中札内村<救世主>「もうかる」作付け拡大
「ザザザ-、バリバリ」。枝豆の作付け面積(3 50㌶)、年間収量(約1100㌧)とも全道1を誇 る十勝管内中札内村。中心部にある加工施設で は、取れたての豆を氷点下196度の液体窒素 で瞬間凍結する作業がたけなわだ。収穫から4 時間以内に、洗浄、ゆで、塩漬け、凍結の行程 を経て冷凍庫に貯蔵する。中札内村農協加工製造課の垰田英昭課長 は「作業を短時間に終わらせることで、色鮮やかさと甘みを保てる。 枝豆を瞬間凍結する施設は全国でもここだけ」と胸を張る。居酒屋チ ェ-ン「白木屋」を展開するモンテロ-ザ(東京)は、中札内産枝豆を 年間300㌧仕入れ、北海道から沖縄まで全1400店で提供してい る。仲介した丸木納豆(群馬)は、「輸入品に比べ味がいい。虫の混 入や変色などのクレ-ムは一度もない」と絶賛する。道のりは曲折が あった。村内の畑作農家の多くは小麦、ジャガイモ、ビ-ト、豆類の 畑作品を栽培。「高収益の第五の作物を」と1992年に枝豆を導入し たが、2004年までは赤字が続いた。冷凍加工施設の経費がかかる 割りに、製品量が少なかったためだ。そこで同農協は3年前、10億3 千万かけて施設を増設し、大型収穫機二台を9千万かけて導入した。 約40㌶だった作付け面積は、今年までに10倍近くに増え、業績は好 転した。枝豆の収益は10㌃当たり10万円以上と、十勝の主力作物 ビ-トの約1・5倍。山本勝博・同農協組合長は「高品質な商品を大量 生産できるようになり、『枝豆はもうかる』と農家もやる気になった」と話 す。資材高に苦しむ農家にとって救世主でもある。枝豆の栽培に必要 な化学肥料は、ビ-トの25%。ジャガイモやビ-トに比べ種まき後の 消毒回数も少ない。畑作農家広瀬茂さん(60)は、3年前から栽培を 始めた。今年の作付けは3・8㌶と倍増、来年は5㌶に拡大する。「経 費を抑えられ、手間もかからないのにもうかる。いいことずくめ」と笑う。 同農協は来年度、粒が大きい新品種「タマフクラ」の作付けを検討し、 面積も500㌶に拡大、3年後には700㌶を目指す。日本1の枝豆産 地は、約850㌶の作付け面積を誇る山形県鶴岡市。その背中が見え てきた。
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