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波佐見の狆

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医療搬送用ヘリの事故・・・辛すぎます。

2025-04-10 18:17:05 | 食べ物・健康

2か月半ぶりの更新です。

お花見など楽しい記事を書きたかったのはやまやまですが、今日はちょっと重い内容になります。

といっても、私自身や我が家の問題ではないのです。まったくよその話ではあるのですが、長崎県が関わっていることだし、とても他人事とは思えず、書きたくなりました。

連日の報道で、皆さんもご存じと思いますが・・・

長崎県対馬市から福岡市の和白病院へ患者搬送中の医療用ヘリの事故のことです。

86歳の女性患者さんとその付き添いの68歳の息子さん、そして、34歳の男性脳神経外科医。3名もの尊い命が失われました。

そして、28歳の看護師さん、運航会社スタッフ2名が、フロートに4時間もしがみつくことでかろうじて救助され、現在も和白病院で治療中。

34歳の外科医さんだなんて・・・、私が敬愛する(元)主治医とほぼ同年代の方なので、とても、とても辛いです。こんなに若くして、業務中の事故で命を落とさなければならないなんて、あんまりです。荒川渓先生というお名前で、平成18年に長崎大学を卒業されて、福岡へ来て、民間病院で働いておられたとのこと。長崎大医学部でも、こちらの医局には所属せず福岡に行かれていたのですね...。

先生と患者さん、息子さんのご遺体は機内から発見されたとのことで、ネット上でも言われていることですが、先生は、おそらく、とても動かせない高齢患者さんに最期の瞬間まで寄り添い、殉職されたのではないかと思われます。

ただでさえ、全国的に、外科医の過酷すぎる業務のことがよく報道されていますよね。外科を志望する医学生は減るいっぽうで、美容医療とかに流れているとかで。荒川先生も、院内での仕事で既にいっぱいいっぱいだったでしょうに、日曜日に遠距離出動命令!先生のご家族の悲しみを思うと、涙が溢れます。私の(元)主治医も、同じような仕事ぶりだということは容易に想像できるので、今回のことで、さらにストレスを感じておられないだろうかと、気になってしまって・・・

荒川先生のご遺志を無駄にしないためにも、今後へき地医療への取り組みが先細りすることのないよう、祈るばかりです。

ところで、本州の皆さんには、「長崎県から、なんでわざわざ福岡の病院にヘリで?」って、わかりにくい部分があるのではないでしょうか。

少し説明しますと、「対馬(市)」という島(壱岐島もそうですが)は、行政上は長崎県なのですが、地理上は、どちらかというと福岡県に近いため、直行のフェリーも多く通っており、島民の皆さんにとっては生活圏として福岡の方が身近なのですね。島内には、対馬病院という総合病院もあり、大概のことは対応できるのだと思いますが、対応できないケースでは、福岡に空路で搬送してきたそうです。

そして...ここが大事なところなのですが、いわゆる「ドクターヘリ」は、国と県から補助金が出て運営しているシステムであるため、他県には出動しない(法制上のことかどうかわからないのですが、とにかく異なる行政区をまたいでは運航しない、できない?ということらしい)。福岡県内には久留米大学にドクターヘリがあるが、これは長崎県の離島には行けない。なので、長崎県の国公立病院のヘリなら運航できるわけですが、それだと遠くなることもあって、対馬の島民さんたちは福岡を望まれる。それで、和白病院のようなへき地医療に熱意溢れる民間病院さんが、全くの自前で、民間の運航会社からヘリを雇って、長年、福岡-対馬間を往復してこられたのだそうです。(詳しくはこちらこちらを)

今回のテレビやネットでの報道で「ドクターヘリ」とは言わずに「医療搬送用ヘリコプター」と特に言っているのが、そういう理由だったのだと、私も初めて知った次第ですが、和白病院のヘリには「Doctor Heli 」ではなく「White Bird」という名称が記されていたのですね。

(もちろん、総称というか一般呼称としては、医療搬送飛行システムのことを「ドクターヘリ」というのは、全然かまわないと思いますよ。)

運航会社「エス・ジー・シー佐賀航空株式会社」は、去年も、農地に墜落して搭乗員2名が亡くなるという大事故を起こしていて、それ以来当然、安全管理は徹底されていたはずです・・・。この会社が和白病院と協力してこれまでどんなにか多大なる貢献をしてきたかを思えば、会社を責める気持ちにもなれないのですよね・・・一体どうしてこんなことになったのか、徹底した原因究明が待たれます。

私がこの事故に「他人事ではない」と思う理由がもう一つあります。

私自身は、長崎県佐世保市の本土に生まれ育ったし、現在住んでいる波佐見町も、田舎ではありますが、医療アクセスは良くて(乳がんのとき入院したのは、佐賀県の国立病院でしたが、車で25分)、そういう意味で、へき地医療とはかかわりない人間です。ただ、夫は、離島の出身です。(こちらの島)、人口500人程度の橋もかかっていない島でして、島内には、小さな診療所がひとつ。ドクターヘリ用のヘリポートがあります。日中は民間のフェリーが運航していますが、それも悪天候だと欠航しますから、夜間や台風とかの日に重病人が出たらもう大変ですよ。実際、心臓病もちだった義父を、深夜急に長崎市内の病院に連れていかねばならなくなったことがあり、そのときは、なんと義兄の友人がご自分の釣り船を出してくれて、本土まで渡してくれたのです。友人の方も、万が一船が転覆でもしたら・・・という不安を背負ってのご親切だったようです。なお、ドクターヘリは、個人で要請することはできませんから、住民自らがこのように助け合って自衛するしかないわけです。

長崎県は、離島の数が全国一です。それについて、県のホームページに次のように書いてあります。

「しま」の魅力を発見!!

