牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

肝膿瘍の出る牧場出ない牧場

2012-08-17 19:03:41 | 予防治療
肝膿瘍による肝廃棄が出る。
食肉市場の検査員によると、全く出ない牧場と定期的に出る牧場がはっきりしているとのことである。
当センターは後者の烙印を押されてしまった。
この両者には肥育法に歴然とした差が実在していることが頷ける。
そもそも肝膿瘍を誘引するのは、ルーメン内環境が芳しくないために、例えばルーメン壁が何らかの原因から発達が順調でなかったり、胃壁が常時傷つき易い状態になるルーメンアシドーシスに至ることや、絨毛周囲に濃厚飼料等が異常に詰まってしまいルーメン壁が爛れるルーメンパラケラトーシスに罹り、それらの結果直接的に肝臓に影響して膿瘍を発症する。
当センターでは導入時からグレードのやや低いオーツヘイを10数年間利用している。
このオーツヘイの繊維がやや荒い場合、ルーメン壁を刺激して常在菌等が肝臓に達することが原因ではないかと、専門家の助言を聞いた結果から判断している。
差し当たり、チモシーを併用してその差を確かめることとした。
オーツヘイでもグレードが高く(品質の良好)柔らかいものであれば、問題ないであろうが、生産地の干ばつ等で良質なものは入手しにくく、単価がかなり高いとのことである。
他所では、チモシーの利用の割合が高いと聞いているが、そのケースでは肝膿瘍が出ないのであろうか。
育成時に粗飼料の食い込みが不足しているのではとの指摘を受けたが、導入後半年間は、粗飼料主体の給与体系をとっており、この間は平均5~6kgは摂取しているため、他所との摂取量の違いは考えにくい。