真っ赤なポスターがずっと気になっていました。
道化師のようなその男の存在感がずっと気になっていました。
赤ら顔の単なる酔っ払いでしょうか・・(笑)
東京ステーションギャラリーで開催中の「鴨居玲」展です。
没後30年、東京では25年ぶりの回顧展。
と偉そうに紹介しつつ、私は鴨居玲をあまりよく知りません。
日本を代表する下着デザイナーの鴨居羊子さんの弟というぐらいの知識です。
でも、正直言って、かなりの衝撃でした。
ほとんどが場末の酔っ払いや老婆の絵ばかりです。
でも、社会の底辺に生きる人たちに惜しみない愛情を注いでいるのが
その激しい筆づかいからも伺い知れます。
南米、ローマ、パリ、スペイン、神戸と世界中を転々としながら
常に人間の内面を見つめ続け、その荒ぶる心情をキャンバスにぶつけました。
内なる孤独と苦悩が画面からにじみ出て来るようです。
デカダンを絵に描いたような風貌です。
金沢に生まれ、金沢美術工芸専門学校を卒業後は洋画家の宮本三郎に師事。
新人の登竜門「安井賞」にも入選するほどの実力派でした。
でも、関西弁で言う「難儀」な性分だったんですねえ。
普段はユーモアにあふれた茶目っ気たっぷりの性格だったようですが
一方では、常に絶望感にとらわれ、酒におぼれ、何度も自殺未遂を繰り返すなど
典型的な「破滅型」の人間だったと言います。
私もそうですが、繊細でひたむきな人間は必ず破滅型になりますね。(笑)
展覧会のタイトルにもなった「出番を待つ道化師」。
見ていて気づいたのですが、これって鴨居玲の自画像ですよねえ。
だらしなく酔っぱらって放心状態のピエロ。
後で解説書を読むと「彼の作品の登場人物はほとんどが自画像」とありました。
愛用のパレットも衝撃的でした。
暗く沈んだ重厚な画面はこのパレットから生まれたんですねえ。
私の貧弱なパレットとは対照的に、まさに混沌のパトスを感じてしまいます。
一番印象に残ったのがこの絵でした。
これまでに描いて来たさまざまな絵の主人公たちに囲まれて
これから新作に挑もうとする鴨居ですが・・・
結局、何も描くモチーフが見つからず、キャンバスは永遠に白のままでした。
創作に行き詰った鴨居はひたすら酒におぼれるまま
ついに57歳で自死を遂げます。
10年ほど前、東京で見逃した回顧展を観るため
広島まで追いかけました(^^;)
その前年、金沢の美術館(たしか石川県立美術館)にも行きましたが、生憎展示されておらず・・・
(25点ほど所蔵しているので見られると思ったんです、単純!)
今回の展覧会、まだ行っていませんが絶対に行く!と
決めています。
そうそう、確か、まろさんが携わっていらっしゃる美術番組でも「1982年・私」を取り上げていたように記憶しています。もうずいぶん前ですが。
それほど鴨居玲にご執心とは知りませんでした!追っかけですねえ。(笑)
私はかなり以前に、その石川県立美術館で何点か見ただけで、すっかり記憶も薄れていたのですが
今回、あらためてちゃんと見て、ちょっとドキドキするような感動でした。
遅ればせながら、私も「鴨居ファン」の仲間入りをさせてもらいます。(笑)
金沢はやはり地元だけに所蔵作品の数も多いようですねえ。
今回の展覧会は「北陸新幹線開業記念」らしいすが、お蔭で交通費が浮きましたねえ。ぜひぜひ!
お友達のFBの『いいね』からこちらを発見、拝読し、興奮のあまり名無しで書き込みしていまいました。ご丁寧にお返事を頂き、恐縮です。また時々お邪魔させて下さい。名前、考えておきます(笑)
そうですか、早速、行かれましたか!
素晴らしい行動力ですねえ。
鴨居玲が取り持つ「カモイの縁」に感謝したいと思います。(笑)
今度はぜひお名前を!