東大チ-ム 温度の上下で分裂
化学物質を使って人工的に合成した“細胞”を、生きもののように自己増殖させることに、菅原正東大名誉教授らのチ-ムが成功し、英科学誌ネイチャ-ケミストリ-に発表した。 チ-ムは「無生物から生物が生まれたシナリオを再現したともいえ、生命の起源に迫る知見となる可能性がある」としている。チ-ムは、有機化合物の分子を袋のように並べ、細胞膜にみたてた直径数マイクロ㍍(マイクロは100万分の1)の球状の“人工細胞”を作製。内部に大腸菌由来のDNAと、DNAを増幅させる酵素を入れた。この細胞を、膜の材料と同じ化合物を溶かした水溶液に入れ、温度を上げ下げしたところ、細胞が化合物を取り込んで膨らみ、やがて分裂。内部のDNAも増えて、分裂した細胞に分配されたという。この細胞には、生命活動に必須であるタンパク質などの生体高分子は使われていないが、チ-ムは「単純な分子でも、細胞のような増殖システムができることが証明できた」としている。