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夜明け方、仕事をしながら何気なくテレビをつけていると・・・
ニュースで俳優の杉浦直樹さんが亡くなったのを知った。
思わず「えっ」と声が出た。
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私はずっと杉浦さんのファンだった。
テレビでザッピングをしていても彼が画面に出ると必ず手がとまった。
シリアスな中年男の悲哀を演じていても
どこかに「軽妙さ」「コミカルさ」が漂う本当に味のある俳優さんだった。
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数多くのドラマや舞台で活躍されたが
代表作を一つ上げろなら、やはり「岸辺のアルバム」だろうか。
山田太一さんの脚本による1977年のテレビドラマだ。
倦怠期を迎えた夫婦の危機とその家族の「崩壊」がテーマだった。
夫に隠れてハンサムな男性と不倫をする主婦を演じたのが八千草薫。
仕事のためならモラルも捨てる商社マンの夫・田島耕作の役が杉浦さんだった。
息子が国広富之、娘が中田善子、母親の不倫相手が先日亡くなった竹脇無我。
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このドラマの大きなモチーフとなったのが1974年の「多摩川水害」だ。
堤防が決壊して19棟の家屋が流されたのだが、その中の一組の家族が
「家を失ったのもショックだが家族のアルバムが流されたのが大変なショック」
と語ったことが、ドラマの構想につながったと言う。
ドラマでも実際の報道映像をつ使ったこのシーンは確かに印象的だったし
濁流渦巻く川の岸辺で茫然と立ち尽くす杉浦さん姿が忘れられない。
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これまでの良妻賢母のイメージをかなぐり捨てて
「不倫主婦」の汚れ役に挑んだ八千草さんの演技は大きな話題となった。
しかし、家族の崩壊を前に懸命に踏みとどまろうとする夫・田島耕作の姿を
哀しく、切なく、どこかコミカルに演じた杉浦さんの芝居も出色だったと思う。
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杉浦さんの代表作はその他にも
向田邦子さんの「父の詫び状」や「あ・うん」など数多く
むしろ「向田ドラマ」の常連だった印象が強い。
人間味あふれる飄々とした演技はどのドラマでもキラリと光っていた。
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思えば・・・
そんな時代に比べると「見たい」と思うドラマが本当に少なくなった。
また、先頃、亡くなられた原田芳雄さんもそうだが
私が「見たい」と思う役者さんたちもドンドン鬼籍に入ってしまう。
本当に淋しい限りだ。
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杉浦さんは「演技に生活感を出したくない」という理由で
普段からずっとホテル暮らしだっと言う。
実際、私生活は一切外には出さない人で、根っからの役者だったのだろう。
それでも最近、ある女性と再婚されたと報道にあった。
その女性に看取られての最期だったようで
それを聞いて何かホッとする思いだった。
臨終の際の最期の言葉は・・・
「私の人生、メデタシ、メデタシ」だったと言う。
享年79歳だった。
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わたしの人生、メデタシ、メデタシ、か。
松原敏春さんの三周忌パーティに杉浦さんがいらしてて、少しお話ができたんですよ。ずいぶん前ですが。
我々若輩にも、丁寧にお話になる方でした。素敵でしたよ~。
心からご冥福をお祈りします。
あの通りの折り目正しい、丁寧な人なんでしょうねえ。自分の人生を「メデタシ」と言って終えられる人なんか、そうそういる訳ではないと思うから、うらやましい。
翻って私などは・・・
まろ様は放送作家を生業にされているとの事で、此の記事に書き込みさせて貰う事にしました。自記事でも書いたのですが(http://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/3877abb5806b4cd0be387f17a8f2ed2d)、自分も杉浦直樹氏は好きな役者の1人でした。最初に彼の事を知ったのは、ドラマ「アイフル大作戦」だったと思うのですが、子供心に其のダンディーさと軽妙洒脱さに魅了されました。
杉浦氏と言えば、自分の中では「山田太一作品の常連」というイメージが在ります。矢張り、代表作は「岸辺のアルバム」でしょうね。映画「手紙」では良い意味で枯れた演技を見せてくれ、此れからの活躍が楽しみだったのに・・・本当に残念です。
今後とも何卒宜しく御願い致します。
コメントありがとうございます。
そう言えば「アイフル大作戦」を失念していたことに思い当りました。私も楽しみによく見たものです。あれは杉浦さんだったのですね。
名優が去っていくということは即ち、見たいテレビがどんどん減って行くということで、何とも淋しい限りです。