波佐見の狆

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乗馬スクール1年生

2013-09-24 22:04:30 | 乗馬

うちから車で10分ほどのところにある、乗馬スクール(クレイン竜ヶ崎の馬場です。

わたし、ここで、乗馬を習っています。だいたい週1回のペースです。

実は、恵を見送ってちょうど1か月たった頃(つまり4月上旬)、たまたま「無料体験レッスン」のチケットというのを入手しました。家で鬱々とばかりしていても辛いばかりだし、気晴らしにと思って、ぱぱと2人で行ってみたのですが、さっそくお馬さんに乗せてくれて、なかなか楽しかったので、夫婦で入会しました。

もともと、馬そのものや乗馬に興味はありました。なんてったって源平の時代は、馬でしょ!それから、、、2年くらい前のことですが、仕事で、競走馬の遺伝子や病気についての論文をしばらく訳していたことがありまして、馬の能力って凄いんだなと、興味を持った次第。乗馬は、水泳やジョギングなどと同じくらいの良い全身有酸素運動になるとのことだし、やってみたいなぁ、近くにあるのになぁ・・とずーっと思いつつ、やはり敷居が高すぎて・・・自分から電話したりなどとてもできませんでした。

4月4日・・・実はYukoさんがご一家でイギリスより帰省されていて、お食事会に呼んでいただき、都内まで行くために駅へ行き、駅ビルへの通路を歩いていました。そこで入会の勧誘をやっているスタッフに呼び止められ、くじを引くように勧められて引いたら・・・3等当たりです!無料体験レッスンチケットプレゼント~~~ご夫婦でどうぞ!体験レッスンの予約はいつにしますか?・・・と、あれよあれよという間に、引っ張って行かれたという感じでした。Yukoさんのお誘いがなければ、その日駅へ行くこともなかったので、敷居を飛び越えてスタートできたのもYukoさんのおかげですが、なにより、そのチケットは、栗と恵からのプレゼントだったのだろうと思います。

スクールには100頭もの馬がいますが、多くはサラブレッドで、引退した競走馬だそうで、人を乗せるのには大変慣れています。1回のレッスンは45分ですが、始まる前に、「馬装」といって、背中に鞍をつけたり頭部に皮具を装着したりなどの練習を、15~30分ほどやります。体験レッスンのときはマンツーマンですが、入学してからは、1クラス5名以内で、先生が1人。(ほかに助手の方が付きます)。

乗馬のスタイルには、ブリティッシュとウエスタンがあり、鞍などの用具も、そして乗り方も異なります。前者は、ヨーロッパの上流階級のたしなみから発展した上品なスタイルで、オリンピックなどの正式な馬術もブリティシュですね後者は、西部開拓時代のカウボーイ映画でお馴染みの、派手で野性的なスタイル。全国のクレイン乗馬クラブでもブリティッシュを教えています。

私はまだ、基礎コースなので、ともかく馬に慣れるだけでまだ精一杯なのですが・・・17鞍乗ったところで(乗馬は「1レッスン」と言わないで「1鞍」と数えます)、どうにか、トコトコと歩く「常歩」(なみあし:walk)と、タッタッタッタッと早歩きする「軽速歩」(けいはやあし: rising trot)で乗れるようになり、手綱で誘導して方向を変えるなどができるようになったところです。特に「軽速歩」は、すごく運動になり、よい汗をかけます。英語でrising trotという通り、馬の揺れに合わせて馬上で軽く立ちあがりすぐ座る・・という動作をリズミカルに繰り返すのですが、自分が立ち上がるというより、馬の背中からポーン、ポーンと放られ体が持ち上げられる感じで、面白いのです(自分はマリオネットになって、上から吊り下げられている感じ)。

