さて、’Cantores Episcopi’というグループ名の意味については、皆様の詳しいご教示、本当にありがとうございました。コメント欄ではラテン語からバッハ論にまで発展し、本サイト訪問者の皆様のレベルの高さが反映されていましたね。
Curraghさんが、ともかく、箔をつけるためにこのようなラテン語のネーミングにしただけだろうとおっしゃっていたのですが、それは確かだと思います。それで、そういうノリで、Harry(とその他のメンバー)が、選んだ言葉なのか?つまり、このユニットは、Harryたちが今回新たに結成したユニットなのか、それとも元々(昔から)この学校にあったグループで、Harryも変声したために参加したということなのか、そのへんをはっきりと知りたくなりました。
学校のHPを見るとちゃんと、「ふたつの聖歌隊のほか、合唱団(Glee Club)やクロースハーモニーグループ(Cantores Episcopi)をはじめとするさまざまなアンサンブルがあり」常に学生たちの音楽活動が盛んであることが記されています。ここでnumerous ad hoc (臨時の、その場でとりあえず、という意味)choral ensemblesと書いてありますし・・・つまり、以前からあったのか、それともHarryたちが臨時に結成したものか、よくわかりませんね。
「クロースハーモニー」close harmonyというのは、コーラスグループの和音の構成に関する専門用語で、open harmonyに対するものだそうですが、検索してみても説明がいろいろで、具体的な(技術的な)意味がいまいち私にはよくわかりません。ご存知の方、ご教示いただけないでしょうか。私ももう少し調べてみてわかればまた追記します。ちょっと語学的見地から苦言を呈するとすれば、よく書いてある「クローズハーモニー」というカタカナは間違いだと思います。closeを「クロー『ズ』」と濁って発音するのは、動詞で「閉じる」という意味の場合だからです。ここでは少なくとも形容詞「密な」の意味なので、「クロー『ス』」が正しい。
HarryとCantoresとの関わりについて、Judyさんに詳しく伺ってみました。
なお、以下の内容は、Judyさんが私への私信中に書いてくださったことで、私は、日本語にしてmy siteにpostしますが差し支えないですね?と彼女に許可を得てたうえで、こちらに紹介するものです(それは、この記事にかかわらず、いつもですが・・・・私が直接Harryのご家族から教えていただいた情報などを、できるだけ日本のファンの皆さんにもお伝えするため、プライバシーに触れない範囲で公開していきます)。言うまでもないことですが、無断転載・引用は固くお断りします。
Judyさん: Cantores Episcopiは、30年前にTony Ayresという先生が作ったグループです。Ayres先生が去年の夏に退職された後は Keith Pusey先生が指導されています。実は、Harryは変声する前からすでにCantores に入っていて、アルトを歌っていました。通常、男性アンサンブルのアルトパートはカウンタテナーが担当するので、変声前のボーイがそのままアルトを歌うというのは、異例のことなんですけどね・・・。
Keith Pusey先生とは、おそらく、Harryの隣に写っている白髪の年配の男性だと思います。
Cantoresはだいたい成人男声ユニットですから、当初、Harryはアルト担当なのよ、と伺ったとき、つまりカウンターテナーの意味でおっしゃっていると思い込んでいたのです。テナーになっていると言っていたのに、少し高いほうに戻った?のかなと・・・・なので、変声前から参加していたというのは驚きでした。ちなみに、ここで「アルトを担当」というのは、Cantores EpiscopiのCD録音時点での話で(CD情報についてはまた後日!)、現在コンサートでどういうvoice rangeなのかは未確認です。ともかく、変声直前に「アルト」になった時期があったのか、それとも所謂ファルセットだったのか・・・CDが届いてからのお楽しみということになるでしょう。
それで、なぜHarryが変声前のボーイであったにもかかわらず、この成人男声アンサンブルに参加できたのかという理由をさらにJudyさんは説明してくださいました。
Judyさん: 実はHarryは、1学年飛び級してるものですからね・・・早く参加してしまったんです。
え!飛び級した?!ただでさえ超エリート校であるWinchesterで飛び級?!これは、もっと詳しく聞かねばと思い、いつですかそれ?飛び級するって・・・よくあることなんですか?聞きました。すると、、なんとWinchesterどころか、その前のprep school(小学校)入学時点で1年上に入ったのだそうです!
