三十路の食卓

食事の記録・食にまつわるあれやこれや
かっこいいごはんも いいかげんな飯も 全ては私のリアリズム(おおげさ)

南部鉄器さまさま

2011-11-27 18:35:58 | 買いました。
〈11月16日の食事〉
朝:黒豆納豆ご飯 玉ねぎかなあ?の味噌汁
昼:ツナと野菜のサンドイッチ(PAULで購入) ファミマで買ったスープ
夜:お弁当(玄米ご飯、じゃがいもとしめじの炒めもの、肉野菜炒め)

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えー、この前買った南部鉄器のフライパンについて、語っていいですか。
長くなりますよ。

私が南部鉄器のフライパンのことを知ったのは、デイリーポータルZのライター高瀬さんの記事。
オムレツを作るにあたって、使うバターの量と味の相関性を調べた企画であった。
そのとき使ったのが、南部鉄器のフライパンだったのだ。
記事リンク「バターたっぷりスクランブルエッグの限界」
(2011.11.28 追記 そう、すっかり勘違いしてたのだけれど、記事で高瀬さんが作っていたのはスクランブルエッグなのでした…のちほど出てくるけど、結果的にはちゃんと記事をなぞったのだな)

記事で印象的だったのは、企画の面白さもさることながら、そのとき高瀬さんが導入したてであった南部鉄器のフライパンが、とても素晴らしいものであるんだろうな、ということ。
その後読んだ飲食エッセイで南部鉄器の鉄瓶の存在を知り(これまた、とてもいいものである予感のする文章であった)、黒くで武骨でいながらシンプルで美しい南部鉄器への興味はどんどん湧いてくる。
オール鉄製ゆえ、料理や沸かした湯に鉄分が行き渡るというのにも、何だかとてもそそられる。
とりあえず何かが欲しくて、買いやすい値段であった栓抜きをすぐさま買ったほどである。

特に欲しいものは、記事に影響された形で、フライパンであった。
だが、いざ買えばその辺で売ってるフライパンの二倍はしちゃう代物。
中々手はだせないのである。
まがりなりにも、焦げ付いたりテフロン加工剥がれちゃったりしてるけど、一応はフライパン持っている訳だしね。

というところから一転したのは、実物を見てしまったんですね。
近頃、東北の民芸や工芸とコラボレーションしたアイテムを出している雑貨ショップのFrancfrancにて、岩手県の伝統工芸である南部鉄器の製品も販売されているんである。
たまたまベッドシーツか何かを探しに行った時に、そっちのけで目が合ってしまったんである。

迷わず手に取った。
オール鉄製のしっかりした重み。
薄い円柱状の鍋部分にすっと把手が伸びた、余計なところがひとつもないシンプルな形。
色はいさぎよいまでに黒である。

これだ!と思った。
今のフライパン剥げかかってるんだから買えばいいんだよ!と、すんなり思えた。
ちょっと欲しいけどそこそこ値を張るし、フライパンあるしねぇ、と通販サイトで南部鉄器のフライパンを眺めてはため息をついていたのが嘘みたいである。
それが覆るくらい、実物には力があったんである。

そこでまあウチの子になりまして、鉄鍋を最初に使うときの処理である「野菜のくず炒め」(錆抜きらしい)なんかをしまして、使えるようになったのが晴れて先日。
初めての料理は、記事に敬意を示して、というよりもとにかく再現したくなっちゃったもんだから、バターを使ったオムレツ。

フライパンをよく熱し、バターを落として溶かして、溶いた卵を2つ分。
熱伝導の良さからなのか、あっという間に出来上がり。
…なのだが、フライパンの中で掻き混ぜすぎて、スクランブルエッグになってしまったというのを白状します。

こうして出来上がったそれは、自分で作ったと思えないほど美味かったのです。
いつもと同じ材料を使った訳ではないから、正味な話、れっきとした因果関係を証明できないのだけれど。
けれど、このフライパンがこれを作らせたのだと信じたい。
このフライパンを生かしたくて考えて行動した結果なのだから。

使ったあとの手入れといえば、洗剤なしのお湯で、タワシで軽く擦るだけ。
別の金属でコーティングされている訳ではないのだから、その辺りを神経質にならなくて済むので楽である。
その後火にかけ水分を飛ばし、鍋肌に薄く油を塗れば手入れは終了。
この一連の流れは、錆防止のためのものである。

でまた、油を塗ったフライパンが、黒く艶を増してまたかっこ良くなるんですね。
洗ったあとはひっくり返して干しときゃいいや、っていう今までのフライパンと比べたら確かに手間暇かかるのだけれど、この姿に見惚れたいから、ちっとも苦にならないのである。
…って大丈夫ですか。
物フェチのへんな人の文章になっていませんか。

とにもかくにもこうして我が家にやってきたこのお方。
ずっと黒光りしていただくべく、大切にします。

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(2011.11.28 追記)
フランフランの「East Japan Project」ページはこちら
ページの下の方、「南部鉄器:素朴な味わいに惹かれる、優秀キッチンツール」が該当の製品になります。
買ったのはここには載ってない、注ぎ口がついてないもので、確か4500円くらいだったと思います。