長崎県内の離島振興法指定有人島の数は全国最多の51で、県人口の約1割にあたる約12万人が暮らしています。
ぜひこの機会に、古くから大陸との交流の歴史を有する「対馬」「壱岐」「五島列島」をはじめ、各しまの多彩な魅力を発見してください。

 そうそう、大陸との交流といえば、対馬は特に、中国大陸に近いため、古代においては、幾度となく、異民族に襲撃され荒らされた苦難の歴史があるのでした。去年の大河ドラマ「光る君へ」でも、ドラマ終盤に丁寧に描かれた「刀伊の入寇(といのにゅうこう;1019年)」は、対馬が舞台です。藤原隆家さん、めっちゃかっこよかったですよね!そして、鎌倉時代には、二度にわたって、元寇という国家レベルの大きな受難の最初のターゲットになりましたね。

歴史、文化、自然・・・魅力いっぱいの離島ですが、居住していれば、日々不便さと厳しさとの隣り合わせ。県民の一人として、そういう現実をあらためて突き付けられた思いです。

まだ書きたいことはあるのですが、すでにすっかり長くなってしまったので、いったんここで終わります。感情のままに書いたので、変なところもあるかもしれませんが、このままアップします。

最後になりましたが、荒川先生と、患者さんその息子さんのご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、生存者の方々の一日も早い心身のご回復を願ってやみません。和白病院のスタッフの皆さんも疲労とストレスが増大しておられることと思いますが、くれぐれもご自愛ください。

追記)さきほど、長崎放送のニュースで言っていたのですが・・・先生のご遺族が、「このことで、ドクターヘリがネガティブな方向に進まないよう、離島医療を今後も支えていただきたい。」といった趣旨のことをコメントされていたと、長崎大学の学長さんが会見で語ったそうです。和白病院では無期限でヘリ業務を休止するとのことですが、その間の対馬からの救急患者搬送は、やはり長崎県の国公立病院がやらざるをえないのではないでしょうか。県をまたいでも、ヘリが運航できるよう、行政上の問題を解決することが、急務だと思いますねえ・・・

さらに追記)今、wikipediaをちょっと見てみたのですが、むむむ「都道府県の枠にとらわれずにドクターヘリ事業を実施できるよう、複数の都道府県で協議することも可能である(ドクターヘリ法5条2項)。」ですって!!そして、実施例として・・・
「福岡県の久留米大学病院の事業では、佐賀県東部と大分県、山口県離島での共同運用が実施されている。
長崎県の国立病院機構長崎医療センターの事業では、佐賀県西部での共同運用が実施されている。とかいろいろ書いてありますねえ・・・

共同運用っていうのは、また別の話なのかなあ。すみません、実情を知らず、一方的に書いてしまったかもしれません。正確なところをご存じの方がおられましたら、教えていただきたいです。

 

 


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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胸が痛いよね (タツママ)
2025-04-11 23:25:50
こんな悲しい事故
胸が痛いよね

福岡でも そんなに詳しいことは
出ていません

海上に 不時着したのに
どうして もっと早く 救助出来なかったんだろ
夕方 速報が出た段階では
第七管区海上保安本部には
ヘリからの 救難信号が届いていない とか 言ってた

そりゃ 無いだろっ
フロートが出たら 自動で救難信号が出るもんだと 思ってた

都道府県の枠なんて
命を預かる緊急事態には いらんやろ
返信する
やりきれんねえ・・ (Keiko)
2025-04-12 09:52:11
タツママさーーん
機長さんが、高波押し寄せるなか、看護師さん助けるだけで精一杯で、力尽きたって、言ってるそうですが。。。確かに、自分も骨折してて激しい痛みがあって、他の人を機体の上に乗せるって、それだけでも、どんなにか頑張ってくれたことかって、看護師さんを助けてくれたことに感謝してるけど、でもやっぱり大切なお客さんを3人も溺死させてしまったというのは、重すぎるよね・・・

うむ。。救難信号装置、点検してたはずだけど、なんでやろねえーーーー
この会社、2004年にも有明海に墜落して社員3名亡くなってるそうで(びっくり)、やっぱ、技術力安全管理能力を疑わざるを得なくなる・・・・

ドクターヘリが飛んでるとこ、時々見ますが、あれーーかっこいいーーくらいにしか思ってなかったなあ・・・
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