KSIの森

劇的に機能するパーシャルデンチャーをめざす歯科技工士の研修会グループKSI(奥森主幹)の情報掲示板です

K.S.I OPEN WEB SEMINAR 2021

2021年10月24日 | オープンセミナー
10/17に2021年度KSI Web オープンセミナーが開かれました。
今回の講師には奥森主幹、2018年に続き名古屋で御開業のカメリア歯科矯正クリニック 池村仁克先生、小山会長、大澤副会長、山中九州支部長、黒島中国、四国支部長
今回のWebオープンセミナーには定員50名のところをKSI会員以外の方からは23名の申し込みをいただき嬉しく思っております。
デンタリード坂本さん、小山会長から開式のご挨拶をいただきました。


奥森主幹の御講演からスタート
『〜おぼろげなイメージとラボワーク〜』

歯科医師による審査、診断の後治療順序が決まり、補綴設計となった時点からラボサイドが介入するのでは遅く、審査、診断の後治療計画が始まるまでにチェアサイドとラボサイドがおぼろげなイメージを共有し、コラボレーションしていくことが重要と述べられました口腔内で我々技工士が製作した補綴装置が機能していくことが抑えておくべきポイントと解説されました。
水平方向への対応として、
1.適正なプロキシマルプレート、スタバライジングアーム、ブレイジングアームを設定
2.適正なレスト設定と強固なマイナーコネクター
3.メジャーコネクターと各構成要素を強固に連結
4.筋圧形成を行い義歯床を拡大する
また力のかかる方向から逆算した設計がパーシャルデンチャーの設計の理想と解説されました。
再介入のためのプロビジョナルデンチャー は重要であり、プロビジョナルデンチャー、テンポラリーデンチャーともに残存歯へ間違った負荷がかかるようではプロビジョナルデンチャーでなくなる。
次にリジッドタイプの義歯の動きのコントロールととして、義歯の動きを最小限に抑えるため咬合のコントロール。
そのためには支持、把持、維持、拮抗、受動性、取り囲みを備えた支台装置を作成し、臼歯の咬合面形態が咬頭嵌合位の安定に繋がり、歯牙ガイドによる臼歯離開が大事と解説していただきました
マウスプレパレーションの重要性として、口腔内にパーシャルデンチャーが維持、安定するための準備を整えることが非常に重要と述べられ、人工歯ではファイナルデンチャーに使う人工歯とプロビジョナルデンチャー で使用する人工歯は同じものとし、咬合様式を同じものとした方が良いこと。
最後に金属アレルギーの方のジルコニアフレームが破折した症例を見せていただきました。

池村仁克先生の御講演
『チェアサイドで行うべきこと』

チェアサイドで行われているパーシャルデンチャーの製作の一連の流れを解説していただき
1.審査診断
 歯牙の状態の判断及び治療範囲をドクターが行う
2.補綴設計
 経験と理論に基づき設計をテクニシャンが行う
3.プロビジョナルクラウン、プロビジョナルデンチャー製作
 設計に従いマウスプレパレーション
4.サベイドクラウン、ファイルデンチャー製作
過去に来院されパーシャルデンチャーを製作された患者さんがシンガポールの歯科医院へ行き、セットされているパーシャルデンチャーを見た歯科医師の方が驚かれたことを教えていただきました。
マウスプレパレーションを適切に行うことで口腔内での咬合力が長軸方向へ、マウスプレパレーションのないパーシャルデンチャーでは歯牙に負担がかかるため永続性が少ないと仰られました。
残存歯に対する基本治療
 成人のカリエスの原因としてエナメル質に生じた亀裂からカリエスがスタートすることを述べられました。
 亀裂はどこに入るかによって歯牙の予後が影響することを解説したいただきました。
支台歯に対する形態付与
 天然歯に対する形態付与としては模型を見たり、構造設計者を参考にされていました。
ミラーを使用し、エナメル質の範囲内での形成されている貴重な動画を見せていただきました
サベイドクラウン
 サベイドクラウンを製作する際、フェルール効果が重要であり、歯質がマージンよりも高さにおいて1mmから1.5mmが必要であり、脱離、歯根破折に繋がると述べられました。
口腔内にセットが完成ではなく患者さんの生活はそこからがスタートであり、チェアサイドだけでなくラボサイドも共に共有したいと仰って頂きました。
咬合調整では小さなコンタクトポイントを与えることがが理想であり、支点が増えると安定が得られやすく、摩耗への対抗策としては小さな接触点、変形の少ない材料、表面の研磨を挙げられました。