Judyさん: 飛び級っていうか・・成り行き上そうなってしまったのよ・・・。私たちは、Harryが4歳の誕生日を迎えて間もなく、ロンドン市内から郊外に引っ越してきたのですが、Harry を入れたかったprep schoolが<
Pilgrims' Schoolのこと。7歳から入学>、1年生のクラスが定員一杯だったのです。でも、Harryはすでに勉強がよくできたものですから、「ちょっと2年生に入っておいてください。あとで、1年生に空きが出来たら戻ってもらいますから」って言われたの。ところが、結局ずっとそのまま戻らないで、senior school<Winchesterのこと>に進んでもずっといつも1年先輩たちと机を並べているんですよ。Harryはそれでhappyだしね。何も問題なかったです。ただ、senior schoolに入ったとき、「
でっかい13歳のお兄さんたち」の中にぼつりと「とりわけちびの12歳」がいるわけで、どうしよう~という感じだったけど。でもその違和感もすぐになくなったんですけどね。
恐るべし!Harry 少年
まったく、何から何まで型破りな人です・・・
あのきわめて高い知性は、もともとご両親から受け継いだDNAに加えて、この驚くべきeducational enviromnentから来たものだったのですね・・・・。しかも、Winchesterのようなスーパーハイレベルの学校で飛び級して、「先輩たちに遅れないようについていっています」というのではなく、それどころか・・・・最初から特待生ですし、先日もBCMインタビューで言っていたように、全てにおいて余裕しゃくしゃくで音楽もその他の教科もスポーツもエンジョイしているのです。これからも一体どんな型破りなことをやらかすか、楽しみというか・・・はらはらするというか・・・
話はprep school時代に戻ります。
Judyさん: 実はHarryはね、prep schoolにいたときから既に、自分でクロースハーモニーグループを作ったんですよ。友達をさそって、Tony Ayres先生の指導のもと、’Cantate Pellegrini’ (Pilgrim's Singersという意味のイタリア語ですけど)というグループ名でコンサートも行ったんですけどね、、、ところが、メンバーの中にあまり熱心でない子がいて、リハーサルに来ないので、結局このユニットは立ち消えてしまったのです。
つまり、聖歌隊で歌うこととは別に、クロースハーモニーグループをやるというのは、Harry にとってprep shool時代からの念願だったのですね・・・ ところで、BACはクロースハーモニーなのですか?まあそのへんは置いておいて、ともかく、Harry がBACの活動にも大変積極的だったのは、トレブル全盛時代に、7、8名程度の規模でコーラスグループをやりたい(’Cantate Pellegrini’がぽしゃったので、よけい・・・)という熱意の表れだったのではと思う次第です。
さらに話はそれますが、、、上記の「リハーサルに来なかった消極派」の1人が、2004年のBBC Young Chorister of the Yearで
'Hear My Prayer'においてHarryとの素晴らしいduetを聞かせてくれたあの
Thomas Jestyくんのことだそうです。これも意外
私が「え、そうなんですかー! うーん・・・Tomの声、わたし大好きでしたけどね・・・Harryとのデュエットをもっと聴きたかったなあ」と書いたら・・・
Judyさん: ええ、私も・・・・。'Hear My Prayer'で Pergolesiの’Stabat Mater’をデュエットしてたでしょう。あれ、素晴らしかったわね。実は、あれをまたLondon Baroqueと共演してレコーディングしようという計画があったのだけど、、、、トムはハリーより早く変声してしまったこともあり、結局これも実現しなかったの。トムはもう歌はやめているみたいですよ。
そんな計画があったとは!!残念なことです!
ほかにもいろいろと、結局日の目を見なかった録音があるのでしょうね。ともかく・・・Thomas Jestyくんのことまでいろいろ聞けてというか、聞いてしまって、私としては胸きゅんものでした。
というわけで、Cantores Episcopiに関連して大変興味深いお話を聞くことができました。Judyさん、Thanks very much!
Cantores Episcopi情報、今後もご期待ください
ふえーー やっとURLをいちいち張り付けなくてもリンクができるようになりました。
(これもエリーユキママさんが教えてくださったおかげなんですけどね。。。
)Thomas Jestyとかアンダーライン箇所にカーソルを当ててみてくださいね。