人を乗せるのに慣れている大人しい子ばかりではあるのですが・・・実はわたし、一度、さっそく馬から放り投げられちゃいました。つまり落馬したのです! 突如、ひゅうと馬のお尻が大きく上がって、鞍が膨れ上がり、あっという間に地面にずどーーーん。ひい!と悲鳴を上げながらも、しっかり手綱を握っていたので、するすると落ちて、尻餅をついただけで、怪我もなく痛みもありませんでした(地面は柔らかい砂場です)。落されただけで、蹴りつけられたりしなかったから、よかったぁ・・・インストラクターさんたちのほうが青ざめて、慌てて寄ってきましたが、わたし、へらへらと苦笑い。ズボンが少々汚れたたけです。先生からも、同じクラスの人からも「落ち方が上手でしたね!」なーんて褒められ?!かえって、悦に入ったりなんかして。

たまたま、その子の機嫌が悪かったのか、、もしかしたら、乗るときわたしの靴の先がちょっとお尻に触れてしまったので、怒っていたのか、、、ともかく、ナメられたんですかね?!まあ、笑いごとで済んだからよかったものの・・・・怪我しなくても、馬さんのウンチの上に落っこちてたら、大変でしたよね!ともかく、それで怖くなったとかいうこともなく(もちろん、その時の馬は避けています)、以降は何事もなく乗れています。

もうすこし、レッスン料が安ければ・・・・週2回くらい行きたいところですが、乗馬はなにせすごくお金がかかります!(入会金、月会費、毎回の騎馬料と保険、その他ヘルメット、ブーツ等の装備)・・・でも、これで健康になれれば、出費も無駄にはならないでしょう。まあ、今は、動物病院や酸素ハウスの出費もありませんしね・・・

私のような運動神経ゼロでも楽しめますから、乗馬って、中高年のアクティビティとしてはなかなかよろしいかと思います! 

↓ 京都のクレインの紹介ビデオですが、だいたいこんな感じです~

追記です)

お馬さんで思い出しました・・・・・2010年のちょうど今ごろの那須お泊り会の記事(こちら)でも使ったこの写真。途中寄った観光牧場(千本松牧場)での一コマです。「ひゃっほう!ぱぱとお馬さんに乗ったんだよ~~!」って書きましたっけね。お空から、恵の「がんばってね~~まま、ぱぱ!」という声が聞こえるようです。

 


「耳なし芳一」を考える(前編)

2013-09-15 10:26:26 | 平清盛ほか歴史関連

旅行記は、いったん終了としたのですが、下関の番外編ということで、もう少し語りたいことがあります。

『耳なし芳一』のことです。

ギリシャ人とアイルランド人とのハーフで明治29年に日本に帰化して小泉八雲となったラフカディオ・ハーンが、英語で書いたもので、正式には、'The Story of Mimi-Nashi-Hoichi' 『耳なし芳一のはなし』といいます。『雪おんな』」『ろくろ首』などのお馴染みの幽霊話とともに、明治37年に出版された『怪談』('Kwaidan')という怪奇文学集に納められたもので、われわれが小さいころから知っているのは、その日本語訳です。戸川明三という方の翻訳が最初だったようです。こちらで全訳が読めます。英語原文はこちら。YouTubeで朗読も聞けまして、日本語はこちら。英語はこちら(きれいなアメリカンです~)。

善良な盲目の琵琶法師にとりつき、耳を引きちぎる、というきわめて残忍な仕打ちをする平家の亡霊・・・このお話のおかげで、私は長いこと、平家に対して邪悪で暗いという相当ネガティブなイメージを持っていまして、自分を含めて大方の日本人によからぬ平家像をハーンが植え付けたと思っていました。あんまりじゃないですか、ハーンさん、あなたは源氏ファンですかっ!・・・なんて。

しかし、実際に下関を訪れ、平家落人の末裔であるNさんと語り合い、またいろいろと詳しく調べていくうちに、考えが変わってきて、このお話の美しさを改めて感じるようになりました。そのあたりについて2回に分けて書いてみようと思います。

                                                  

もしこのお話が、芳一は、平家の亡霊に連れられて夜な夜な、平家のお墓の前で平家物語を演じておりましたとさ、だけで終わっていたら...果たしてこれほど日本人の心に深く残る話になったでしょうか?

