったです。
どうせ舞台上のことって、虚構なんですもんね。
楽しまなきゃソンですよ。
パンフで芸術監督の鵜山仁さんが、
「劇場はたぶらかしの場所である」って書いてたけど、
たぶらかされるのって楽しいよ~
麻実れいさん最高。
ドスをきかせるところなんて、ゾクゾクしました。
麻実さんドス・モード超お似合い。
歌までご披露されて、もう言うことありません。
地味なコートやスーツ姿なのに、センターで歌われると、ホント華やか。
麻実さん観れるだけでも、価値ある舞台です。
この日は友だちと観劇。
ふたりで、麻実さん、麻実さんと連呼しながら帰りました。
ホントにかっこよかった~
平さんもワケわからずな(←わたし限定ね)哲学的なセリフをよどみなく、
スゴイ迫力でくりだされてました。
ああいうのどうやって覚えるんでしょうね。
結構なお年なのに、激しく尊敬しちゃいます。
ここも、友だちと意見合いました。
ふふ・・・
この舞台、皆さん集中度高いです。
手塚とおるさん、麻実さんの夫役だったけど、
いつもみたいに怪演ではなく、わりとふつーの役。
ちょっと残念でした。
人形が怖いムードを盛り上げてナイス。
人形が踊り出す場面、ファンキーで面白かった。
マンホールから身を半分出した人形が、
いつの間にか本物の人に変わってたりして、びっくり。
終わりに悲惨な結末の字幕が出て、えぇーっと思ったら幕でした。
訳わからないとこ、あれこれあったけど、
脳ミソマッサージしてもらった気分。おもしろかった~
面白いのに空席ありでした。もったいない。
テレビや映画で味わえない刺激、大アリなのにね。
あ、ここにも首吊りが出てきた。
そういえば最近多いな、もう3作目だ。
なんか、世の中暗いぜ・・だけど、負けずに頑張ろう~