週末の日経新聞にこんな記事があった。
毎週、さまざまな「ランキング」を紹介する特集なのだが・・・
一度は訪れてみたいあの坂・・・
何を隠そう、私は大の「坂道フリーク」である。
人生の苦しい坂道は嫌いだが「風情ある坂道」は大好きなのである。
読者投票でダントツの一位が函館の「八幡坂」だった。
函館山の麓から函館湾に向かって一直線に伸びる坂道の風景は圧巻である。
かつては港に青函連絡船が停泊し汽笛を響かせていた。
私は冬の函館しか知らないが、白々とした雪の八幡坂は情緒がある。
二位は京都の「産寧坂(三年坂)」である。
東山から清水寺へと続く坂道沿いには土産物屋や陶器店、料亭が建ちならぶ。
京都では最も京都らしい風情を残す坂道だが
常に観光客で賑わっていて、週末などは歩くのにも難渋する。
これは去年のゴールデンウィーク
里帰りの途中に立ち寄った時に撮った写真である。
学生時代は京都だったが、めったに観光地に足を踏み入れたことがなく
ゆっくり産寧坂を歩いたのは初めてだった。
三位に選ばれたのは長崎の「オランダ坂」である。
函館も小樽も坂の町だが、長崎も相当なもので歩くとすぐに息が切れる。
江戸末期から明治にかけては、この坂道を「紅毛碧眼」の外国人が頻繁に往来した。
長崎の人は親しみをこめて「オランダさん」と呼んだと言う。
大浦天主堂やグラバー邸も近く坂道散歩には持って来いの場所である。
四位には尾道の「千光寺新道」が選ばれた。
「尾道大好き人間」の私としてはいささか順位に不満はあるのだが・・・
とにかく坂だらけの町で、しかも勾配がきついから「心臓破りの町」と呼びたいぐらいだ。
しかし、千光寺の境内から望む尾道水道のパノラマは素晴らしく
見ているだけで瀬戸の海のように心が凪いで来る。
大阪時代は季節ごとに訪れたものだが、東京に来てからはすっかり足が遠のいた。
また尾道に行きたい・・・痛切に思うのである。
五位に推されたのは世界遺産「中尊寺の月見坂」だ。
残念ながら奥州・平泉はまだ訪ねたことがない。
川瀬巴水の絵で雪に埋もれた月見坂の荒涼たる風景を見て激しく心を揺さぶられた。
以来、一度は訪れてみたいと思いつつ、まだ実現していない。
雪に閉ざされた真冬、この老杉に覆われた参道をゆっくりゆっくり登って
金色堂の前で藤原三代の栄枯盛衰に思いを馳せてみたい・・・(笑)
番外編は大阪・上町台地の「愛染坂」である。
大阪は起伏の少ない町だが、天王寺周辺には風情ある坂道が残っている。
愛染堂は映画「愛染かつら」のモデルとなった由緒あるお寺である。
坂の上からは通天閣が驚くほど近くに望めてテンションが一気に上がる。
♪ 橋の名は愛染橋 ほほえんで 渡れば恋がかなう・・・
百恵ちゃんが歌っていた橋はもうないけれど、懐かしさがこみ上げる。
冒頭に「人生の苦しい坂道は嫌いだけれど」などと書いた。
しかし、考えてみれば、人生にも起伏があって
時に息が切れるようなつらい体験があるからこそ豊かになるとも言える。
だから「坂道」に惹かれるのかも知れない。
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