「このまま亡霊の言いなりになっていたら、きっとお前は八つ裂きにされる」と心配する住職の指示で、芳一の体中に書きつけられる般若心経・・・書き忘れられた二つの青白い耳が、暗闇に浮かび上がり、亡霊の突き刺さるような視線が注がれる。そして、鉄のような大きく冷たい指によって、耳は引きちぎられる・・・・と、強烈なインパクトのあるストーリーであったからこそ、これほどまでに怨念を抱いて彷徨わねばならないとは、いったい何があったのかと、平家の最期に深く思いを馳せ、彼等の無念を後世にいつまでも語り継ぐことができるのではないでしょうか。

ハーンは、もともと、孤独な生い立ちである上に、イギリスでの寄宿舎生活中に左目を失明したことで、感覚的にも非常に繊細になり、普通の人間が目に見えないような神秘的なものに没頭するようになりました。

妻となった節子(セツ)が、日本各地に伝わる民話、伝説などの中から選りすぐってハーンに聞かせた「幽霊話」は、とりわけ彼を夢中にしたのです。セツさんは、夫を喜ばせようと、いろいろとネタ探しをして、自分のものとして大変上手に語り聞かせたのですね。ハーンはそれにさらに独自の解釈を加え、ふたりでいろいろと話し合って細部を編み上げながら、詩情あふれる優れた英文学作品に創り上げて世界に紹介したのでした。

なかでも、平家物語の名手であった盲目の琵琶法師の話は、自身片目が盲目であり、常に全盲となる不安と闘っていたハーンを強く惹きつけました。盲人特有の鋭く生き生きとした聴覚表現で話を純化させ、怪談集の中でも彼が一番力を入れた作品になりました。そして・・・心優しく、常に「弱い者」に寄りっていたハーンですから、負け組となって滅びながらも誇りを失わなかった平家の無念を、日本人に決して忘れて欲しくないというメッセージを発信したかったのだと思うのです。注1)

ハーンのこの、視覚障害ゆえに聴覚表現が美しく研ぎ澄まされていた、という点については、文学における障害者像という観点から論じた素晴らしい論文があります。島根大学の銭本健二という先生の論文で、短いものですから、ぜひお読みください(こちら)。

この論文にも書いてあることですが、セツさんの回想録「思ひ出の記」によりますと・・・耳なし芳一を執筆しているとき、ハーンは日が暮れてもランプもつけず没頭しているので、彼女が隣の部屋から「芳一」と呼んでみると、「はい、私は盲目です、あなたはどなたでございますか」と真剣に答えたり、書斎の竹薮で、夜、笹の葉ずれがサラサラと聞こえると「あれ、平家が亡びて行きます」とか、風の音を聞いて「壇の浦の波の音です」とか、真面目に耳をすましていたのだそうです。

夫婦であちこちを旅行していたようですので、耳なし芳一をまとめるにあたって、下関にも立ち寄り、ゆかりの地を訪れ、平家末裔の人々から話を聞いたのは間違いありませんが、笹の葉ずれの音に平家の人々の嘆きを想い、風の音に壇ノ浦の激流を感じるなんて、ハーンがいかに平家を理解し、平家人たちの最期に優しい思いを寄せていたかがわかりますね・・・・。

ちなみに、ハーンが来日してから没するまでを描いたテレビドラマが、NHKでずいぶん昔に放送されたのをご存じでしょうか。「日本の面影」というタイトルで、1984年(昭和59年)放送でしたが、20代半ばだった私はリアルタイムで釘づけになって見ました。ハーン&セツは、ジョージ・チャキリス&檀ふみのコンビでしたが、この2人が本当にもう素朴で素敵で、決して忘れられないドラマです。残念ながら、もうその映像はNHKに残っていないのですが、ありがたいことに、ごく一部ではありますがYouTubeにちゃんとアップされていて、セツさんが耳なし芳一を語り聞かせる場面を見ることができます(アップしてくれた人に賞状をあげたい!)。