小山会長の御講演
『Go To Removable』

QDT 2021年5月号に掲載された2ケースを解説していただきました。
ケース1
 限られたスペースへドルダーバーを使用したインプラントデンチャー
 抜歯に伴い残存歯へ側方圧をかけないため4本のインプラントを埋入する計画をされ、ロケーターは上顎の場合骨質の問題による予後が心配であり、連結固定ができず把持力も期待出来ないため、ドルダーバーで製作されたことを解説されました。
ケース2
 上顎にCSC、下顎にサベイドクラウンによる軸壁にて維持安定を計ったパーシャルデンチャー
 初期治療終了後、プロビジョナルレストレーション を製作し、ファイルレストレーションでは内冠製作、外冠を単冠で製作しレーザーによるソルダリング。
コーヌスの利点として、全周に軸壁があり360度の取り囲みが可能となり側方圧に耐えながら、将来的な総義歯へ移行が出来ると解説されました。
パーシャルデンチャーにおける連結機構では支持、把持作用を付与し、維持力を最小限に付与されるのが望ましいと述べられました。

大澤副会長の御講演
 『7つの力学的構成要素と維持装置の必要条件』

パーシャルデンチャーの役割として、残存歯を積極的に一体化させ"二次固定"の役割を果たすことを述べられました。
7つの構成要素ではレスト、リテーナー、ブレイシング、マイナーコネクター、メジャーコネクター、デンチャー ベースコネクター、インダイレクトリテーナーがあり、中でもブレーシングについて解説して頂き、水平移動への対応としてマウスプレパレーション、サベイドクラウンによるガイドプレーンにより力が舌側方向へかかった際舌側の把持腕によるとサポートが必要であると述べられました。
また下顎前歯舌側のエナメル質は特に薄いため口腔内にダイレクトボンディングをしていただきシンギュラムレストを"足す"手法を解説いただきました。

山中九州支部長の御講演
『プロビジョナルデンチャーのKEY』

 まずテンポラリーデンチャーとプロビジョナルデンチャーの違いを解説していただきました。
・テンポラリーデンチャー(クラウン)は一時的、応急的にセットする補綴装置
・プロビジョナルデンチャー(クラウン)は最終補綴に移行する前に生理的、審美的に観察を行い考察を行うもの
プロビジョナルレストレーション製作時の注意点としてはメタルフレームの構造は全てセパレート、ファイナルレストレーションと同じ形態、修正の可能性がある箇所には修正可能になるよう製作する様に述べられました。

黒島中国、四国支部長の御講演
『サベイドCRからRPDへの連携と歯列弓安定における着目点』

 パーシャルデンチャーにおける歯列弓安定のためにはマウスプレパレーションが重要であり、近年の治療では炎症のコントロール、力のコントロールがあり技工士が関わっていくものとして力のコントロールである解説されました。
そのためには歯列の安定、咬頭嵌合位の安定により義歯の動きをコントロールする必要があると述べられました。
また支台装置の6つの要件によりサベイドクラウンによる二次固定を獲得することが重要と述べられました。
最後にマウスプレパレーションの工程にはチームコミュニケーションであり、チェアサイド、ラボサイド同士で情報、認識を共有することが核心であると解説していただきました。

講演の最後に池村先生と奥森主幹によるディスカッションをしていただきました。


新型コロナウィルスの中、御講演賜りました池村仁克先生、奧森主幹、小山会長、大沢副会長、山中支部長、黒島支部長貴重な御講演ありがとうございました。
本セミナーを主催頂いた株式会社デンタリード様、坂本様をはじめ関係者各位様に御礼を申し上げます。

オープンセミナー後に総会が行われ
2020年決算報告
1.2020年決算報告
2.役員選任 2021年11月1日より就任予定
  大澤 浩史副会長
  遠藤 隆久理事
  尾形 清敏理事
  前澤 翔也理事
3.会費納入
  2022年 全会員の方が納入
4.その他
  滞納者の方は会報誌の名簿欄に記載

ご報告
  支部長変更 
  三浦 知也北海道支部長
  北田 和寛関東支部長
  佐野 雄治北陸・甲信越支部長
  米津 浩二東海支部長

KSI事務局 中川尚子様に支えていただいているおかげでKSIが運営できていると思っております。
この場をお借りして御礼申し上げます。

report 中原

最新の画像もっと見る

コメントを投稿