牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

肥育牛の下痢

2010-10-05 19:08:23 | 牛の病気

牛舎周りをしていると臀部が排便で汚れている牛をよく見かける。
この汚れ具合を観察していると下痢をしているか軟便をしているかが推測できる。
意外に水溶性で後方へ下している場合は、汚れ具合がそれほどでもない。
これが回復するにつれて臀部に便が付着する。
去勢牛と雌牛ではその汚れ具合が多少異なる。
同様の下痢や軟便であれば、雌の方がかなり広い面積で汚れが広がる。
雌は去勢牛より尾を左右に振る回数が多く、肛門の直下に性器が位置しているために、その部分に付着した排便が尾によって臀部はおろか左右の上腿に至るまで幅広く汚れていることがある。
病気を推測する場合、付着した排便が濡れているか、どの程度乾いているかで体調の経過が推測できる。
また、子牛と成畜では下痢などの種類が異なる。
下痢を起こす場合は、往々にして、粗飼料と濃厚飼料の給与バランスが崩れていることが原因になりやすい。
子牛の場合は、乾草などを多給することで便が軟らかくなりやすいが、成畜の肥育牛の場合は、稲ワラの給与割合が少なく、濃厚飼料主体となることで、ルーメン内の絨毛が団子状となり、やがて絨毛が剥がれるなどの状態になれば、結果的に軟便に至ることになる。
この状態は、まさしくルーメンアシドーシスであり、肝膿瘍を引き起こすことになる。
これらのことが、健康を損なうことで、枝肉に様々な支障となる症状を呈することにもなる。
肥育牛の下痢はそのような症状のシグナルでもある。