サ-フィンでまちおこし 夢の未来図 大会誘致、雇用創出も
「これが理想型かもしれない」。胆振管内厚真町の田中紀嘉さん(31)は目の前が開けた気がした。7月上旬、同町役場の若手職員でつくるプロジェクトチ-ム(PT)「あたらしいなみ」の田中さんらメンバ-4人は、サ-フィンによる地域活性化の先進地、福島県南相馬市を訪ねた。製造業と農業が盛んな人口7万人のまちには県内外から多くのサ-ファ-が訪れる。同市が2003年から取り組むのが「サ-フ・ツ-リズム」だ。
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提唱した福島大の奥本秀樹准教授(41)=企業財務=は「交流の拡大だけでなく、若者の流出を食い止める効果もある」と言う。官民、そしてサ-ファ-ら合同で推進委員会を組織し、プロが出場する国際大会からアマチュア向けの大会も開催。市の各種大会への助成金は年間200万円を超える。さらに1千万円の予算で海水浴場での水難救助を地元サ-ファ-に委託し、雇用も生み出した。自身もサ-ファ-の奥本潤教授は「大都市札幌に近い厚真の方が経済効果は大きいはず」と指摘する。「厚真らしいサ-フ・ツ-リズムを」。視察から戻り、方向性を見いだしたPTの作業は一気に加速した。まず、浜厚真海岸のインフラ整備を検討。サ-ファ-からの聞き取りでは「トイレやシャワ-が古い」「売店がない」との意見が多かったからだ。さらに新たな大会誘致にも乗り出しす構え。こうした取り組みに来年度から町の予算化を目指す。課題は町民の理解だ。町外からは多くの人が集まっても町内の愛好者は10人ほど。ある町民は「波乗りに金をかけても・・・」と懐疑的だ。奥本潤教授は「南相馬でも反対派あった。でも、サ-ファ-たちが熱心にごみ拾いなどを続けるうち、風向きが変わった」とアドバイスする。PTでは海岸で地元産のコメや野菜の直売所を設け、愛好者と住民との交流の場づくりも計画している。
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さらに、海岸付近にあるバギ-などオフロ-ド車の専用コ-ス、野原公園内に設けられた3面の天然芝サッカ-場との相乗効果にも注目する。2施設合わせて利用者は年3万人を超える。PTの手代木久史さん(30)は言う。「浜厚真には魅力的な資源がある。これらを活用して定住人口を増やしたい」。若者が集い、そして住み続けるという夢の未来図。「あたらしいなみ」は、さらに大きな波を目指す。発信2009
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