迎えの武者(長塚京三さんですよ~)が、芳一の手を引いて、大きなお屋敷(と芳一は思っている)を入るとき、「開門!」と言いますが、「門を開け」ではいまいち凄味がないので、ふたりでいろいろ考えて「開門」とした、ということも、セツさんが手記中で語っていました。しかも、ローマ字で、Kaimon!ではなく、wを入れてKwaimon!とすることで、さらに重みをつけ、盲目の主人公が聴覚で感じている恐怖感を出したわけで、ハーンがいかに細部に至るまで、日本語を繊細に表現していたかが解りますね。注2)  

ついでに、「雪おんな」を語る場面もどうぞ。美濃吉の役は、田中健一さんですね~

こちらは、ジョージ・チャキリスさんのブログです。檀ふみさんとの温かい交流など、撮影時の思い出を語ってくれています。「ウエストサイドストリー」で有名なアメリカ人名優さんですが、彼もご両親がギリシャ系とのこと。

前編は、このへんで。

後編では、赤間神宮と芳一について書きますね。紙芝居もありますよ~~~

注1) 『耳なし芳一』の原典となったのは、江戸時代中期に出版された一夕散人(いっせきさんじん)の『臥遊奇談』(がゆうきだん)という怪談本に納められている『琵琶秘曲泣幽霊』(びわのひきょくゆうれいをなかしむ)です。耳をちぎられるくだりまで書いてあるそうですが、ただし全体的に短いので、いろいろと苦心してあれだけの長さに創り上げたと、セツさんの回想録にあります。

こちらをクリックすると、本の全体を手に取るように見ることができます。

注2)ハーンの怪談集のタイトルもKaidanではなくてKwaidanですね。なお、wが入るのは、出雲の方言の影響もあったとも言われているそうです。 このように、英文の中に、ローマ字書きの日本語がぽつぽつ入っているのがまたいいのです。

★ 追記です・・すみません、 開門!にもwが入っているというのは、私の大変な記憶違いだったようで、ちょっとそのへんのあたりから後編書くつもりです。

 


「振り子」よ戻れ!(鉄拳さんのアニメ)

2013-09-09 16:43:20 | Miscellaneous

朝ドラ「あまちゃん」に効果的に挿入される可愛いアニメ(パラパラ漫画)を描いているのが、鉄拳さん(公式ブログ)。

インパクトのあるどくろのメイクをした、お笑い芸人アーティストさんですね。

彼の「振り子」という4分ほどのパラパラ漫画が、世界中を感動させている、いや、感動させていたそうですね。(もう去年からブレイクしていたなんて・・・)

私全然知りませんでした。

鉄拳さんが、さっき「スタジオパーク」に出演して、そのことを話していて、「BGMにイギリスのロックバンドMuseの曲を使ったら、逆にMuseの方から公式ビデオに採用させてくれと、コラボの依頼が来てびっくり」とおっしゃっていました。え!あのMuseが?!と思って、さっそくその「振り子」というアニメを見てみたのですが・・・いやもう涙が止まらないんです。この物語の妻は認知症のようです(私にはそう思える)。必死で振り子の動きを止めて時間を戻そうとあがく夫。その夫の背中を優しく妻がたたくと、本当に時間が戻っていく・・・・

こちらです!!

詳しくは、Warner Music Japanのニュースをご覧ください(こちら)。

(また平家関連の記事を書こうと思っていたのに、、、今日は「振り子」に完璧やられました・・・・)

 大切な追記です

「振り子」は、敢えて言葉を入れず、絵だけで伝えようとしているところがよくて、見る側が自分の心に応じていろんなイメージを膨らませればいいと思うのです。そういう意味で、私には、自分の両親を重ねてしまい、認知症になってしまったパートナーというところが、まずぐっと来たのです・・・

ただ、とむとむさんのコメントを読んで、どういうストーリーか一応は把握する必要もあると思いました(さらに深く味わうためにも)。鉄拳さんご本人の解説がないので(敢えてなさらないのだと思います)、ネット上で探した中で、私が一番しっくりきた解釈を紹介します。「イクメンエンジニアの育児あんてな」というブログをされている男性の方の素敵な解説です。皆さんもぜひお読みくださいね。こちらをクリック!!