波佐見の狆

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賽の河原の・・・(38話)

2012-10-05 19:04:24 | 平清盛ほか歴史関連

このドラマのキーパーソンの一人である兎丸は、実在の人物ではありません。清盛の海や宋文化との関わりを象徴的に表すために、脚本家が創り出した魅力あふれるワイルドなキャラクターです。史実という制限がないわけですから、兎丸にはどんな言動を行わせてもよいわけです。

現在の平家一門の面々よりもずっと早くから清盛と夢を分かち合い、それに懸けているがゆえに、兎丸は、これまでずっと清盛の盟友として常に彼を支え、盛国、時子とともに、彼の一番の理解者の一人でした。 もちろん、これからもずっとそれはゆるぎないだろうと私は思い込んでいたのですが・・・・

その兎丸が、、、、39話の予告編ではなんと、びしょ濡れになって「お前の国づくりは、盗賊が物を盗むのと同じや!」と叫んでいる。しかもタイトルが「兎丸無念」!こ、これは由々しき事態です。兎丸と清盛との関係がいったいどうなるのでしょう・・・兎丸自身どうなってしまうのでしょう・・・今朝の予告編では、大輪田の泊の工事が難航し、怪我人(死者も?)続出なので、兎丸の怒り爆発と言っていましたが、、、それだけで済むのでしょうか。ああ、日曜日が怖いっ。

38話では、時忠が、「禿」(かむろ)と呼ばれる美少年秘密組織を率いて、平家のことを悪く言ったり一門に禍をしようとするものを容赦なく取り締まって罰を与えていき、人々を恐怖に陥れていく様子が描かれていました。そしてこの時忠の務めには直接かかわっていないものの、少なくとも黙認していたという点では、バックにいるのはもちろん清盛です。そういう時忠のやり方にも、兎丸は臆することなく、強く異を唱えていました。時忠が「平家にあらずんば、人にあらずじゃ」との名言を発するに至っては、兎丸は怒りのあまり茫然としていました。

その兎丸を、時忠のそばで、じいっーーーとみつめる禿のリーダー羅刹。彼の魔性の視線がああ恐ろしや。。。。禿に関してもうひとつすごく気になる記述が、NHKサイトの、人物デザインのページ「遮那王(のちの義経)赤の皮肉」というところにあるのです。遮那王に、わざと平家のカラーである赤のカツギをまとわせ、そのため弁慶が彼を禿の一員と間違える、という設定だそうで、「平家の象徴である赤をまとった禿は、清盛にたいして重大な過ちを犯すという皮肉。」という言葉があるのですよ・・・清盛に対して重大な過ち??!! まさか。。。。羅刹が、兎丸に対して何か取り返しのつかないことをしてしまうなんていうことではないでしょいうね。私の嫌な予感よ、外れてくれぃ・・・・

ちなみに、古い船に大量の石を積んで沈め、それらを積み上げるという方法で大輪田泊に波よけの堤防を築く、という設計を行ったのが、兎丸だという設定になっていますが、この方法は、前の記事でも言及した吉川英治歴史時代文庫50『新・平家物語(四)』には、「船瀬法」注1)として説明されており、設計者がだれかということは特に書いてありませんね。

この事業が、台風に翻弄されたこともあって大変難航したのは、史実に違いありません。

ようやく浪間に石面が見える程度までに埋め立てて来た半島形の線が、一夜の強風と怒涛で、なんの痕跡もないただの青海原と化し去っていた」(上記新・平家物語の「宋美人」の段より) こんなことでは、100年経っても完成しそうにないと、奉行らは、「まるで賽の河原の石積みだ」とため息をついたという描写も、この本にあります。

賽の河原の石積み!注1)

そうです、38話の中で、清盛がひとり、泊に見立てた水盤のなかに、船に見立てた貝殻に石を入れては沈め、入れては沈めしているシーンがありましたが、物悲しいカッチーニの「アヴェマリア」が流れ、何かにとりつかれたような清盛の横顔は、どこか狂気さえ感じさせるものでした。(松ケン清盛、本当にすごくなってきましたね~)生き急ぐかのような清盛を、心配そうに遠くから見守る盛国。あの石の沈め方は、まさに賽の河原の石積みです。堤防工事は、一応2年かかって完成を見ますが、結局清盛の夢は実現することはなかったわけですから・・・・

カッチーニのアヴェマリアは、今まで、鳥羽院と璋子との永遠の別れのシーンや、清盛が忠正を斬るシーンなど、死と結びつくきわめて悲しい場面で使われてきましたね。今回この曲が、清盛の石積みシーンおよび時忠の「平家にあらずんば」発言シーンで流れてきたのは、ひたひたと迫りくる一門の破滅を暗示し、いっそうの儚い美しさを響かせるのです・・・

兎丸は清盛から離れていっても、盛国さんだけは最期まで変わらない心で尽くしてくれるよね。。。。

注1)「せんらいほう」と読むのでしょうか?ご存じの方教えてください。

注2) 「賽の河原」の定義(広辞苑より)

〔仏〕小児が死んでから苦しみを受けるとされる、冥途めいどの三途さんずの河原。石を拾って父母供養のため塔を造ろうとすると鬼が来て壊す、これを地蔵菩薩が救うという。西院(斎院)の河原。_転じて、いくら積み重ねても無駄な努力。

 

 


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2 コメント

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兎丸・・・ (トムトム)
2012-10-08 14:33:30
悲しくて切ない最期でしたね。
平家のおごりを象徴したカムロが不気味・・・
大事な友をなくして、清盛は気づくことができたのかしら。
いよいよクライマックス?
これからも楽しみ、解説宜しくね
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泣きました。。 (Keiko)
2012-10-08 15:34:23
おおっ、トムトムさん、にこちゃんのお世話でお忙しいでしょうに、コメントうれしいでーす。
兎丸、、、、悪い予感的中しました、、、それにしてもこんな死に方させるなんて、かなりつらい脚本ですよね。。
清盛は、気づいていなことはないのでしょうが、もう今更歩みを止めることはできないんですね。あとは暴走するのみ?? 

解説なんていう大それたものではないんですよーーん。あまり長くなりすぎないようにと思って、ポイントを絞って感想を書いています。昨日の分もまた数日中に書きますので、読んでやってくださいね。

にこちゃんのお話もたのしみーー
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